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2022年12月31日土曜日

バフムート 2022年12月9日から30日までの話

  
 12月9〜13日、19〜24日にかけて、バフムートの露軍は東から市街に突撃。2km以上を前進。市街地に二回侵入して、そして二回とも撃退された。
 



 
 ∧∧
(‥ )でも驚きだね
\−  動員兵だの囚人兵だの
    かき集めた素人の
    突撃で
    ここまで
    やれるんだな
 
  (‥ )まあ数が少ないせいか
      結局、撃退されて
      しまったけどね
 
 バフムートに特筆すべき戦略的価値はなかった。もしあったらロシアは正規軍の大軍を送り込んだであろう。しかし、実際にこの区域を担当するのは傭兵会社のワグナー。
 
 ∧∧
(‥ )ワグナーは
\−  戦闘員が2000
    ぐらいだっけ?
    正規戦を行うような
    規模ではないよね
 
  (‥ )だから囚人兵を
      特別枠で
      動員して
      もらえたんだが...
 
 しかし囚人兵なんて、所詮は素人である。なるほど、5万とか10万人とかを一気に突撃させれば話は別だろうが、囚人兵は多い話で3万5000。それも最初の1〜2ヶ月でどうやら1万以上を失っている。

 この1万がもし戦死者の数なら、負傷者を含めれば損失は3万人。3万5000の囚人兵もすでに事実上、全滅...というか消滅してしまったことになる。
 
 ∧∧
( ‥)ちまちま突撃させるから
    こうなるべ
 
  (‥ )とはいえよ
      3万を消耗して
      それでようやく
      市街地まであと2kmって
      とこまでこれたのでな
 
 近づかなければ市街地突入もできないのだ。3万を消耗して、ようやく市街地に指をかけたが、そこで力尽きたと見るべきなのだろう。

 露軍はそれまで1日あたり40メートルの速度で前進してきたが、12月9日以後の突撃から前進が停止している。
 
 しかし一方、バフムートの南に隣接するオピトネ。住宅街500メートル程度の小さな区域だが、18日、ここに露軍が侵入。ウ軍守備隊と激戦。




  
 ∧∧
(‥ )ウ軍が押し返してるけど
\−  いよいよ市街戦か
 
  (‥ )バフムートの南部は
      ワグナーの
      正社員がきてるみたいでな
      熟練してる相手に
      ウクライナ正規軍や
      チェチェン義勇兵が
      対抗しておる
 
 とはいえ、ワグナーの正社員には限りがあるから、正社員投入はここだけの話らしい。

 ちなみに別の傭兵会社もこの戦闘に参加しているという噂がある。ありうる話で、ウ軍は戦車を投入して露軍陣地を砲撃、破壊しているが、露軍にはどうも戦闘車両が見当たらない。信じがたいが、露兵は歩兵だけで対抗しているように見える。
 
 ∧∧
( ‥)プロざんすね
 
  (‥ )傭兵をぞろぞろ
      投入してるのかもな
 
 一方、さらに南へ4kmほどいった集落オドラディブカから西へ進んだ露軍。その目的はバフムートの背後に回り込んで包囲することにあるらしい。

 無茶振りもいいところだが、ここではあいかわらず素人の突撃であった。
 
 

  
 この方面の露軍が映像に登場するのは11月19日以来。12月30日までの前進距離は40日間で1km。移動速度は1日25メートル。露軍はおそらく遮蔽物になる防風林沿いに進んできたようで、貯水池を越え、果敢に前進してきたのであった。
 
 ∧∧
(‥ )でもよ
\−  こっから西は
    遮蔽物なしの
    耕作地だべ
 
  (‥ )道の途中にさ
      破損した戦闘車両があって
      それを
      遮蔽物にしたいんだろうな
      少人数の露兵が
      突撃してきて
      待ち受けるウ軍の砲撃と
      ドローンの手榴弾投下で
      次々死んでるのよね
 
 逃げる時に右往左往する有様から素人だとわかる。しかも4人とか2人の少人数の突撃だ。遮蔽物のないまっ平な数百メートルを駆け抜け、次の場所に陣取るなど無理な話であった。
 
 ∧∧
(‥ )ワグナー
\−  あいかわらず
    無茶苦茶しよるな
 
  (‥ )バフムートだけで
      ロシア人は
      一体何人
      死ぬんだろうね?
 
 
 

2022年12月18日日曜日

2022年12月14日、バフムートの露軍、前進を停止

 
 2022年12月14日までのバフムートの状況
  





 ∧∧
(‥ )結局さ
\−  9日以降に行われた
    露軍の突撃は全部
    失敗したのね
 
  (‥ )突撃に労力を割いたせいか
      全線に渡って前進が
      停止しちゃったな
 
   
 9日に行われたゴミ処分場への突撃は早々に撃退された。遮蔽物がないのだから当たり前。
 
 同時に行われた街の中央部への突撃は、驚くことにある程度は成功した。露軍は2kmをいきなり前進。工場まで到達した。
 
 親露派は露軍がさらに前進。市街地に突入したとも言うが。
 
 ∧∧
( ‥)うっそだー
 
  (‥ )まあそう思うよね
 
 街の中央への突撃は道があるのでやりやすい。問題はそこが谷だということであった。

 谷を進めば丘から狙われる。
 
 そして谷とはつまり河川であり、街に入るには当然、橋を通らねばならない。
 
 ∧∧
(‥ )橋を通ると狙われる
\−  街に入れば待ち伏せされる
    逃げようとすれば
    また橋を通るから
    当然、待ち伏せされて
    砲撃、銃撃だろ
 
