激戦続くマリウポリ。3月27日に投稿された、露軍カディロフ部隊が旗を掲げた場所。この場所は都市の真ん中を通る川の東岸の地区で、住宅街を南北に貫き、海岸へ抜ける大通りの行き止まり。ここから先は台地から海岸へ降りる坂になる。
さてもさても、わざわざ旗を掲げる動画を撮影できるぐらいだ。この時点では露軍にとって安全な場所であったのだろう。当然、露軍の地図では制圧済みとなった地区であったが、4月2日の動画では、戦車がアパートを砲撃する場所になっていた。
∧∧
(‥ )制圧失敗しとるがな
\−
(‥ )まあほとんど
ゲリラ戦だからね
ウクライナ軍は
拠点から出張って
攻撃だって
するだろうしねえ
とはいえ、実のところマリウポリの東岸は、露軍の地図とは裏腹に、街区の3分の1ぐらいは制圧できておらず、戦闘が続いている。
4月4日に投稿された画像も、カメラが撮影している場所と向きからすると東岸地区で激しい戦いが続いていることを示していた。
この画像、実はロシア軍優勢を伝えるものなのだが、実際には制圧したはずの地域で起きている戦闘を伝えているわけなので、馬鹿じゃねえの? という画像。
ともあれ、以上を踏まえてマリウポリの戦況を図示すると、以下のようになる。町の東岸はほとんど膠着状態で、露軍は少なくとも目立った前進をしていない。
∧∧
(‥ )進展があったのは
\− 西岸地区ですかね
4月3日の衛星画像と
戦火の分布からすると
露軍は中心街から南へ拡大
台地の上はほぼ制圧した
ように見えるね
(‥ )さらに
戦火の分布からすると
西の方で戦いが
起こっているように
見えるんだよね
マリウポリは河川の侵食で周囲を削られて作られた台地状の地形で、さらに西部には、これまた侵食による谷間が堀のように南北に伸びている。
そして、露軍が占拠したらしい市庁舎南の台地は、周囲よりやや低かった。つまりウクライナ軍はまだ高い位置を占めている。
もちろん露軍がすでに占拠した大通りならウクライナ守備隊と高さが同じか、むしろ高くて優位。しかしその方向からウクライナのいる場所に露軍が近づこうとすると、そこには壁になるアパート群や、さらに微小な侵食谷などがあった。
以上を踏まえると、守備側はまだなお、守りに優位な領域を占めている。
∧∧
(‥ )露軍はあれだね
\− 堀になる西の谷を避けて
さらに西から
海岸に降りて
そこから海岸沿いに
東へ移動
守備側を下から
包囲する気かな?
(‥ )軍事的に意味があるかは
知らないけど
少なくとも
守備側の手数を
引き付けられるから
良い作戦かもね
守備隊の大通り側が手薄になれば、露軍はうまくすれば占拠した大通りから、壁になるアパート群を抜いて攻撃することすらできるかもしれない。そんなことができる重火器やら戦車やらが残っていればだけども。
∧∧
(‥ )動画を見るに
\− 露軍は戦車や
装甲兵員輸送車や
歩兵戦闘車をまだ
残しているけど
突破できるほどの
数を残しているか
よくわからないよね
(‥ )さらに歩兵もな
なんか西側諸国では
考えられない戦法を
露軍は使っていて
歩兵がすごい勢いで
死んでるみたいだし
露軍もつらいみたいね
*西側では考えられない戦法:twitter上の証言として出てきたマリウポリにおける露軍のやりかた。戦車に50名あまりの歩兵を随員させ、ウクライナ軍の陣地へ接近する。そうして取り付いて(ここで座標を確定でもするのか)、次に後方の砲兵が砲弾を撃ち込んでウクライナ守備軍の陣地を撃破する。ただしこの過程で露軍は相当量の歩兵を失い、場合によると半分が戦死する。
**カディロフ部隊の戦死者にジャガイモと玉ねぎ、米とオリーブ油が見舞いとして支給されたという(西側の人間にとっては)衝撃的なニュースがあった。従軍した息子が具材になって帰ってきた! と揶揄されたトンデモな処置だが、注目すべきは並んだ具材の数からすると100名以上が戦死しているという事実であった。1ヶ月の戦争の累計なのか? それともこれはマリウポリだけでの出来事か? カディロフ部隊は偉い人が登場するやらせ動画が多い一方で、激しい銃撃戦や負傷者の動画も少しある(そこには偉い人が登場しなかったりする)。もしかしたら下っ端が市街戦における使い捨ての駒としてバンバン死んでいる結果なのかもしれない。
さて、後、どういうわけか、人工衛星の画像を見ると、4月3日、マリウポリ市外にある空港で複数の火災が起きていることがわかるのだが...
∧∧
(‥ )ウクライナ軍の攻撃ですか?
\− ここまで届くの?
(‥ )どうだか知らんけど
じりじりウクライナ軍が
マリウポリに
近づいているのは
事実らしいのよ
∧∧
(‥ )...これさ
\− ロシア軍絶望的じゃね?
(‥ )ウクライナ軍が
接近してくるのなら
守備側を撃破しても
根本的な解決には
ならんからな
絶望的だよね
露軍がこれからわずか一週間でウクライナ守備隊を撃破したとしても、肝心な自分たちの補給や援軍は来るであろうか? こなかったら今度は自分たちがボロボロのまま籠城する羽目になる。
そしてそもそも一週間でウクライナ守備隊を撃破できるであろうか?
∧∧
( ‥)無理だろ
(‥ )だよなあ
もちろん、一週間で撃破できなくても良いのだろう。ウクライナの援軍だって一週間ではマリウポリにまで来ないであろうから。
しかし、1ヶ月かかっても落とせなかったら? 1ヶ月という見込みすらいまや楽観的と思えるが、しかし、1ヶ月もあればウクライナ軍はマリウポリに到着するのではないか?
∧∧
(‥ )ロシア軍絶望的だな
\−
(‥ )ロシア軍本部だって
馬鹿じゃないから
いろいろと援軍を
送っているみたいで
あるけどね
しかし、状況が劇的に改善したようには見えないのである。一部の話では、マリウポリの露軍に届いた装備は使い物にならなかったそうだ。
∧∧
(‥ )ロシアは経済制裁で
\− 自国の武器生産すら
滞っているみたいだしな
(‥ )だっはははははは
経済制裁って
こわいよねー