自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2017年2月18日土曜日
人類だけが滅ぼした相手に感情移入
アニメ、「けものフレンズ」は大受けで
∧∧
(‥ )でもなんていうの?
\− ネコ科的な能天気を
ふりまくサーバルちゃんに
知能を溶かされてしまった
視聴者がいる一方で
この番組の闇を考察する
視聴者が止まらない
この両極端はなんですかね?
(‥ )舞台になる
レジャーランド
ジャパリパークは
すでに放棄されて久しく
そこに住む擬人化された
動物達…
つまりフレンズたちは
かつてここを訪れた
人類を忘れていて
ヒトを知らない
この設定には
強烈なものがあるからね
この忘れられたレジャーランドに記憶喪失のまま放り込まれたヒトである主人公。主人公はここでは唯一のヒトであり、自分がどこから来たのか、パークの外はどうなっているのか、それがまったく分からない。外の世界はパークを忘れてしまっただけなのか、あるいは外の世界が絶滅してしまったのか、それすら見えない状況。
∧∧
( ‥)そこが想像力を刺激すると
( ‥)おまけに
−/ 絶滅種のフレンズまで
存在する
そんな動物達の
ただなかに放り込まれた
たった一人の人間
この構図は
おだやかじゃないからな
もしかしたら
もしかしたら、主人公は数多くの動物たちを滅ぼした存在として動物達に復讐されるかもしれないし、あるいは反対に人類史をそのままなぞって、フレンズ達がのんびりとくらすパークの自然を破壊し尽くしてしまうかもしれない...
∧∧
(‥ )とっ皆さんは想像を刺激されて
\− しまうわけだ
(‥ )かようにスイッチ次第で
皆の脳がフル回転する
これをどうにか
応用できればなあ
実際、こういう人々の脳のフル回転を見て、これを我がものに応用したいという誘惑は誰しも感じることであろう。事実、けものフレンズが好きなのであればこの小説を読みなさい、と勧める人も多く拝見した。しかしそういうあらゆる便乗的なつぶやきは、どれも波に乗れるようなものではなかった。そしてそれは当たり前のことなのである。
∧∧
(‥ )まあサーバルちゃんの
\− オリジナルたる
サーバルキャットがいる
動物園に人が押しかけて
動物園が潤っているとか
波に乗れたのは
そんなもんですなあ
(‥ )とても真っ当な
反応と結果であるよ
そして話を戻せば
∧∧
( ‥)主人公が人だという理由で
フレンズ達からのけものに
されるってことは
ないわけだな?
( ‥)もともと人が訪れて
−/ フレンズと遊ぶパーク
それが
けものフレンズという
企画全体の骨子なわけ
なんだろう?
だったらその骨子から
離れた制作なんて
出来ぬ話だで
むしろ、外の世界は一体どうなっているのか? 主人公はヒトとしてパークの何を救済するのか? それこそが主眼だってことだろうか。
それにしても、人が絶滅種に向かい合った時に思う、この後ろめたい感覚とたじろぎとは奇妙なものである。
∧∧
( ‥)自分が滅ぼした種族に
罪悪感を抱くってのは
お前ら人類に固有の
奇妙な性質だろ?