  (‥ )突撃自体はできるけど
      ほぼ全員死ぬよね
 
 なるほど、親露派は14、15日、激しい市街戦が行われていると主張する。



 
 しかし14日の衛星画像を見ても、戦火などどこにも上がっていないのだった。
 

 
 親露派が言う戦闘市街地は画像の中央で、やや雲がかかっているとはいえ、もし本当に戦火があったら、この程度なら必ず見える。
 
 だが戦火も煙もどこにもない。
 
 ∧∧
(‥ )親露派って
\−  嘘ばっかだな
 
  (‥ )まあ突撃自体は
      したかもなのよ
 
 親露派は露軍がワイン工場を占拠したと述べたが、確かに、13日撮影とするこんな画像がある(撮影自体はどうもウクライナ側)。
 


 これ、海外の人によって場所が特定されており、街の東外れにあるワイナリーであった。元動画では露軍の空中散布型地雷が周囲に散らばっているのが見えている。

 つまり確かに、ワイナリーまで露軍の手が届いたのであった。
 
 しかし、他に戦闘の痕跡はない。突撃に成功したとしても、戦闘車両なしで、歩兵だけ。そして激しい戦闘もなく撃退されたのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)これで突撃成功したって
    言うのか?
 
  (‥ )あれだろ?
      散布型地雷をまいたから
      はい占拠しましたー
      っていう
      露軍お得意のホラだべ
 
 
 ロシアは1を100にふくらませるようなホラを吹く悪癖があるので、情報の真偽確認は重要である。
 
 
      
 
 


2022年12月13日火曜日

バフムートの突撃はワグナーのプロモーション

 
 2022年12月11日におけるバフムート
 


 
 ∧∧
(‥ )状況にほとんど変化なし
\−
 
  (‥ )町の東で
      露軍が1〜2km
      突出する動きを
      示したけど
      それぐらいかな
 
 
 突出...これは正当な前進ではなかった。例えば東北郊外の状況を拡大するとこうなる。


  
 画面中央が東から見た郊外で、露軍は画面奥から手前に向けて前進を試みている。

 
 ただし、遮蔽物になる防風林沿いに移動しているので、この方面での露軍の移動方向はむしろ北であった。北にあるウクライナ軍の陣地を牽制したいらしい。

 一方、それとは別に真正面からこちらへ向かってくる動きがある。以上の画像の中央にある矢印がそれ。
 
 この突撃は12月9日に見られたもので、2km突出して、郊外の工場までたどり着いて、ウ軍の砲撃を受けた。個別に切り出すと以下のようになる。



 
 ∧∧
(‥ )でっ この突撃
\−  10月にもやったんだよね
    露軍は郊外のコンクリ工場
    Siniat に侵入
    24日に撃退されて
    後退してる
 
  (‥ )画像下に配置した
      破壊された工場が
      その場所なんだが...
 
 9日の突撃はその焼き直しであった。
 
 そして、なにより衝撃なのは、画像の上に配置した、10月17日と12月1日の動画の比較である。
 
 ∧∧
(‥ )信じられないけど
\−  これ同じ場所なんだよね
    10月17日に
    交差点近くに進出
    しかし二ヶ月が過ぎた
    12月1日になっても
    この場所を拠点化していない
 
  (‥ )12月1日の動画は
      露兵が戦死者の確認に
      来たものでさ
      あーこれ死んでるわ
      と回収せずに
      帰ろうとするところを
      ウ軍に砲撃されるんだよな
 
 露兵はそこそこの距離を確認のためにきたわけで、つまり、おそらく露軍陣地はさらに東の奥にある。
 
 そこから考えると9日の突撃は3kmは前進してきたことになり...
 
 ∧∧
( ‥)しかも戦闘車両の支援なし
    人数6人で工場に
    侵入してきたからな
    無謀だよね
 
  (‥ )なんか露軍はさ
      中途半端な人海戦術を
      してるんだよな
 
 本来なら戦闘車両の支援があるべきで、しかし装備が足りず、それができない。
 
 だから大砲と砲撃でウ軍を無理やり押し込んできたが、最近では砲弾もたりなくなってきた。
 
 それなら人海戦術だ! と言うのは簡単だが、露軍は開戦半年で10万を喪失。これは実にロシア全軍の半分にあたる。

 部分動員で30万を集めたが、それでは足りないのだ。全戦線に振り分けたら、そんなもの大した数ではないし、少なくとも人海戦術にはまるで足りない。
 
 ∧∧
(‥ )バフムートを落とすだけで
\−  10万人ぐらい必要じゃね?
 
  (‥ )動員兵だの
      囚人兵だの
      素人の突撃で
      落とすには
      そのぐらいいるよねえ
 
 
 とはいえ、実際に落とす必要はない。バフムートを担当しているのは大富豪プリゴジンが経営する戦争会社のワグナーだから。
 
 ∧∧
( ‥)ワグナーの戦力って
    数千人程度だから
    力押しの業務は
    最初から無理だよね
 
  (‥ )だったら適当に囚人兵を
      突撃させて
      わずかな前進を
      大戦果だと宣伝するべさ
 
 要するにバフムートの激戦。ワグナーのプロモーションの域を多分、出ていないように思われる。派手な(無謀な)突撃もすべてはそのためと考えるのが自然だろう。
 
 
 
  

2022年12月6日火曜日

2022年12月4日のバフムート ガソリンスタンド死体32

 
 ウクライナ東部で激戦が続くバフムートの状況。 2022年12月4日



 
 ∧∧
(‥ )ロシア軍が少し
\−  前進したね
 
  (‥ )10月25日と比べると
      300mぐらい
      前進したかな
 
 都市バフムート。石膏、石灰がとれるので大手建材会社やコンクリート会社がある一方で、ワインの町でもある。郊外にどうやらエスカルゴの養殖場もあるので、おつまみ養殖もされていたようだ。
 
 ∧∧
(‥ )そんな町を戦場にするなんて
\−  ほんとロシアって
    金勘定できんのな
 
  (‥ )そんなだから貧乏で
      そんなだから
      三流国なんだが...
 
