ニネヴェ図書館の科学史漫画 番外編の12
金はこの宇宙において極めて量の少ない元素である。こんな少ない元素をお金として採用するのがそもそもの間違い。だから金本位制は破綻してしまうという話。
(‥ )地球地殻における
\− 金の含有量は
1トンあたり0.004グラム
1000トンなら
4グラム
2000トンなら
8グラムで
ソブリン金貨1枚分
(‥ )9メートルの
立方体の岩石は
体積が729立方メートル
密度が1の時
これは729トン
地殻を
花崗岩の密度2.67gで
近似した時
1946トンで
ほぼ2000トン
つまり9メートル四方の土地につき、ソブリン金貨1枚があることになる。これはグラム5000円の時4万円だ。
∧∧
(‥ )家一件を20メートル四方と
\− 考えた場合
一世帯に地球が用意できる
金貨はせいぜい16万円
これっぽっちの資産しか
裏付けられないなんて
絶望的だな
(‥ )金みたいな稀少な元素で
財産を記述することが
いかに間違いかって
ことなのだ
もちろん、実際はもっと絶望的なのである。なるほど、陸地の表面積だけでも1億5000万平方kmの土地があり、それを総人口の78億で割ると、1人あたり130メートル四方の土地を持つことになり、そこに含まれている金の総量は1・8kgに達する。
∧∧
( ‥)でも金ってさ
反応しにくいから
鉱脈が少ないんだよな
130メートル四方に
2kg弱の金があっても
意味なんかねー
(‥ )人類が鉱脈から掘り出した
金の総量は約20万トン
一人当たりの取り分は
26グラム
グラム5000円で
13万円なんよ
ここまでしか
保証できないんよ
金は絶望的なんよ
以下9月16日に追記
2000トンの地殻岩石に含まれる鉄の量を間違えていたので修正。100kgではなく100トン。重量で言うと酸素とケイ素に次いで多い。立方体にすると2・3メートルの大きさになる。
∧∧
(‥ )まあこれだけあれば
\− 鉄銭を作ろうと
考えるよね
(‥ )それでも
うまくいかなくて
紙幣になったけどね
その話はしばらく先。