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2016年7月15日金曜日

漫画は位置情報でふやけている

 
 漫画を文章にすると、どうも4分の1か3分の1に圧縮されてしまうらしい。
 
 ∧∧
(‥ )でも興味深いことに
\−  作る手間は文章の方が楽
 
  (‥ )おかしなもんだろ?
      むしろ内容は薄くなって
      いるにも関わらず
      漫画の方が作るのが
      大変なんだ
 
 だがこれ自体は実のところ当然の結果だろう。例えば文章では「朝起きると窓の外にスズメがいた」だけですむが
 
 ∧∧
( ‥)絵でこれを説明したら
    二次元に膨らむからな
 
  (‥ )膨らんだ分
      文章に無かった情報が
      入ってくるわけよ
 
 朝起きると窓の外にスズメがいた、という文章の説明には、どんな窓なのか、窓の向きは東西南北どちら側か、スズメは窓から見てどの位置にいたのか、外の風景はなんであるか、見える物体の位置と大きさはどうか? そういう情報が丸っと抜けている。
 
 だが漫画にはそれがある。表現形式にもよるがそれを入れねばならない。
 
 ∧∧
(‥ )文章に無かった説明を
\−  二次元の配置で解説するのが
    イラストや写真、漫画である
 
  (‥ )もちろん表現形式にも
      よるけどね
      古生物学とか
      生物学のように
      ”大腿骨近位端の外側面に
      長方形をした…”
      という具合に
      標本を説明する文章が
      詳細で長くなると
      イラストや写真より
      文章が多くなるからな
 
 
 とはいえ、一般には、文章は漫画ほど位置や配置や形の説明をしていない。二次元を一次元に省略圧縮してしまっている。
 
 ∧∧
(‥ )文章は圧縮されている
\−  漫画は膨らんでいる
   この違いは多分これが
    原因だろうと
 
  (‥ )だからさ本において
      同じページ数を埋める時
      その手間は
      漫画でも文章でも
      変わらないんだよね
 
 
 というか、むしろ漫画の方が手間ひまかかるのである。考えてみれば当然かもしれない。位置や形を詳細十分に説明した文章は生物学や古生物学の記載論文のように極めて長くなる。通常の本において文章はこれを省いてしまうし、漫画はこれを描かねばならぬ。
 
 どっちが制作において手間ひま多くなるか、それは明瞭だ。
 
 ∧∧
(‥ )文章だとはしょられてしまう
\−  情報を二次元で説明するから
    漫画は膨れて
    内容が薄くなる
    だがしかし
    実は作成の手間ひまは
    むしろ多くなっている
 
  (‥ )まあなんだ
      こういうことを踏まえて
      ”文章だけの本を読む
      俺様えらい”
      という無駄に高飛車な
      意見を吟味すると
      おもろくなると思うよ
 
 実のところ、漫画と文章、内容を冗長にしてふくらませるのは文章の方が圧倒的に楽だろう。しかしそれは位置情報でふくらんだ漫画と違って、本当に無駄な話で膨らんでいるものだ。例えば、異論の列挙、あるいは思いつき、あるいは世間話、あるいは雑学、といった具合にである。

 活字大好き人間が得意げに語る素晴らしい書籍ってのはそんな程度なものである。
 
 ∧∧
( ‥)あなたとしては?
 
  (‥ )文章を膨らませるには
      本当に無駄な情報で
      ふやかす必要がある
      それに対して
      漫画は位置情報で
      膨らんでいる
      どっちが良心的かは
      明白だよね
 
 人間のほとんどは情報という固形食料を食べることができない。噛む力が無いのだ。だからどうしてもそれをふやかして柔らかくする必要がある。漫画はこの点では良心的だ。
      
  

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