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2017年8月26日土曜日

サイエンスライターと正しい作文術は殲滅だ

 
 そのサイエンスライターは次のように依頼してきた。
 
 ダーウィン進化論はもう終わりなんですよ。ですから恐竜のダーウィンが雪の中に倒れていて、その周囲を次世代の進化論たち。例えば今西進化論や断続平衡説や獲得形質の可能性とか、そういう哺乳類たちが歩き回っている絵を描いてほしいんです。
 
 ∧∧
(‥ )結果的にそんな絵を
\‐  描くことはなかったけど
    描いていたらあなたの
    黒歴史になっていた
    でしょうな
 
  (‥ )まあね
 
 しかしそれより面食らってしまったのは、なぜそのサイエンスライターがこんな勘違いをしてしまったのか? ということであった。
 
 確かに科学好きな人間はしばしばトンデモになるものだ。
 
 科学好きな人間は中途半端に科学を知っている。だから知らない素人よりも、知っているプロよりも、科学好きな人間は馬鹿理論に引っかかりやすい。
 
 事実、素人は今西進化論も断続平衡説も知らない。プロはどっちも知っているが、どっちも駄目だということをちゃんと知っている。
 
 ∧∧
( ‥)科学好きな人たちだけが
    余計なことを知っていて
    しかもそれが間違いだと
    気づかないのである
 
  ( ‥)科学好きな人間こそが
    ‐/ 科学の敵なのだ
 
 先のサイエンスライターもどういうわけか、正しい答えにたどり着けないのだ。
 
 なぜか? 
 
 ∧∧
( ‥)理由は単純で
    答えを先に知っていたから
    なのである
 
  (‥ )彼はダーウィン進化論が
      間違っているに違いない
      という答えを
      先に知っていたのだ
 
 もちろん、答えを知っているからといって、その答えが正解とは限らない。事実、そのサイエンスライターはダーウィン進化論が間違っていると知っていたはいたが、その答えそれ自体が間違っているということは知らなかった。
 
 ∧∧
(‥ )でも答えを知っていると
\‐  思っているから
    あらかじめ自分の内部で
    用意していた答えに
    合うような資料しか
    読まなかったのである
 
  (‥ )彼は作文の仕方を良く
     分かっていたよ
     伝えたいことをしぼり
     情報を整理し
     構成を決め
     導入、本文、結論を書いた
     彼の本は分かりやすいと
     科学好きの間では評判でな
 
 問題があるとしたら、彼の伝えたい結論は間違ったものであり、間違った結論に沿った資料を集め、導入、本文、結論を書いた、という点にあった。
 
 つまり徹頭徹尾、最初から最後まで何一つとして正しくないのだ。
 
 しかし作文の仕方としては正しい書き方だし、論理的で理路整然とした内容だったのである。何一つとして正しくないにも関わらずそうなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)だからあなたは作文方法とか
    作文方法を把握したから
    これで問題無しだ! と
    安堵する人たちを
    まったく信用しないのである
 
  (‥ )それとな
      サイエンスライターと
      科学が好きな人間は
      信用せん
 
 この世界のサイエンスライターと科学好きな人間たち。彼らをこの地上から殲滅しなければならぬ。正しい作文をする人間もだ。こんな連中はいらん。
 
 
  

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