 そもそもそれ以前にバフムートに戦略的価値はなかった。いや、以前はあるにはあった。北のリマン、イジュームに進撃した露軍が南下、南の海岸を占拠した露軍が北上してバフムートを目指せば、ちょうどウ軍を包囲できたから。
 
 ∧∧
( ‥)でもこの秋の
    リマンとイジュームの
    大敗北で
    もうそんな価値なーい
 
  (‥ )それでも
      進撃するんよね
 
 バフムート攻略を担当しているのは大金持ちのプリゴジンと、彼が経営する戦争会社ワグナー。ここで自分たちが踏ん張れば、敗北したロシア正規軍に大きな顔ができるし、指導者プーチンからの覚えも良くなるというもの。せっせと囚人兵を突撃させていたら、確かになんか前進できて、実績が出来てきちゃったよ。
 
 ∧∧
(‥ )...というわけで
\−  最近はロシア指導部まで
    バフムートを落とせと
    発破かけはじめたとか
 
  (‥ )なんつーの
      いよいよ末期だな
 
 戦争会社のおっさんの皮算用に、皆が注目するうちにありもしない価値ができてしまう。えらいこっちゃであるし、それに付き合わされて消耗するのはロシア人であった。
 
 ∧∧
(‥ )囚人兵はばんばか死んでるし
\−  もはや戦場は死体だらけで
    ございます
 
  (‥ )なんか先月の
      中頃あたりから
      死体写真が
      やたらと目につくように
      なったよねー
 
 どこにいっても死体、死体で、撮影者の目がどうしてもそこへ向くのだろう。
 
 バフムートの東を通る幹線道路にあるガソリンスタンド。そこはちょうど陣地に適しているので、そこに露兵がおしかけては次々に撃破され、死体がごろごろ。
 
 いくつかの動画をつなぎ合わせてのぞいて数えたら、周辺に少なくとも32の死体が転がってた。


 
 ∧∧
(‥ )みんな素人の囚人兵か
\−  さもなきゃ動員兵だよね
 
  (‥ )しかも時系列で
      だんだん増えていく
      のだよな
 
 囚人兵や、かたっぱしから動員された兵士たち。職場に出勤したら、スーパーにいったら、駅前で、工事をしていたら、手術の用意をしていたら、会社だろうが、路上だろうが、病院だろうが、見境なくかたっぱしから男どもを捕まえて送り込んで、その数30万。外科医や工事技術者を動員ってバカじゃないのか? なんだけどマジでやってる。国内のインフラが崩壊し始めるのも時間の問題だ。
 
 ∧∧
( ‥)来年早々にまた
    動員するって話が
    出てきたべ
    30万でも損耗が
    追い付かんってか?
 
  (‥ )いやー肉弾戦ですね
      すごいね
      こんな戦争を
      見れるとは
      思ってなかったな
 
 
 

2022年11月22日火曜日

敵陣に支援無しで突撃せよ! 平均寿命2週間で8000死んでもかまわん

 
 2022年11月19日、バフムート南にあるOdradivka村。この村は10月には露軍に占領され、さらにここから露軍は2kmほど西へ進み、バフムートを包囲する動きを見せている。

 そうやって西進してくる露軍をウ軍が砲撃する動画があり、その場面を見るとこうであった。

 


 
 ∧∧
(‥ )畑の中の疎林に
\−  塹壕があって
    これは本来はウ軍の
    陣地なのかな?
    そこに露兵がやってきては
    砲撃されて死んでいく
 
  (‥ )動画を観察すると
      最初は正午
      次は朝
      その次が夕方なんだよな
 
 編集で順序がでたらめになっている可能性もあるが、素直に解釈すると、露兵は第一日目の正午に突撃、そこから翌朝まで砲撃を受け敗退。二日目の夕方に二回目の突撃をした。そういうことになる。
 
 ∧∧
( ‥)ウ軍が言ってたあれだな
    露軍は無謀な突撃を
    ただただ繰り返して
    ウ軍の攻撃で
    どんどん死んでいくって
    やつだな
 
  (‥ )バフムート近隣の動画を
      しばらく追っていたけども
      それがはっきりわかる
      最初の動画だね
 
 両軍とも本当に真面目に相手陣地を奪う時は、戦車など戦闘車両の援護を受けながら、随伴した歩兵が突撃する。
 
 しかるに、以上の動画にそういう場面はない。というか、バフムートの戦線において、露兵が戦闘車両の支援を受ける場面は見たことがない。

 露軍は敵陣に歩兵だけでただただ突撃して、機関銃と砲弾、ドローンからの手榴弾投擲で次々に死んでいく。

 こんな突撃をするから露軍は馬鹿だアホだと言われる。もちろん、実際にはこれ、有効な手だ。植民地の独立戦争などでは子供を突撃させて相手を消耗。次に熟練兵を突撃させて敵陣確保があった。

 ∧∧
( - -)でもそれ
    潤沢な人的資源が
    使える場合
    使っても味方に
    支持される場合だろ?
 
