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2018年5月11日金曜日

メンデレーエフのエーテルはアリストテレスの残り香か

 
 
 周期表の発明者とされるメンデレーエフ。彼は原子の存在を信じていなかった。原子とは、単に理解に便利な仮説だと考えていたのである。

 事実、メンデレーエフの著作、「化学の原論」にはそのようなことが書かれている。
 
 ∧∧
(‥ )でもメンデレーエフさんが
\‐  原子論に懐疑的だった
    理由ってすごく奇妙
    なんだよね
 
  (‥ )一部の化合物が
      倍数比例の法則に
      従わないというのは
      まあ根拠に聞こえるけど
 
 月に空気があるから原子論は証明されていない。
 
 この考えはなんとも理解が難しい。
 
 そもそもメンデレーエフがいうこの考えは、

 物体が無限分割できるのなら、そういう微小な粒子が空気として宇宙全体に広がっているはずだが、月には空気がない、ゆえに物体は無限分割できず、ゆえに原子論が正しい。

 当時存在した以上の論法に対する反論として提案されたものだ。
 
 ∧∧
(‥ )月に空気があるという
\‐  観測もさることながら
    無限分割できた場合
    全宇宙に空気が拡散する
    という理屈が
    わからないですよね
 
  (‥ )現代人だったら
      ああ、水素より軽い元素が
      存在したら
      顕著に地球や惑星から
      逃げ出して
      宇宙へ拡散するだろうね
      と理解するところだけど
 
 だがおかしい。水素のような分子が速度を持ち、速度に分布があり、中には地球の重力圏から逃げ出てしまいうるものがある、という理解は当時まだなかったはずだ。
 
 ∧∧
(‥ )まあ無かったというのは
\‐  言い過ぎで
    マクスウェルさんが
    分子の速度分布を論じたのは
    1860年、67年で
    それに対して
    メンデレーエフさんが
    化学の原論を書いたのは
    1869年
 
  (‥ )しかしだよ
      そんな出てほやほやの
      しかも
      あまりにも斬新な理論が
      ”当時の研究者の
      理解の範疇に存在した”
      と言うのは無茶だぞな
 
 物体の無限分割は全宇宙への気体の拡散をまねく、という論法はわかるようでいて、時代を考えると理解に苦しむものである。
 
 そしてこれを踏まえるとひとつ理解の範疇に入ってくることがある。
 
 それは
 
 ∧∧
( ‥)メンデレーエフさんは
    太陽スペクトルに見つかった
    ヘリウムの輝線から
    水素よりも原子量が小さい
    原子量0.4と1.7の元素を
    宇宙に仮定したんだよね
 
  ( ‥)周期系の歴史って本で
    ‐/ 出てくる話だよな
      著者のスプロンセン博士は
      メンデレーエフ のような
      実験家でさえも
      晩年は思弁的な理論に
      走ったと評したけども
 
 しかし...確かに言う通りだと思うが、一方で実はこの”思弁”、メンデレーエフ本人からすれば、原子論という思弁を超えたより確かな実在だったのではなかろうか?
 
 ∧∧
(‥ )ありうる話では
\‐  あるんだよね...
    メンデレーエフ さんは
    物質の無限分割の
    可能性とその証拠を
    つかんだと
    考えていたのかも
 
  (‥ )無限分割の先には
      第五元素
      全宇宙に充満する
      エーテルがあるからな
      実際、メンデレーエフが
      仮定したのはそれだし
      当時としてはむしろ
      当然の思考
 
 実は彼の思弁は、彼にとっては我々が思っている以上に実体だったのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)そしてなにより
    無限分割が許されると
    全宇宙に空気が分散する
    という世界観がよくわからない
 
  ( ‥)マクスウェル分布を
    ‐/ 応用したとは
       とても思えない
       時代の話なのだ
       一体なんだろうな?
 
 もしかしたらアリストテレス宇宙論の残り香だという可能性もある。実際、アリストテレス宇宙論が完全に消滅したのは今からわずか100年前なのだ。アリストテレス消滅は、明治維新よりも後のことなのである。
 
 我々の歴史は、思っているよりもはるかに古代的だったのかもしれない。
 
 
       
  

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