有名な俗説に曰く
古代エジプトでは三平方の定理がすでに知られていた。ナイル川が氾濫して水が引くと、畑の区画を再度測量する必要がある。この時、古代エジプト人は規則正しく結び目をつけた縄を用いた。
彼らは英語表記では rope stretchers 、すなわち縄張り師と呼ばれる人々で、縄で輪を作り、縄目3:4:5が角になるように縄を張る。こうすると三平方の定理によって直角三角形ができる。このようにして古代エジプト人は直角を知り、土地を区画できた。
そしてピタゴラスはエジプト人から三平方の定理を学んで、それをギリシャに持ち帰ったのである。
∧∧
( ‥)でっ? どうだ
( ‥)うん分かった
−/ 確認した
以上の有名な俗説は、19世紀の歴史家モーリッツ・カントールが根拠なく言い出した憶測で、さらに歴史家マーティン・バーナルが著作「ブラック・アテナ」で拡大解釈して尾鰭がついている。
∧∧
(‥ )根拠がないどころか
\− 古代エジプトでは
三平方の定理が
知られていなかった
のだよね
有名な数学文書
リンドパピルスにも
三平方は登場しない
(‥ )紀元前3世紀になると
エジプトの文書でも
三平方が登場するけど
これって
ピタゴラスから300年
後だからな
ではピタゴラスはどこで三平方を学んだか?
∧∧
( ‥)メソポタミアだろ?
(‥ )それ以外
ありえないよな
ちなみに、歴史家モーリッツ・カントールの根拠なき憶測(空想)は、19世紀の数学雑誌に(無批判に)引用されているので、多分、こういうことが俗説を独り歩きさせることにもなっただろう。
∧∧
(‥ )そりゃ数学誌に引用されれば
\− みんな信用するわ
(‥ )古代エジプトに
三平方ないよと
知ってるのは
古代数学史を
やってる人だけ
だろうからな
ほとんどの人は
数学者でも
鵜呑みにするよね
専門外だしな