自己紹介

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2016年9月7日水曜日

イラストレーター人生ゲーム逃走譚

 
 ∧∧
(‥ )イラストレーターの半分以上は
\−  年収100万程度
 
  (‥ )ははっ
      俺もずいぶん長いこと
      そうだったよ
      そんなもんよね
 
 ∧∧
(‥ )こんなもの確定申告での
\−  ごまかしでしょ? という意見
 
  (‥ )必要経費を抜く以前に
      100万以下になることも
      普通なんだけどな
      世の中こんなもんよ
 
 ∧∧
(‥ )駆け出しはこれが
\−  普通なんだよ
 
  (‥ )時間が経過すれば
      給料が上がるという
      前提っぽいが
      さてどうだかねえ?
 
 ∧∧
(‥ )絵を描く人が多すぎて
\−  過当競争なんだという意見
 
  (‥ )個性化しても
      勝てる訳じゃないけどな
 
 ∧∧
(‥ )ソシャゲとかが
\−  イラストレーターを
    買いたたき過ぎなんだよ
    という見解
 
  (‥ )まあ連中は相場も
      知らないぽっと出だからな
      でも連中には連中の
      経済的な理由が
      あるからねえ
 
 ∧∧
(‥ )イラストレーターなんて
\−  申告の必要がないエロ同人で
   しこたま儲けているんだろ?
   という意見
 
  (‥ )まれな事例を持ち出されて
      全体を語られてもな
 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
  (‥ )単純に考えてみよう
 
 例えば、エロ同人誌でしこたま儲けるにはどうすれば良いか? その条件を探ってみよう。
 
 仮に1000円のエロ同人誌を1冊売ると、1000円の利益が出るとする…
 
 ∧∧
( ‥)そんなわけねえだろ
 
  (‥ )単純に考えるとは
     非現実に理想的な場合を
     考えてみることだ
 
 例えば理想気体なんか、原子や分子を大きさを持たない点であるというトンデモ仮定を置いているであろう?
 
 1000円のエロ同人誌を1冊売ると純利益が1000円出ます、というトンデモ仮定もそういうものだと思えば良い。
 
 ともあれ、そのありうべからざる理想条件で100万を稼ぐにはどうするか?
 
 ∧∧
( ‥)10冊で1万円
    100冊で10万円
    100万円を稼ぐには
    1000冊を売れってことに
    なるね
 
  (‥ )同人誌を1000冊売る
      理論上は可能だよな
 
 ∧∧
( ‥)まあ無理だがな
 
  (‥ )そういうことだ
 
 
 同じように、1枚の絵を1万円で売ることができたとする…
 
 ∧∧
( ‥)1枚1万円の絵って
    めったにない仕事だろ?
 
  (‥ )これは理想気体論ですから
 
 1枚1万円の絵で100万かせぐには年間100枚売れば良い。
 
 ∧∧
( ‥)1万円の絵の依頼が
    ほぼ4日に1回やってきて
    描く方も4日に1枚のペースで
    描くってか?
 
  (‥ )なんの仕事だろうね?
 
 例えば週刊誌があって、そこから毎週仕事の依頼がきて、2万の報酬がもらえるとする。それなら以上の条件を満たすことができる。
 
 ∧∧
(‥ )週刊誌の連載を抱えている
\−  イラストレーターが
    いったい何人いるんだよ
 
  (‥ )さあねえ?
 
 週刊誌の表紙を描く、とかだったら、生計は確保され、なおかつ報酬額はもっと大きかろう。そうなれば万々歳だ。
 
 しかし...週刊誌の表紙を延々と描けるような立場になっている人は幾人いるだろう?
 
 そもそもそれ以前に、同じ人に延々と表紙を頼んでいる週刊誌が幾つあるか?
 
