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2011年4月6日水曜日

まあ、理解なんて想定された仮説に我田引水しただけだし

 
 少なくとも神奈川県の中央部、ここは春である。落葉してした樹木も芽を出し、森に色がつき始めた。落ち葉の間にはタチツボスミレが咲いているし、色々な花が咲いている。

 ∧∧
( ‥)状況は?

    ( ‥)最低限、原発は
        収束しているな。

 実際、このblogの記述も計画停電や輸送、運輸の混乱、買い占めや一部物資の不足などを数日前から書き込まなくなった。生活が、最低限、ここでは前の状態にほぼ同じになった、ということだ。

 選挙カーが原子力空母、原子力、核と連呼していた。

 ああ、そういうことか。原発事故が起これば出版界からマスコミ、知識人や文化人、詩人、タレント、ライターや政治家、原子力産業界から賛成派、反対派までありとあらゆる有象無象がその利益にあずかろうとする。事故は産業をつぶす一方で、それを産業にするために自称する善意から悪意から利潤から人が群がる群がる。それは現象として必然。

 100年、数百年、1000年に一度の頻度でくる、km単位で内陸にまで侵入してくる津波。それは確かに地質学者によって観測され、警鐘までされてきたのはまったくの事実。

 ∧∧
(‥ )ネットで見ると、「なにを今さら・・・」
\-   と怒っている人もいるようです。

     (‥ )ああ、それはあれだな、
        「地質学者と地震学者が同じだ」
         と仮定しているということだろうな。

 地質学者=地震学者と仮定すれば、確かに当事者が後だしで「実は知っていたんだよー」と言い訳をしているように見える。

 ∧∧
( ‥)でも地質学者≠地震学者
    だとした場合。

     (‥ )地質学者がマグニチュード9のような
         大地震、そしてそれに付随する
         大災害を扱っていた。
          でも地震学者はそうではなかった。


 という図式で理解した場合。以上のやりとりは全然、違う意味を持つ。

日本地震学会のHP→*
日本地質学会のHP→*

 ∧∧
(‥ )でも、そうでない仮定を
\-   しいている人には「何をいまさら言い訳を」
     と受け取るわけです。

     (‥ )つまりだ、ある仮定、
         あるいは想定に沿って
         物事を解釈している。

 それ自体はやもえないことである。それは誰でもしているし、この制限からは誰も逃れられない。

 ∧∧
( ‥)問題は疑わないことですね。

     (‥ )解釈し、これで分かったと
         思った時、そこで終わって確認の
         作業がなくなっている。

 色々な報道や噂が飛び交っている。想定外の地震や津波が来たらどうします? マグニチュード8以上の地震は起きないから考えるな。

 ∧∧
( ‥)ある仮定に沿って導きだされた
    結論ですね。

     (‥ )日本で地震学が成立してから
         マグニチュード9に遭遇したことがない。

 これまでなかった。想定する必要はない。この仮定には理屈の上では何の問題もない。

 ∧∧
(‥ )でももっと大スケールの時間を扱う
\-   地質学では1000年に1度の
     地震と津波も射程に当然入る。

     (‥ )歴史科学を取り込まなかった
         日本地震学の敗北。そう評した
          人がいたなあ。

 確かに、これに対して言い訳はできない。

 実はこれ、原理的にはすべての人に対して言えることでもある。

 ∧∧
( ‥)NHKの教育でも湿原から採取したコアを
    見ることで、何度も内陸に津波が押し寄せた
    痕跡を紹介していましたよね。

     ( ‥)数年前に見たな。
         北海道の例だと記憶している
         けどもね。

 「私はそんなこと知りませんでした」

 ああ、同じことは色々な立場の人が言う。それこそ知るべき人々も言うかもしれない。それは個人個人では確かに事実かもしれないが、知りませんからありません、とは、しかし言えない。

 ∧∧
( ‥)あなたもうかつでした。

     ( ‥)そうねえ、津波の話を聞いた時、
         やられた、数百年、1000年に
         1度の事象にまさか遭遇するとは、
          と思ってしまった。

 それはまったくうかつだった。

 こういう人もいたらしい。1000年に1度の事象を心配するくせに、放射能のリスクはわずかだから気にするなってどういうことよ、おかしくね?

 起きた今となっては、まあそうかもしれない。だが起きる前ならどうだ?

 ∧∧
( ‥)明らかに間違いでしょ?

     ( ‥)ああ、そういう計算をしては
         いかんのよ。

 1000年に一度だからこれから100年の間に、、、という計算ではない。大規模な地震、津波というような事象はコインの裏表や放射性物質の崩壊とは違って、平等で確率的な問題ではない。

 前の大規模な津波からどのくらい間隔を開けたのか、それこそが問題になる。

 ∧∧
( ‥)数え方にもよりますが、
    前のやつからざっくり1200年です

     ( ‥)すると答えは必然なんだ。

 事象に遭遇する可能性はずっと高い。

 
 地質学者=地震学者である。ゆえに「津波は予期されていたなんて、何を今さら」

 大規模な津波と放射性物質の崩壊は同じ確率的な事象である。ゆえに「1000年に一度を心配して、放射能のリスクは”心配するな”とはこれいかに?」

 これまでのタイムスパンにおける実経験ではマグニチュード9はない。ゆえに「マグニチュード9を想定する必要はない」

 ∧∧
( ‥)どれも同じだと。

    (‥ )理解とか分かったとかいう実感はな、
        大概の場合、想定された仮説に
        データを我田引水しただけの
         はりぼてなんだよ。

 ∧∧
( ‥)データの追加による検証の放棄、
    科学からトンデモ、妄想への
     旅路の始まりですか。

     ( ‥)矛盾がないから
         見てくれはいいんだよな。

 想定し、理解し、分かった。ああそれは結構なことである。しかし、想定がある時点で、それは必然的に想定外をはらんでいる。

 東電の社長やカイワレおじさんが無様であったように、これはこちらも変わらない。


 ∧∧
( ‥)普通の人、ですよね。

     ( ‥)地位や立場によるとな、
         普通であることは罪になるんだ。

 人の命を奪うから。

 

 

 

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