自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2012年8月27日月曜日
しろと言われるならやるしかあるまい
昔、ある掲示板でこんなことを言った連中がいた。
∧∧
( ‥)北村なにがしの書いた本を
読んできたのに、彼のblogで
の言い様は刺々しく幻滅です、
でしたっけ?
( ‥)んー、読んだのは良いけどね
–□ 続けて出てくる言葉が
イリジウムが地球深部へ
いったというけども、
だったらマントルから
イリジウムがやってくる
はずです、なんだよな
あれは愕然としたね
時々、勘違いする人がいる。
イリジウムが地球深部へいったのは、これが重い元素だからである、と。
∧∧
( ‥)まあ、重けりゃ沈みますからね
(‥ )確かにイリジウムは重いのだ
白金やウランよりも重い
ウランは立方mあたり
18950kg
イリジウムは22560kg
あるからな
しかしだ、地殻における存在比はppmで換算するとウランが2.4、イリジウムは0.000003である。
∧∧
( ‥)6桁も違っている
重さが効いているのだと
したら、明らかに
おかしい値です
( ‥)実はさ、効いているのは
重さじゃないんだよね
学校で元素の密度や重さや存在量はある程度習ったはずだよな? 思い出してご覧。おかしいと思わなかったのかね?
そうは思わずに、マントルにもイリジウムがあるはずだ!! と力説したのなら、では、かつての勉強とか学校の時間は何の意味があんの?
∧∧
( ‥)似たような勘違いをしていた
ライターさん、いましたよね
( ‥)彼はな、先の連中よりも
きちんとはしていたんだ
イリジウムがあるのは地球のコアだ。
そこまでは正しい。だがしかし、
∧∧
( ‥)コアとマントル下部の境界層から
プリュームが上がる時、
地上にイリジウムが供給される、
と書いてしまいました。
(‥ )最低限、彼も疑問は
抱かなかったのよね
効いているのが重さでない以上、そのプロセスで地球のコアから地上にまでイリジウムが本当に供給されるの? そう思うのなら、なぜどうしてイリジウムはコアにあってマントルにないのかもう一度考えた方がよくね? 理屈おかしいだろ。
そして、ああそうね、確かに書かなかったよ。この本=>*でもね、最初はその説明があったけども削ったよ。だってそうだろう? ”地球深部からは供給されない”ということを鵜呑みにしてればいいんだよ。それでも考えるのなら調べればいい、そうすれば気づくはずだ。なぜイリジウムが鉄を主成分とするコアにあるのか?
∧∧
( ‥)でっ、なんでこんな話を
ぶつぶつ言っているのか
というと
( ‥)先日、某所で本の一部監修に
関して協力を要請した時、
某研究者から
こんなことを言われてなあ
大学生向けの本? いや、大学院生向けでしょ?
∧∧
( ‥)教科書は初歩しか書いていない
普及書は間違いだらけ、
だのに、いや、それゆえにか
次のステップがいきなり英語
日本語の教科書なーい
( ‥)確かにその状況だと
学生さんの構造がピラミッドに
ならないんだよね
|
____|____
↑こうなります ジャンルとして後継者がなくなって滅びる運命
∧∧
( ‥)初歩で放り出されて、
それでも右も左も分からぬままに
とにかく自力で英語を読み、
文献を調べ、金と労力をつぎ
こんで到達するのは、ほんの
わずかな上澄みだけ
( ‥)おまけにさ、普及書は
間違いだらけなわけだろ?
武器も持たせず地雷原と敵がいる
まっただなかに突撃させる
ようなものよな
*普及書には、ここ=>*で書いたような馬鹿話という罠がありますよ、という意味。
∧∧
( ‥)あなたはよく言いますよね
考えるな、鵜呑みにしてろ
と
(‥ )鵜呑みにしてれば、そーかー
イリジウムは地上にないんだー
で終わりなのよ、
鵜呑みにしないけど、調べも
しないで考えると、
こうすれば噴き出すぴょん!!
とか、妄言を言い出すわけさ。
だから考えるな。
しかし考えるなら、調べろ、英語を読め、フランス語もドイツ語もあるぞ。文献買うのに万単位の金をつぎ込め、図書館いけ、サイエンスでもネイチャーでもなんでも調べろ。古本屋で過去の教科書を漁れ。本が理解できないのなら、その本を理解するための本を買え、読め、借りろ。それも理解できないのならその本を理解するための本だ。
選択肢はどっちかだ。中途半端はトンデモになるしかない。
∧∧
( ‥)だけども、一般人はともかく
学生さんを相手にするなら
そうは言っていられませんと
( ‥)んー、あの人がああ言うって
–□ ことは事態が深刻だって
ことなんだ。ぎょっとしたよ
了解、了解した
確かに大学生向けの本だ。院生向けでも似たようなもんである。
そして、しろと言われるのなら、やるしかあるまい。
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