  (- - )今のロシアは
      そういう状況じゃ
      ないよねー
 
 だからバフムート方面において露軍、正確に言うとこの方面を担当している軍事会社ワグナーとその支配者プリゴジンは囚人を動員した。六ヶ月の兵役を務めたら無罪放免であると。
 
 ∧∧
(‥ )ところが囚人兵の平均寿命は
\−  2週間程度だそうですな
    支援無しで素人を
    突撃させたら
    そりゃあそうなる
 
  (‥ )平均寿命を半減期と
      解釈すると
      半年後には最初の
      8000分の1しか
      生き残らん
 
 2万、3万の囚人兵を動員したともいうが、半年後に生き残るのは4人ぐらいだってことになる。
 
 実際、すでに露軍はバフムートで8000を失ったとも言う。

 そしてこの画像


 
 元動画はバフムート市の東北にあるガソリンスタンドを、ウ軍がドローンで撮影したもので露兵の死体がごろごろ転がっている。その場面をつなげて復元。遺体の分布を見ると以上のようになった。60×20m程度の土地の中に少なくとも遺体が8つ。

 興味深いことに遺体はかなり均等に分布していた。多分これ、長時間の攻撃の中で露兵が確率的に死んでいったので、均等に近い分布になったように見える。つまり露兵の遺体の自然分布に近いものとみなせる。
 
 ∧∧
( ‥)1200平方mに遺体8
    平均すると150平方に
    遺体が1つ
    バフムートの戦線は
    およそ8kmだから
    戦線に150mの幅があれば
    8kmの戦線に8000の
    遺体が転がっているはず
 
  (‥ )実際には遺体分布に
      粗密があるはずだけど
     (以上の画像も露軍陣地の
      ものなので他より密なはず)
      その一方で
      戦線の幅は150mより
      ずっと広いのだよな
      多分、2kmぐらいある
 
 つまり、バフムートにおいて露軍、そして動員された囚人兵たち、その8000が失われたという話。これはおそらく本当であった。
 
 ∧∧
(‥ )いやはや21世紀に
\−  こんな戦争を目にできるとはね
 
  (‥ )観察せねばな
 
 
 *ちなみにバフムートでは半年後の無罪放免にかけて志願した露軍囚人兵が、わずか2週間後に戦死した、という話が以前あった。

 2週間は、あまりに短すぎて悲惨だからニュースになって伝わった数字であろうか?

 あるいは反対にありきたりだから、たまたま人の耳に入った数字であろうか?

 見守っていると、後にウ軍が、露軍の平均寿命は2週間ぐらいだ、そのように広報したのである。多分、平均寿命2週間は正しい値。

  

2022年11月9日水曜日

2022年11月8日の月食と天王星食

  
 2022年11年8月。皆既月食。

 そして月食中の月が天王星を覆って食を引き起こすという珍しい出来事。


 
 ∧∧
(‥ )入るところは
\−  観察できたけど
    出るところを
    見逃しちゃったね
 
  (‥ )いやーうかつ
      ちょっと勘違いしててな
 
 ともあれ、スケッチすると以上のようであった。

2022年11月6日日曜日

バフムート 東へ1〜2km押し返す

  
 ウクライナに侵攻した露軍は思わぬ抵抗と損害によって、その進軍速度を低下させた。そして8月に到達したバフムートを11月になった今でも落せていない。
 
 ∧∧
( ‥)というか
    そもそも市街に
    取り付くことも
    できていないのである
 
  (‥ )町の東部にある
      アスファルト工場で
      ずーっと一進一退しててな
 


 10月9日 工場に侵入した露兵が砲撃を受ける
 
 10月12日 工場を奪還したウ軍がT64戦車支援の下、迎撃する
 
 10月25日 再び工場に近づいてきた露兵に砲撃
 
 10月27日 露軍、再度工場に侵入...
 
 ∧∧
(‥ )しかしその後
\−  露軍はウ軍の砲撃を受けて
    工場から叩き出され
    さらには
    2km近く後ろへ
    押しやられてしまうのである
 
  (‥ )それを加味すると
      次のような画像に
      なるのだ
 

 
 町の東部はどこもおおむね似た状態。アスファルト工場の近辺には採石場がある。22日、この採石場の水溜りに逃げ込んで、追い詰められ、ウ軍のドローンから投下される手榴弾で倒された露兵がいる。

 彼はバフムートの市街地まで1.5kmの地点まで近づいたが、それまでだった。現状、彼が一番突撃できた露兵。

 *確実な記録が1.5kmなら、もっと近づけた者が確率的にいたはずだが、それは当然、未確認である。

 以上を踏まえてバフムートの郊外東の戦況を描くとこうなる。ちなみに中央の白っぽいのが採石場。その右上にある長方形の構造物が両軍が一進一退していたアスファルト工場(小規模で機械も小さく少ないが、それでも敷地が東西300mある)。




 
 それが11月4日までに次のようになった。



 
 ∧∧
(‥ )町の南東に疎林地帯があって
\−  そこからぞろぞろ露兵が
    やってきて
    再び採石場に近づくけど
    もっと手前で砲撃されて
    吹き飛ばされてたよね
 
  (‥ )それが11月4日の動画
      採石場よりずっと後ろ
      露軍が1km以上
      押し返された証拠だなあ
 
 バフムートに関してはいろいろな動画があるが、露兵が吹き飛ばされたり、露兵の死体がごろごろ転がる中を必死で匍匐前進しながら逃げていく兵隊やらで、もう露軍の気持ちは第一次世界大戦。
 
 ∧∧
(‥ )戦線を担当する
\−   戦争会社ワグナーが
    投入するのは
    使い捨ての囚人兵
    半年勤めれば
    刑期を帳消し
    無罪放免だそうですが
 
  (‥ )平均寿命が2週間
      つまり
      兵士の半減期が
      14日だそうだから...

