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2012年8月31日金曜日

雷と紀元前669年の惑星騒動

 
 
 夜、散歩にいってぼんやり月と星を眺めていると、西空の方がちかっと、何度か光った。
 
 ∧∧ 雷ですかね?
( ‥)
 –( ‥)空全体を光らせると言えば
      雷だろうなあ
 
 湿気の多い夜だった。まだ2時だというのにベンチは露でびしょぬれで、丘から西を眺めると、視界は悪く、遠くはかすみ、月の光で何もかもがミルク色がかった灰色に沈んでいて、なんとなく遠くにひと塊の雲が見えるだけだった。
 
 月明かりで全体が一様に溶けたような空では、なんともはかなげに見える雲だけれど
 
 ∧∧ びかっと光りました
( ‥)
 –( ‥)なんと、あれは雷雲かい?
      確かに、雲の上は平らに
      広がっているけども...
 
 音はまったく聞こえない。よほど遠くらしい。
 
 家に帰って調べて見ると
 
 ∧∧
(‥ )該当する雷雲というと、
\–   富士市みたいですね
     富士山南山麓を中心に
     相当な豪雨です
 
  (‥ )なんとねえ、その距離で
      あの高さだったのか。
      でっかく高い雲だった
      のだな。
 
 さて
 
 紀元前669年、ある占星術師より、来月から水星が上がります、と聞いたアッシリアの王エサルハドンは占星術師イシュタル・シュム・エレシュに手紙で聞いた。
 
 「本当かい?」
 
 イシュタル・シュム・エレシュは手紙で返答して曰く、「いや、もう上がってますから」
 
 ∧∧
( ‥)ところが金星の件も書くべき
    だったのに、
    それを書き落としたせいで
    エサルハドンさんが
    「えっ? 金星の方は
    もう上がっているわけ?」
    と勘違い
 
( ‥)一応、みんなに聞いてみるか
  –□ 王室占星術師のみなさん
     ナブ・アッヘ・エリバと
     バラシに
    「金星上がってるの?」
     と手紙を発送。
 
 ナブ・アッヘ・エリバさんは、「はあ? まだ見えませんよ? それ言った奴ろくでなしですわ。明日の集まりでとっちめてやります」と返答

 ∧∧
(‥ )バラシさんは曰く、
 □–  「わが陛下、繰り返しますが
     その人は水星と金星の区別が
     ついておりません」
     と返答。大騒ぎですね。
 
 (‥ )「そいつ惑星の区別ついてない
     ですよねー」という揶揄が
     メソポタミアの楔文字に
     あるとは聞いていたけども
     このエピソードか。
 
 ∧∧
( ‥)でもまあ、誤解は解けて
    ナブとイシュタルのみんなで
    夕刻に観測して満足しました
    byバラシ
    というオチですか
 
  (‥ )なんかもう今の占星術師と
      違っていい加減なことを
      言えないのな
 
 占星術師といっても暦と天体観測をまかされた人々で、現在でいうと天文学者に相当する。占星術自体、今のように複雑過剰にごてごてしたものではなく、こういう事例の時にはこう言われてますね、程度のもので、言動はシンプル。惑星の運行を記述し切れるようなアルゴリズムがないから、当然、観測重視。おまけに社会的な責任は重大なので色々と大変だったらしい。
 
 
 
 
 

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