 これ、状況をラノベのような単行本にしても基本は同じである。あるラノベのタイトルの表紙を延々と描くことに成功しても、ラノベは多くて1年に4冊。それで100万を越えるには表紙1枚の金額が25万でなければならない。
 
 
 ∧∧
( ‥)これも理論上可能である
    そういう事例もありました
    それだけの話だな
 
  (‥ )以上と反対に
      雇う立場になってみよう
 
 相手が1人だろうが、100人だろうが、自分が手がけた企画で100枚のイラストが必要となった時、イラストレーターに払う金額は合計で幾らか?
 
 ∧∧
(‥ )1枚につき1万円だと
\−  それだけで100万いくな
    そこまで払えて余裕が
    もてるほどの企画って
    なんでしょうね?
 
  (‥ )諸々の経費に
      さらに100万を
      上乗せして投資しても
      元が取れる目星が
      ついている企画
      大手出版社の図鑑とかは
      そういう事例だな
      だけどこれはまれな
      事例でもある
 
 イラスト代に100万。

 自分の企画において、上司や関係部署と打ち合わせする時、これはきつかろう?
 
 だが1枚5000円だと50万ですむし、2500円だと25万ですむ
 
 さあ、あなたならどうする?
 
 ∧∧
( ‥)可能な限り押さえるよね
 
  (‥ )まあ押さえた結果
      1枚5000円だと
      しようか
      出版社なんかは良心的でな
      ぽっと出のソシャゲとかと
      違ってちゃんと
      業界の相場があるんですよ
      1枚5000円とか
      良心的なのよね
 

 
 5000円で100万をかせぐには、200枚描かなければならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )年間で言えばほぼ2日に
\−  1枚のペースで描かないと
    実現不可能ですなあ
 
  (‥ )2日に1枚描ける絵と
      いったら
      まあ可能な限り単純で
      あるべきだよね
 
 そう思って考えると、色々と腑に落ちよう
 
 実際、皆はしばしば不満をもらすであろう?
 
 なぜ白黒なのか? カラーが見たいのに
 
 なぜプロなのにこんな手抜きな絵を描くの? 劣化したの? 皆、さんざん、そういう不満をもらしていたではないか。
 
 なぜプロの絵はああいう描き方なのか。
 
 なぜ素人の方がやたらとこった絵を描くのか。
 
 なぜ素人の方が素晴らしい絵を描いている場合もあるのに、彼らに依頼がこないのか?
 
 あるいは依頼が来てもとんでもない値切られ方をするのはなぜなのか?
 
 ∧∧
( ‥)一週間かけて描いた
    女の子のカラーイラストが
    3000円にしかならない
    とかね
 
  (‥ )大赤字だよね
      日給400円だよね
      でもそれには
      理由があるんよ
 
 
 しかし、

 理由があるから値切られるとか

 出版界は伝統があるから安くても相場はあるよ、少なくともこれまでは、とか


 それ以前にである。
 
 1枚5000円、場合によっては3000円に収束してしまう絵の単価。

 これで年収100万を目指すには年間200枚とか333枚のイラストを描かなければならない。
 
 描かなければならないが…そもそもそんな大量の仕事の依頼って一体全体、何よ? という問題。
 
 ∧∧
( ‥)何よ?
 
  (‥ )知らんよ
 
 素晴らしいイラストを高値で売ればいいじゃないか、と言っても状況は同じだ。
 
 1年に1枚、100万円の絵を売るのか
 
 1年に200枚、5000円の絵を売るのか
 
 どっちも100万を達成できるが、どれが可能であるのか、それは個別の問題でしかない。

 つまるところ、どれを取るかなんて、そんなことどうでもいいことなのである。
 
 本質は個別の事例の背景にある単価×枚数という単純な方程式だ。そしてこれを満足させるには依頼の質と数という現実が相手となる。

 イラストレーターという人生ゲームはこの前提と式を満足させつつ、十分な報酬を達成せよという、ごく単純なものであるのだが...
 
 ∧∧
(‥ )事実上、無理ゲーだな
\−
 
  (‥ )みんなそうやって
      詰んでくんだよねー
 
 ∧∧
( ‥)お前も他人事じゃ
    ねーぞ
 
  (‥ )ゲームがいよいよ
      佳境に入って
      まいりましたー!
 
   

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