 
 半年、180日後までの間に半減期を13回繰り返すことになるので、半年後の生き残りは最初にいた人員の8192分の1ってことになるのだが...
 
 ∧∧
( ‥)一人でも生き残ってたら
    わりかし奇跡的な値だな
 
  (‥ )まあ片足切断とかで
      戦線離脱できて
      生き残れたやつが
      死者よりも
      多くいるはずだから
      全滅ではないだろうけどね
 
 
 

    


2022年11月1日火曜日

バフムートの話

 

 ∧∧
(‥ )...しばらくblogを
\−  書いてなかったけど
    バフムートの戦況に
    見入ってしまってたね
 
  (‥ )いやーバフムートな
      めちゃくちゃに
      なってるからな
 
 正確に言うと、バフムートではなく、バフムート攻略に突撃する露軍がめちゃくちゃ。
 
 バフムート(Bakhmut)はウクライナ東部の町。

 2月24日。東からウクライナに侵攻したロシア軍は思わぬ大損害を出した。制空権は奪えず、最新鋭機を次々に撃墜され、空挺部隊による首都攻略作戦は失敗。孤立した空挺部隊は全滅。第二都市ハルキウに侵攻した最精鋭部隊、第一親衛戦車団は全滅を通り越して文字通りの消滅。首都攻略に向かった地上軍に至ってはそもそもその半分が首都に到達できず撤退するという有様。露軍は150km以上の進軍能力を持っていなかったのである。
 
 戦車を大量に損耗し、兵士の損失は半年で9万。全軍の実に半分を失った。それでもなお大砲と砲弾は腐る程ある。両軍とも戦闘車両が不足し、大砲で押すという第一次世界大戦のような戦況で露軍は優位を見せ、じりじりと前進する。

 そして8月。ついに露軍はバフムートとその周辺に到達した。
 
 露軍が制圧した北のリマン、そして南の海岸地帯。バフムートはその間にある。北のリマンと南の海岸地帯から挟み撃ちにすれば、バフムートとその周辺一帯のウ軍は壊滅。あるいは撤退に追い込めるはずであった。
 
 
 ∧∧
( ‥)...のだがその矢先の9月
    諸国からもらった戦車と
    訓練を終えた部隊で
    ウ軍が一気に反撃
    リマンを含め
    ルハンスク州を一気に奪還
    バフムート攻略は
    無意味になってしまうのである
 
  (‥ )ところが
      バフムートの露軍は
      あきらめんのだな
 
 というか、バフムート攻略はロシア正規軍ではなく、大金持ちプリゴジンが経営する軍事会社ワグナーが担当している。そして、全般的に負けが見えて押されていくロシア正規軍に対し、ひとりバフムート担当のワグナーだけが気を吐き、じりじりと前進しているのであった。
 
 少なくとも、一見は。
 
 ∧∧
( ‥)実際はさ
    徴兵した囚人部隊とか
    同意された素人兵隊を
    次々突撃させているんだよな
 
  (‥ )いやもう無残な光景が
      次々に展開されててな
 
 これはどうみても素人ですよね? という露兵たちが戦闘車両の支援もないままにその身一つで前進し、ウ軍の砲撃で次々に吹き飛ばされていく。ウ軍の塹壕と機関銃手の前には、いくつも死体が転がる有様。
 
 ∧∧
(‥ )でもさー
\−  これはこれで有効な
    手段なんだよねー
    
 
  (‥ )60年代の
      植民地独立戦争とかでは
      独立武装勢力が
      少年兵とかを突撃させて
      相手が疲弊したところで
      熟練兵を突撃させて
      陣取りしてたからな
 
 問題は、何千人だかの囚人兵だの召集兵だのでは、ちょーっと数が足りない。相手は陣地ではなく、ひとつの都市なのだ。万単位で突撃させないと攻略なんかできないだろう。
 
 こういうわけで無駄に命を消耗する露軍とワグナーとプーチンは馬鹿だアホだと言われるのである。
 
 ∧∧
( ‥)でもあれだろ?
    突撃肉弾戦で
    対空機銃の水平撃ちでも
    追い付かずに
    ウ軍が後退すると
    ワグナーは前進と
    戦果を強調できるし
    プーチンのおっちゃんに
    自慢できるんだろ?
 
