∧∧
(‥ )漫画宝石の国を読んで
\− 一番びっくりしたのが
主人公の報復攻撃を
かつての仲間である
地上の宝石たちが
理解できないってことでね
(‥ )主人公の作戦目標は
理解しているんだよな
自分たちを無力化して
先生を確保するつもりだ
ところが同時にこれが
報復攻撃であることは
まったく理解できてないし
予想すらしていない
社会生物である人間が採用する一番典型的な行動は、相手を信用する。そして相手が約束を守ったらお返しをし、相手が裏切ったら報復攻撃をする。こういうものであった。
∧∧
(‥ )宝石たちはこれが
\− 理解できないのだよね
報復攻撃をする主人公は
人間として
行動できているけど
主人公の仲間であるはずの
宝石たちは出来の悪い
プログラムとしてしか
動作できていない
(‥ )作者がどこまで考えてるか
知らんけども
報復攻撃を理解も
予測もできない
宝石たちには
本当にぎょっとしたよな
宝石の見た目は人間だし
宝石だけに美しいけれど
ただの出来の悪い
人間もどきでしかない
なんて無様な存在だろう
しかもこの物語、この美しき宝石人間に心を魅せられてしまった存在が二人出てくる。それは宝石たちを最初に保護した先生であり、そして宝石を見守ってきた月の王子。
∧∧
( ‥)彼らは宝石の美しさに
狂ってしまったと
自分を申し述べているけど...
( ‥)実際は二人とも最初から
−/ 狂っていた欠陥品と
見るべきだろうな
報復攻撃を理解も
予測もできない
そんな雑なプログラムを
評価するなんて
それはお前たちが
そもそも壊れた
出来損ないである証拠だ
少なくとも正常なプログラムを搭載されて動作している人間としてはそう判断せざるをえない。
しかしここで疑問が起こる。
報復攻撃を理解できない欠陥プログラムな宝石たち。これを愛でる人々。宝石の国の推しを愛でる読者たち。
彼らもまた人としての動作が壊れているということであろうか?
確かに言っちゃなんだが、推しを愛でるというのは状況把握という点から評価すればバグのようなものであった。
なんでかというと、推しとは概してストーリーからは読み取れない妄想にすぎず、物語の記述を読み解くという読解力評価の点からすればあからさまにこれは誤動作なのである。
例えば宝石の国において主人公とシンシャのカップリングは有力な推しの一つではあるが
∧∧
(‥ )でも読んだ限りでは
\− 主人公とシンシャがなぜ
そこまで推される
カップリングになるのか
理解できなかったよね?
物語的にはそこまで
積極的な
記述はないよね?
(‥ )今度こそ一緒に
月へいこうと
手を差し伸べる主人公は
良かったけどな
でもシンシャは
自分だけの特別扱いを
求めて拒否するし
めんどくさい子なのよね
シンシャはへんなところで妙に人間臭いし、あるいは非常にわがままだった(これは宝石全体に言える特性だけども)
ともあれ、そして、おかしいな? 途中までうまく交渉できたはずなのに、どこで間違えたのだ? と頭をひねる主人公の戸惑いは良かった。
∧∧
(‥ )でもこの関係が
\− なんで推されるのかは
よく分からんですな
このカップリングは
文脈把握という点では
言っちゃわるいけど
妄想バグのようなもの
(‥ )まあ重要なのは
読者を理解することでは
ないのだな
なんだか知らんが
読者はわずかな
手がかりから
カップリングを
想像して推す
重要なのはこの事実だよ
こういう文化はなるほど、元からあったには違いない。しかし近年その傾向が以前より強まったのは確かだ。
物語そのものではなく、キャラと推しのカップリングに重点が置かれる。
これは同人誌による二次創作文化の発展で推進されたのかもしれない。そして俺の嫁という言葉があるように、物語よりもむしろキャラそのものを楽しむ方向性が強調された結果であったのかもしれない。
ともあれ、こういう文化が発達した結果、大した記述のない二人でもロメオとジュリエットのような深く悲劇的な関係へと昇華されるのであった。
∧∧
(‥ )これを考えると
\− 推しを愛でる人は
バグってるわけじゃ
ないんでしょうな
推しを妄想して楽しむ文化を
楽しんでいるだけなのだと
(‥ )この事実を応用すれば
売れる作品ができるし
そもそも
今時はこれを意識して
作品が作られて
いるんだろうけどね
もちろん、カップリングへの露骨な誘導に意味はないのであった。そういうのは嫌われるので。
∧∧
( ‥)なんでだろうね?
(‥ )宝石は自分の力で
発掘した方が
面白いからじゃね?