∧∧
( ‥)どう?
( ‥)うーん、下描きに時間が
–□ かかったし、下塗りに
まだかかりそう
というか疲れた
∧∧
( ‥)ひと月で稼働限界ですか
(‥ )んー、予定通りだが
□– この疲れ具合は予想外
なんだよ。年かねえ
さて
時に人はビッグブラザーの出現と管理社会の到来に恐怖する
∧∧
( ‥)ビッグブラザー、略してBB
小説「1984年」において
地球を支配する3つの超国家
そのひとつ、オセアニア国の
指導者ですね
( ‥)小説の中ですら実在しない
–□ いわば仮想アイドル
でもそのせいか、
管理社会と統制好きの
独裁者を示す代名詞として
むしろ多用されるよね
*モデルはスターリンあたりを思い浮かべれば良い。
∧∧
(‥ )監視カメラの設置とか番号制
\– の導入とか、そういう時に
まるでビッグブラザーだ、
と言い立てる人いますよね
(‥ )ああ、でもなあ、妙なことに
そういう人って競争社会とか
無慈悲な資本主義とか
あこぎな内政干渉とか
あくなき国家間の対立と紛争
とか、人間の使い捨てとか
そういうの嫌うよね
∧∧
( ‥)好きな人はいないでしょうよ
(‥ )じゃあこう言えばいい?
管理社会はそれ自体では長続きできないし、ビッグブラザーもそれ自体では完璧な独裁者にはほど遠く、むしろ無力。
∧∧
( ‥)完璧な管理社会を実現
するには
(‥ )敵が存在しなくなればいい
言い換えると、競争相手が存在した時、敵が存在する時にこそ、社会は強制的に変革を求められるようになる。
∧∧
( ‥)1984年の世界は戦争を
永久に続ける、という
取り決めを結ぶことで
競争相手が存在しない状況を
作り出しているの
ですよね
( ‥)戦争の無限継続による
絶対平和、これが1984年の
骨子だし、これ抜きにして
ビッグブラザーは存続しない
まあ、そうなのだ。ソ連の独裁体制が崩壊したのも、東側諸国の独裁者が悲惨な最後を辿ったのも、国民でさえそれに巻き込まれたのも、それは敵がいたからに他ならない。
∧∧
( ‥)敵や外国、競争相手がいると
それだけで別の選択肢がある
のだって分かるし、相手に
対抗しないと敗北しちゃい
ますからね
(‥ )競争社会がいやだ、
日本の労働条件最悪とか
言う人も、よく、外国の
事例を、それが理想化
されすぎているにしても、
引き合いにだすからな。
ああ、悲し。競争社会の否定は競争相手がいるからこそできる娯楽にすぎぬ。
∧∧
( ‥)競争相手がいないのなら
( ‥)勝ち組がすべてを牛耳って
安定化してしまう。
むしろ、それをなげく愚痴
をよく聞くがね
彼らは既得権益を守るために規制をもうけ、独占し、法律をつくり、枠組みからはみ出すものを叩き潰すだろう。それでもなお変化は起きるが、その歩みはとてつもなく遅くなる。
∧∧
( ‥)でも、敵がいるのなら
より流動的になるのだと
(‥ )まあ、否定したい気持ちは
分かるよ。これは僕らの生は
無限地獄だってことでも
あるからな。
それでは血を吐くマラソンだ、ではない。この世界のマラソンは血を吐くものなのだ。いやだろうがなんだろうが、全員がもう無理だ、という臨界点まで突き進んで均衡状態として安定してしまうのだ。
∧∧
( ‥)それで言うと
(‥ )ビッグブラザーとか
管理社会とかさして
恐れるものじゃないよね
むしろ、管理する、とは自分の欲で管理するわけだから、それは守り。守りは惰弱。歩みも遅くなる。ビッグブラザーはのんびりと歩き、人が幸せなピクニックを求める時にこそ現れると言っても良い。
∧∧
( ‥)そうであるならば
(‥ )そんなもの
むしろ餌食よな
ビッグブラザーに率いられた連中がいるのなら、血を吐きながら走り続けたこちらが彼らを食いつぶしてしまえば良いのだ。低賃金労働者として無慈悲に食らいつくし、骨の髄までしゃぶって捨てて、再び血を吐きながら走れば良い。実際、そんな目にあった国は幾つもある。
∧∧
( ‥)まさに地獄
(‥ )エントロピーが増大する
宇宙では歩みを止めると
死ぬんだ。他に選択肢なんて
ないんだよ