  (‥ )戦争の目的ってさ
      勝利だけじゃなくて
      昇進の手段でもあるからな
      嘘でもなんでも
      前進できました
      という実績が大事なんだわ
 
 プリゴジンだのワグナーだの。所詮は正規軍ではない成り上がりものなのだ。今の主君にアピールして可能な限り出世して甘い汁を吸う。それが政治であり、それを戦争の目的とすることは普通にあることだ。突撃して次々に死んでいく露兵も囚人兵も召集兵も、それは投資なのである。投資と見返りは別の通貨であり、囚人兵が消費されることは別におかしな話ではない。
 
 ちなみに10月27日におけるバフムートとその近辺の状況


 
 ∧∧
(‥ )戦線はほとんど
\−  変化ないんだよね
    そもそも露軍は後方2km
    ぐらいから突撃してて
    前進といっても
    生きて進んで死んだ場所が
    到達地点です
    私が確保しました!
    みたいな主張でしょ
 
  (‥ )でもあれよ
      そういう実績があるから
      前進しました!
     (嘘ではない)
      と宣伝できるわけよ
 
 実際、露軍や親露派は、バフムートではウ軍を押してる、むしろ勝ってる。いや、市内に入った! と宣伝しているのであった。何事も実績だ。
 
 
    
     

2022年10月9日日曜日

tweetは生存アピールが目的なので実用性がない

   
 ラジオ アッシリア
 
 朝、鳥がさえずるのはオレは生きているぞと示すことで、縄張りを保持する行動であった。
 
 つまりアピールが目的であって正しいか、実現可能かはどうでもいい。

 皆がやっているtwitterもそのままそういうもので、これゆえにネットの正論に意味はないのである。tweetには実用性がない。
 



 
 ∧∧
(‥ )さえずりがなくなると
\−  2、3日中には
    近隣の個体が
    縄張りに侵入して
    くるんだよね
 
  (‥ )あいつ死んだわ
      あいつの領土は
      俺のものだって
      侵入してくるんよね
 
 
 だからこそ絶え間ない宣伝。絶え間ない生存アピールは重要なのだが、それゆえにtweetはその実効性を失う。

 アッシリアの圧倒的な暴力と暴虐でも宗教は滅ぼせなかった。だからこの教団はいかれたカルトだから解散させよ、というのは非現実案で、付き合いを続けながら相手に希望をもたせ、その一方で、法律で制限を加えて無害化するのが正しい。
 
 実際、歴史上、宗教を組織的に一掃せしめた例はほとんどない。あってもカトリックによる何世代もかけて異端審問で消滅させたカタリ派の例など、それは実行できんよな、というものしかない。
 
 ∧∧
( ‥)それにも関わらず
    カルトを解散させよとは
    目的がそこには
    ないのである
 
  (‥ )単に目立ちたい
      だけなんだよなー
 
 
 *ちなみにニネヴェが吹いているのはダブルフルートで、アッシリアの壁画に実在する。
 
 
 
 

2022年10月6日木曜日

暴虐のアッシリアをもってしても宗教は滅ぼせなかった

  
 ラジオ アッシリア

 アッシリア帝国 前7世紀前半のセンナケリブは宗教都市バビロンを完全破壊した。

 殺し、焼き尽くし、崩し、さらには水を引いて押し流して、ひとつの都市を地上から消した。

 しかしそれでもバビロンとその宗教は滅びなかった。



 
 ∧∧
(‥ )アッシリアというと
\−  相手の皮を剥ぎ取り晒し
    その息子や娘を
    何百、何千と生きたまま
    焼き殺して
    それを誇った国だよね
   *前9世紀アッシュルナシルパル
 
  (‥ )アッシリアから見れば
      現代人の戦争犯罪など
      春のピクニック
 
  
 しかしそのアッシリアの暴虐をもってしてもバビロンとその宗教は滅びなかった。
 
 ∧∧
( ‥)あれだな
    霊感商法するカルトだから
    解散絶滅させよう!って
    非現実ってことだな
 
  (‥ )安倍首相みたいに
      法的な制限を加えつつ
      形式的なつきあいは
      続ける
      それが正しい政治だ
 
 ちなみに
 
 ∧∧
(‥ )センナケリブさんにも
\−  バビロン破壊の動機は
    あったんだよね
    知事として赴任していた
    息子さんが殺されて
    それから8年間の
    戦争だったから
 
  (‥ )そりゃ
      ぶっ壊すよな
 
 バビロンときたら、調子のいいこと言ってすぐに降伏して臣従したかと思うと、すぐに外敵と手を結んで裏切るし、反乱するし、破壊しようにもメソポタミア全域に影響を及ぼす寺と宗教があるし、破壊しても権威が残るし、だからこそ敵が入り込んで占拠して天下に号令するし、反乱の温床になるし...
 
 ∧∧
( ‥)そんな都市ぶっこわせよと
    思うけども
    それは実際にやったし
    やったけど
    うまくいかなかった
    これが現実
 
  (‥ )この現実を
      どうするのかが
      政治なんだよな
 
 



  

2022年10月2日日曜日

不死の存在は関係も不滅なので、半永久的に付き合う必要がある

 
 ラジオ アッシリア
 
 不死の存在は関係も永久なので、喧嘩するわけにはいかないし、喧嘩したら必ず手打ちに応じなければいけない。

 これゆえに、カルト教団だからと言ってひとつの教団を解散させるのは愚策で悪手だという話。



 
 ∧∧
(‥ )実際さ
\−  アッシリア帝国は
    ひとつの宗教を完全破壊
    しようとしたよね
    できなかったけど
 
  (‥ )首謀者の皮を剥いで殺して
      宗教都市をまるごとひとつ
      押し流して破壊したけどな

 それでも相手の宗教を滅ぼせなかった。アッシリアの暴虐をもってしてもこれである。

 カルトだから教団を解散に追い込み、地上から消そうというのはほとんど無理な話。法律で制限を加えつつ、付き合い自体は続けて、そうして社会の組み込むのがせいぜいであった。
 
 ちなみに
 
 ∧∧
(‥ )一部弁護士が主張してる
\−  教団の解散命令って
    実際には
    法人ではなくなるだか
    なんだかで
    ”解散”ではないみたいよね
 
  (‥ )でもみんなは
      解散命令は解散だと
      思い込んでるからな
      話としては
      これで良いのだ
 
 



  

2022年9月27日火曜日

安倍首相と宗教のお付き合いは形式的な

  
 ニネヴェ図書館のラジオ アッシリア 
 
 Q:安倍首相と宗教の関係って何?
 
