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2012年5月15日火曜日

それは隙間からやってきた


 
 そういえば先日、こんな文章をネットで見た
 
 (太陽系外縁における新惑星の発見は)面白いね、地球では2億数千万年ごとに大量絶滅が起きていて、それは太陽から非常に遠くを回っている伴星の仕業だと言われているけども、これがそうかもしれない。
 
 だいたいこんな内容。括弧内は本来は無かったけども意味が通るように付け足してみた。

 ∧∧
(‥ )これ、ネメシス騒動のうろ覚え
\–   ですよね?
 
  (‥ )まあ、そうだろうなあ。
 
 地球の歴史では同一の時期に色々な生物群が一斉に絶滅するという現象が何度か起こった。
 これを大量絶滅という
 大量絶滅は周期的に起きるという説があった
 周期性を説明するひとつのアイデアとして、非常に長い時間をかけて太陽を回転する伴星(仮名ネメシス)が太陽系外縁にある彗星を太陽系内部に向けて動かす、それが地球に衝突すると大量絶滅が起きる、というもの
 
 先の話はこれがおそらく元だろう
 
 ∧∧
( ‥)ただ、先のうろ覚えでは大量絶滅の
    周期が本来より長くなってますね
 
  ( ‥)2600万年とか3200万年とか
    –□ 説にもよるけども、2億じゃ
      一桁でかいのよな
 
 そもそも白亜紀末期の大量絶滅から2億数千万年もさかのぼったら、ジュラ紀の絶滅も三畳紀末の絶滅も、最大の絶滅と言われるペルム紀末期の絶滅も越えてしまう。そりゃあちょいと困るぜ。
 
 また、ネメシスの存在は、まあないだろう、となっている(そもそもネメシス騒動が知られていない、という時点で、忘れられた仮説ということだ)
 
 それ以前に
 
 ∧∧
( ‥)そもそも絶滅に周期がないだろうと
 
  (‥ )そう考える研究者の方が
      圧倒的に多いみたいね
 
 ∧∧
(‥ )むしろ問題は、なぜ周期がある
\–  ように”見えた”のか、ですか
 
  (‥ )これが実は化石はどうやって
      出来るの? という基本中の
      基本に関わることなのよな
 
 ∧∧
( ‥)基礎は大事ですよ、と
 
  ( ‥)こんな基本的なこと知ってるよ!
    –□ そう言う人はたくさんいるが
 
 悲しいかな、自称読書家の言っている”分かり切った基礎”というのは、複雑怪奇な現象を説明する理論をおっそろしく単純化して、覚えやすいよう、さらにその一部分だけをちょろんと抜き出して書いたもので
 
 ∧∧
(‥ )実は入門的な教科書の1ページ
\–   あるいは1行ですまされていることが
     それだけで1冊の専門書、あるいは
     1ジャンルになってしまうという。
 
  (‥ )堆積岩だけで1冊の本になるし
      その1冊を読んだだけでは
      分からないことが山ほどある
      教科書を読むには別の教科書を
      それを読むにはさらに
      別の教科書を
      読まなきゃいけない。
 
 ましてや化石が出来る過程、地層が再浸食してしまう過程、化石記録が破壊される過程、海水準の変動とその要因なんて言い出したら、そりゃあどえらいことになる。
 
 ∧∧
( ‥)そこで人はつまづくのだと
 
  ( ‥)可能な限り、基礎を見直せ
      そういうことでもあるな
 
 そしてそこに、ありもしないシグナル、つまり大量絶滅が周期的に起こっている、というシグナルを拾ってしまった原因が隠れている。
 
 ∧∧
( ‥)これ、実は恐ろしい話
    ですよね
 
  (‥ )理解の隙間に闇がある
      そこにありもしないものを見て
      それ自体を知識とし、理解に
      組み込んだ。

 さあ、では、そうして作り上げた理解とはなんだ?
 
 
 
 

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