(‥ )他の動物にこんなおかしな
特性はないし
他の動物は人類以上に
容赦ないからな
著書「蟻の自然誌」の中でヘルドブラーとウィルソンが言ったではないか。もし蟻が核兵器を持っていたら、一週間で世界を滅ぼすだろう、と。
∧∧
(‥ )そりゃあ蟻ん子さんたちは
\− 敵に対して容赦ないですからな
人間と違ってなんの躊躇も無く
核兵器を打ち込むよね
(‥ )普段は縄張りの境界線で
互いに
軍事パレードすることで
平和を保っているけど
いざ相手が劣勢で
しかも絶滅戦を挑んでも
こちらの損害は
軽微と見るや
即座に境界線を越境
相手の巣に攻め込んで
皆殺しにする蟻とか
いるそうだからね
相手を根絶やしにすることは別に人類の専売特許ではない。人類が目立っているのは、結果的に連戦連勝したからだ。しかしそれも半分はまぐれの部分がある。もしアフリカから外への拡大がもっとゆっくりであったら、アウトレンジから飛び道具で攻撃してくるなどという新手のトンデモ肉食獣に対し、アフリカ以外の動物たちも対抗、適応できる時間があったはずだ。
∧∧
(‥ )実際、飛び道具を持たなかった
\− ネアンデルタール人は
ユーラシアの動物と
ずっと共存していたし
飛び道具を持つ
ホモ・サピエンスも
アフリカの動物たちとは
銃の出現までまがいなりにも
共存してましたからね
(‥ )時間さえあればなあ
今でもユーラシアや
新世界やオーストラリアで
珍獣、奇獣、巨獣を
見ることができたのだけどな
残念なことだ
もっとも、そうであったら人類は自然を保護しようなんて世界観を持たなかったであろう。今でも人類は、自然は恐ろしい化け物で抹殺すべき敵だと見なしていたはずだ。
実際、人類がここ数万年で滅ぼしてきた相手たちは化け物ぞろいである、獲物をあっさり切断する全長5メートルの大トカゲ。現生種より2割増しの大きさを誇る巨大ライオン。ライオンよりはるかに筋骨隆々としたサーベルタイガーの群れ。シロクマなみの巨体で走ることに適応した肉食巨大グマ。
こうした累々たる怪物たちが今存在したら、人類は自然を保護しようなどと思うまい。
∧∧
( ‥)敵を殺し尽くして
そこでようやく心の余裕が
出来てきたから
お前らは自然を保護しようと
考え始めたのだな?
(‥ )それも所詮のところ
ひどく個人的な
理由なんだよな
子供の頃に遊んだ場所が
そのまま残ってると
嬉しいな
とか
これが失われたら
もう二度と再現できない
だったらもったいないな
とか
そんな程度の理由でな
もちろん中には、コアラが可愛いから、とか、ナキウサギが可愛いから、とか、そんな理由もある。
人間は家族で生活する哺乳類だ。子供っぽいくりくりお目目の外見を見ると、それを保護するように出来ている。
∧∧
(‥ )結局、自然保護なんて
\− お前ら裸の猿の脳神経が
生み出した認識論の話だろ?
(‥ )ははっ、残念ながら
それ以上の意味は
ないなあ
干潟は水の浄化作用などを果たしており、それを公共サービスだと考えれば金銭にしてこれだけの価値がある。こういった、いわゆる”生態系サービス”という考えも、じゃあ人類の役に立たない自然は赤字物件なんだから破壊して良いよね、ということにもなろう。
つまり生態系サービスなんていう金銭換算はうまくいくようで、それだけでは不十分なのである。そしてゆえに、人間の自然保護はどこまでいっても認識論であり、それは宗教と郷愁の域を出ないものだ。
これが自然保護の限界であるし、しかしまたそれで良いのでもあった。
∧∧
( ‥)そりゃ合理主義者だったら
自然を全部破壊して
人為的に機械化調整して
地球全体を巨大な
サイボーグに改造しちゃう
だろうからね
人間は非合理な猿で
よかったな
(‥ )だろう?
いずれ地球は全球が
サイボーグ化してしまう
はずだけども
それが少しでも遅れるのは
愉快なことさ
そしてそう考えると絶滅種に対面した時、人間が抱く後ろめたい感覚も、それは重要な感情であると同時に、所詮は認識論の幻想でしかないこと、明白なのである。
∧∧
(‥ )実際、ゴキブリが1種類2種類
\− 絶滅したとしても
お前らなんとも思わないだろ?
(‥ )そりゃあゴキブリときたら
くりくりお目目じゃ
ありませんからね
我々容赦なく滅ぼしますよ
当たり前でしょ?
ゴキブリごとき
俺たち人類の
認識の琴線には
ひっかかりませんからな
∧∧
( ‥)それ考えるとあれだ
絶滅種のフレンズを見た時に
感じるお前らの罪悪感って
フレンズがくりくりお目目
だからだよな?
(‥ )そりゃそうです
おまけに
トキやオーロックスの
ような絶滅種のフレンズは
瞳にハイライトが無いと
きたもんだ
見ただけで
ぎゃーですよ
ぎゃー
∧∧
(‥ )そういう認識の琴線に
\− 触れるから
けものフレンズは
思考停止IQ融解アニメって
言われているのに
考察ががんがん先走り
皆の脳が活性化される
わけなのだな?
(‥ )滅ぼした側の人類だけが
滅ぼした相手に感情移入する
能力を持っているというのも
皮肉なもんだけどね
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