 A:鉄砲玉屋とは形式的なおつきあい
 




 ∧∧
(‥ )人間の集団や組織は
\−  個体を超えた半不死だから
    付き合いをやめても
    付き合いを続けざるをえない
 
  (‥ )でも相手が困ったことを
      した場合どうするか?
      お付き合いを
      形式的にすればいい
      それが政治って話だ
 
 ∧∧
(‥ )戦争している国家も
\−  対話の窓口は
    開いてるからね
 
  (‥ )相手がカルトだから
      付き合いをやめろって
      それは隠キャの発想で
      政治家の発想じゃ
      ないんだよね
 
 ∧∧
(‥ )アッシリアも
\−  バビロンとは最後まで
    付き合いを続けたし
    ついにそれで
    滅びたしね
 
  (‥ )アッシュルバニパルの
      おじいさんである
      センナケリブは
      バビロン市を
      完全破壊したけど
      宗教古都を破壊したのは
      問題だったから
      息子のエサルハドンが
      結局は再建してるしな
 
 
 もちろん、それはそれで問題を引き起こしたのである。

 破壊者であったセンナケリブの孫であるアッシュルバニパルの治世が終わると、果たしてバビロンは反乱を起こし、ついにアッシリアは滅びたから。
 
 ∧∧
( ‥)でもそれこそが
    付き合いなんよね
    滅亡の原因になったから
    といって
    バビロンを再度完全破壊すれば
    良いかと言うと
    そうではないはず
 
  (‥ )うれいを除きたいから
      全滅させればいいって
      考えがちだけど
      そうはいかんでな
 
 アッシリアの対バビロン政策には問題があって、それがついに国を滅ぼした。

 しかし、だからといってバビロンを破壊すれば問題が解決するものではなかった。

 つきあいとはそういうものなのである。
 
 
      


  





2022年9月21日水曜日

元素量の違いは灰を作る星の種類を反映する

   
 ラジオアッシリア 大地も人も星の灰で出来ている。しかし、その成分には明らかに偏りがある。周期表で言うと鉄までは多いが、そこから先は二桁、三桁、量が減るし、金銀はさらに二桁、三桁、量が減る。
 





 ∧∧
(‥ )鉄までは
\−  星の中で作られる灰
    そこから先は
    超新星爆発で
    作られる灰
    金や銀はどうも
    中性子合体でできるらしい
 
  (‥ )生産所である
      星の種類とその個数が
      多い元素ほど多くなり
      超新星爆発とか
      中性子星合体とかになると
      出来事の数が減って
      合成される元素が減る
 
 おおむね、そういう理解で良い。
 
 ただし、実際はもっと複雑。
 
 ∧∧
(‥ )案外にも銅は
\−  合成過程がよくわからない
    みたいだよね
 
  (‥ )銅は原子核が鉄より重い
      元素だから
      なんらかの形で
      エネルギーが投入されて
      できるんだよね
      問題はどのエネルギーかだ
 
 
 超新星爆発だとも言うし赤色巨星内部でエネルギーが投入されてできるとも言うし、詳細を把握するのは難儀であった。
      
      
  

2022年9月18日日曜日

大地と人は星の灰から出来ている

 
 宇宙は最初、水素とヘリウムしかなかった。これゆえに大地もなく、無限の夜に星が輝くのみ。

 しかし燃え尽きた星が灰をばらまくと、その灰から大地ができた。


 

 
 ∧∧
(‥ )でっ、この話は
\−  前座なのである
 
  (‥ )問題はこうして出来た
      地球地殻の成分には
      あからさまな
      偏りがあるって
      ことでな
 
 

2022年9月16日金曜日

金が地球に来るまでの話

  
 中性子星合体でできる金。それはどのようにして地球に来たのか? の話


 
 
 

 
 ∧∧
(‥ )まあ語るほどのない
\−  単純な内容だけど
    実際は複雑なんでしょ?
 
  (‥ )合体時に磁場の乱流が
      起きて
      それで中性子星物質が
      放出されるという
      研究があるみたいだ
      詳細は把握してないけど
 
 まあ、大雑把な説明や理解としてはこれで良いのだ。
 
 

2022年9月13日火曜日

中性子星合体でできる金をお金にするのは無茶だという話

 
 金はあまりにも少なくて、皆を豊かにすることができない。金をお金にするという発想がそもそも間違っていたのだが、ではなぜ金はこんなに少ないのか?

