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2016年2月17日水曜日

幽霊は存在しないが妖怪は実在する

 
 宇宙人とか宇宙生物とか、そういう単語で検索すると世の不可思議な感覚を見ることができる。
 
 ∧∧
(‥ )世の中の多くの人が
\‐  宇宙人とか宇宙生物を
    信じているのである
 
  (‥ )それ自体は当然なんだ
 
 夜空に輝く星。あれらが遠く離れているだけで実は地球の太陽のように巨大な存在であると学んだ時、人は星空の世界が太陽であふれていることを知り、そしてそこには当然、地球があふれていること、ならば生物と人がいることを直感したのであった。
 
 ∧∧
( ‥)つまり宇宙生物と
    宇宙人
    これ自体は当然な
    発想なのである
 
  ( ‥)問題は一般の人の
    ‐/ 宇宙への理解が
      いい加減だから
      宇宙人の設定が
      非常に安易だって
      ことなんだよなあ
 
 もちろん、設定が安易なのは、娯楽の基本である。だからこれはこれで良い。

 楽しめれば良いのだから難しいことを考える必要はない。
 
 魔法というものがそうであろう?
 
 あれは現実世界だったら物理学や化学を把握して、冶金学に基づいて必要な機械を作り、技術的に操作しなければならないところを、意味不明の呪文で代行したものだ。
 
 ∧∧
(‥ )要するに肝心な部分は
\‐  難しいからはしょります
    ということですね
 
  (‥ )現実的に大魔法を
      展開すると
      戦車を工場で作って
      火薬と燃料を含めて
      補給と兵站を整えて
      運用しなければ
      いけなくなるからな
      これらの全部を
      ”いにしえの名において
      炎の精霊イフリートに
      なんちゃらかんちゃら〜”
      と言うだけですませるのが
      魔法による手抜きと
      その醍醐味ですよ
 
 宇宙人にもこれが当てはめられた。こうして宇宙人は遠く異星の環境で進化した生物ではなく、妖怪になったのである。
 
 ∧∧
( ‥)進化や生物学や歴史学の部分を
    魔法で簡略化したら
    そりゃ妖怪になりますわな
 
  (‥ )でもさ
     宇宙人を信じている人に
     グレイってあれは妖怪だろ?
     と言うと
     はあ??
     と言ってくるんだよな
 
 自分が学生時代の時にはちょうどグレイだのMJ-12だのが流行った時期だったので、同校、他校を問わず、同期であれば皆、なにかしらグレイを信じていたのであった。
 
 ∧∧
(‥ )あなたから見れば
\‐  小学生の時に読んだ
    種々雑多魑魅魍魎な
    宇宙人の数々が
    突如グレイに一本化された
    悲しい出来事だったけど
 
  (‥ )大概の人はあそこで初めて
      宇宙人に触れたのだよね
      そして娯楽として
      消費していたのだ
 
 自分からすればグレイは妖怪であったが、同期の連中からすればグレイは確かに宇宙人であった。
 
 そういえば皆、幽霊も信じていたな。
 
  ( ‥)幽霊はいないけども
      妖怪は実在するぞ
      と言ったら
      はあ? 何言ってるの??
      と笑われたものだが
 
 ∧∧
( ‥)文面だけ聞けば
    そりゃ笑うでしょう
 
 人間に魂など無い。無いものを肉体から分離することはできない。魂と呼ばれるものは神経回路の影でしかない。だから幽霊は存在しない。

 しかし妖怪は人の認識から誕生する。つまり実在はしないが、脳神経から必ずや生まれてくるものだ。
 
 ∧∧
(‥ )もちろんその意味では
\‐   幽霊も存在することに
     なるんだよね
 
  (‥ )魂ではなく
      神経回路の影として
      幽霊もまた
      必ず生まれてくる
      でもそういう幽霊って
      故人の魂ではなくて
      やはり妖怪だよね
 
 幽霊はしばしば女性の姿で現れる。これ奇妙なことなんだが、幻覚とはそういうものであるらしい。アル中の患者が断酒したら部屋の天井近くに女の顔が浮かんで、にやっと笑ったとか、その有り様は妖怪的だ。
 
 そしてどういうわけか世界のあちこちで、白い服を着た女性の怪というものが目撃される。
 
 ∧∧
( ‥)なんだ? お前ら
    ホモ・サピエンスは
    白っぽい女性を幻視するように
    脳が出来ているのか?
 
  (‥ )かもしれん
 
 あるいは実のところ、白っぽいのではなくて、色が無い、のかもしれない。

 以前、”霊感の強い人”が言う事をまとめてPhotoshopで再現画像を作った、というのがあったけども
 
 ∧∧
(‥ )あれは確か
\‐   ほとんどモノクロの人物像が
    うっすら風景に重なっている
    そういう画像でしたよね
 
  (‥ )いかにも
      外部の視覚情報に
      脳内で作った画像が
      上書きされてるって
      感じだろ?
      それを暗い背景で見ると
      白っぽいになるのかもな
 

 人の魂は実在しない。なれば我々が幻視するものは、それが例え人の姿であろうともむしろ妖怪的な挙動を示す。
 
 そうであればどちらがより我らの影としての実在が濃いか明白であろう? すなわち幽霊は存在しないが、妖怪は実在する。それは絶えず、我々と共にある。文字通り影のように。そして状況次第でそれは顕現し、幻視されるだろう。外部の視覚情報に脳内の出来事が上書きされてしまうのだ。
 
 ∧∧
(‥ )単調な状況などで
\‐  外から入ってくる感覚を
    遮断されると
    脳が生み出す幻視が
    見えるみたいね
 
  (‥ )外部の情報が遮断されると
      必然的に
      上書きが目立つようになる
      夜の高速道路で
      フロントガラスの上から
      女の顔が覗き込んでいた
      そういうやつだな
 
 深夜、高速道路を延々と走っていると、フロントガラスになにか流れるように滑り落ちてくるのに気づいた。最初は水かと思ったがそれは長い髪の毛であり、次に指が、手が、そして逆さまになった女の顔が車内を覗き込む。
 
 そういう妖怪、魑魅魍魎に比べれば、グレイはもっと都市伝説的なものではあろう。そもそも発端がフィクションである未知との遭遇なんである。人面犬とかと同じ程度のたわいもないだ。

 だが、グレイが妖怪であることには違いない。皆はグレイを娯楽として消費した。
 
 ∧∧
(‥ )あなたはそれが
\‐  気に食わなかった
 
  (‥ )本を書く身になった
      今となっては
      気に食わない以前に
      深刻であるね
 
 一般消費者は宇宙人や宇宙生物に興味はあるが、生物学と進化学の部分を魔法で簡略化して妖怪にしてしまう。
 
 ∧∧
( ‥)つまりムー的な話に
    変換しないと
    娯楽として買ってもらえない
    わけだね
 
  (‥ )ちょっと困った話だろ?
      だけどこの現実を
      無視するわけにもいかん
 
 皆は宇宙人に興味を持つが、宇宙人を妖怪にしないと理解できないという現実。
 
 
 
 

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