 それは金が中性子星の合体というまれな出来事で生成する元素だから、という話。
  




 ∧∧
(‥ )昔は超新星爆発で
\−  合成されると考えられていたけど
    考えてみれば
    超新星爆発で出来るにしては
    異様に少ないよね
 
  (‥ )銅も超新星でできる
      元素だけども
      金の1万倍あるからな
      いくらなんでも
      金が少なすぎる
 
 そして合体できる中性子星。つまり双子の中性子星は数が明らかに少ないはずであった。

 中性子星を生み出せるほど巨大な恒星。太陽の8とか10倍、それ以上の重い星。このような星は明らかに少ない。夜空を見てもそれに該当する星はわずかであったし、双子の重い星というともっと少なかった。
 
 ∧∧
(‥ )オリオン座のミンタクは
\−  肉眼で見れる星では
    双子の中性子星になれそうな
    候補だけども
 
  (‥ )ミンタクはちょっと
      怪しい節もあるから
      これは確実では? という
      おおいぬ座UW星を
      例にあげたのよ
 
 まあミンタク(オリオン三つ星の一番右のもの)でも以上の論は成立する。オリオン座には中性子星を生み出せる巨星がいくつもあるが、連星中性子星をつくれそうな双子の巨星はミンタク。そしてラムダ星メイッサぐらいであろうか、つまりはほとんど無い。
 
 ∧∧
(‥ )こんな少数の星でないと
\−  生み出せない元素を
    お金にするなんて
    正気じゃねえな
 
  (‥ )金貨って実は
      相当お馬鹿な発想なのな
 
 
 こんなお馬鹿な発想がまかり通ったのにはわけがあるのだが、それはまだ先の話。
 
 
 ちなみに
 
 ∧∧
(‥ )実は連星中性子星にも
\−  解決すべき問題が
    あるんだよね
    二つの巨星が超新星すると
    連星が解消されてしまう問題
 
  (‥ )解決策も
      それが実際に起きている
      証拠も見つかってるけど
      そういう話は省略だ
 
 *最初の超新星で片割れの外層が剥ぎ取られると、次の超新星と質量欠損による連星解消が起きなくなるという話。

 
 あるいは、中性子連星は星の密度が高い球状星団で出来る。連星同士が星を交換して、中性子星のペアが出来るという説もあるが、それも省略。
 
 
 
 
  

2022年9月9日金曜日

この宇宙で稀少な元素、金をお金として使うことがそもそもの間違いである

   
 ニネヴェ図書館の科学史漫画 番外編の12
 
 金はこの宇宙において極めて量の少ない元素である。こんな少ない元素をお金として採用するのがそもそもの間違い。だから金本位制は破綻してしまうという話。

 




 ∧∧
(‥  )地球地殻における
\−  金の含有量は
    1トンあたり0.004グラム
    1000トンなら
    4グラム
    2000トンなら
    8グラムで
    ソブリン金貨1枚分
 
  (‥ )9メートルの
      立方体の岩石は
      体積が729立方メートル
      密度が1の時
      これは729トン
      地殻を
      花崗岩の密度2.67gで
      近似した時
      1946トンで
      ほぼ2000トン
 
 つまり9メートル四方の土地につき、ソブリン金貨1枚があることになる。これはグラム5000円の時4万円だ。
 
 ∧∧
(‥  )家一件を20メートル四方と
\−  考えた場合
    一世帯に地球が用意できる
    金貨はせいぜい16万円
    これっぽっちの資産しか
    裏付けられないなんて
    絶望的だな
 
  (‥ )金みたいな稀少な元素で
      財産を記述することが
      いかに間違いかって
      ことなのだ
  
 
 もちろん、実際はもっと絶望的なのである。なるほど、陸地の表面積だけでも1億5000万平方kmの土地があり、それを総人口の78億で割ると、1人あたり130メートル四方の土地を持つことになり、そこに含まれている金の総量は1・8kgに達する。
 
 ∧∧
( ‥)でも金ってさ
    反応しにくいから
    鉱脈が少ないんだよな
    130メートル四方に
    2kg弱の金があっても
    意味なんかねー
 
  (‥ )人類が鉱脈から掘り出した
      金の総量は約20万トン
      一人当たりの取り分は
      26グラム
      グラム5000円で
      13万円なんよ
      ここまでしか
      保証できないんよ
      金は絶望的なんよ
 
  
 以下9月16日に追記
 
 2000トンの地殻岩石に含まれる鉄の量を間違えていたので修正。100kgではなく100トン。重量で言うと酸素とケイ素に次いで多い。立方体にすると2・3メートルの大きさになる。

 
 ∧∧
(‥ )まあこれだけあれば
\−  鉄銭を作ろうと
    考えるよね
 
  (‥ )それでも
      うまくいかなくて
      紙幣になったけどね
 
 その話はしばらく先。
 
 
  
 
 

2022年9月2日金曜日

金本位制の破滅 金2300トンを分配すると1人8万円以下

  
 ニネヴェ図書館の科学史漫画 番外編の11

 
 
 ∧∧
(‥ )ロシアの金
\−  2300トンは
    23億グラムだから
    ロシア国民
    1億4680万で
    割ると
    1人あたりおよそ16グラム
 
 
  (‥ )今の価格
      グラム8000円で
      考えると
      13万になるけど
      今の金価格って
      中露が買い漁って
      値上がりしたもの
      だからな
 
 つまり、国が放出すると金価格が下落する。
 
 2010年代はグラム5000円だったし、90年代は1000〜2000円だったことを考えると、ロシアの金が保証できる国民の資産は1人あたり8万以下、多分、2万円程度であることを示している。
 
 ∧∧
(‥ )それしか保証できないと
\−  知った人から
    ルーブルを金に換えるし
    全員に十分行き渡らないと
    わかったら
    大パニックだ
 
  (‥ )人々は金の引き換えに
      殺到し
      ロシア政府は
      金を失った挙句に
      裏付けの金を失った
      ルーブルは暴落し
      紙幣経済は崩壊し
      ロシア国家は
      敗戦どころじゃない
      壊滅的状況に陥る
 
 
 かように、現代世界において金本位制は自殺行為なのである。

 そしてプーチン大統領は、一度は検討した金本位制を見送ったのだった。
 
 
 
 

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