自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2011年5月24日火曜日

現実のごく簡略化されたモデルを売る

 
 10日間ばかし、日本にはいなかった。

 帰ってきてみると、太陽電池って言葉が一部でブームになっていたらしい

 ∧∧
(‥ )太陽電池ですか
\-

    (‥ )太陽ね。

 人間が使っているエネルギーのうち、実のところ、太陽に由来しないのは事実上、原子力のみ。

*原子力は原子核の内部にある、かつて起きた超新星爆発のエネルギーを取り出している。これにプラスαで位置エネルギーを取り出すのが地熱だが、これは微々たるものなので除外。

 ∧∧
( ‥)風力も波力も、水力発電も
    火力発電も石油も石炭も
    究極は太陽エネルギーですからね

    ( ‥)太陽の熱エネルギーで動き出した
        風、それが駆動する波の運動エネルギー
        蒸発した水が結露して、それが
        再び落下する時に放出する
         位置エネルギー(水力)。

 水力だ、波力だ風力だと言ったところで、それらは全部、太陽由来エネルギー。

 石油も石炭も、木炭もこれと同じ。かつて植物が水と二酸化炭素から太陽エネルギーを用いることで酸素と炭素を分離した、それを化学反応させることでエネルギーを取り出すのみ(その過程で水と二酸化炭素が出来る、つまりエネルギーを放出して元に戻る、我々も死ねば水と二酸化炭素に戻る)。

 ∧∧
( ‥)ただ、石油と石炭には
    他にはないメリットが
    あるのです。

    ( ‥)例えばの話だ、チベット高原にでっかい
        湖があったとする。

 どういう地形のいたずらか、何百万年もかかってたまりにたまった水が標高何千メートルという高い場所に巨大で広大な湖を作っていたとする。降水量は少ないのに、流れ出す川がほとんどなく、しかも低温なので蒸発があまり進まずに湖が形成されている、とする。

 ∧∧
( ‥)実際にそうなるのか
    どうかはともかく

    (‥ )ともあれだ、この湖の一部に
        水路を人工的に作って放水する

 水は流れる。この時、発電が可能。ようするにかつて太陽エネルギーを受けて蒸発して、高原にたまっていた水がまだなお残しているエネルギー(この場合は位置エネルギー)を電力に変えている。

 ∧∧
( ‥)一見すると普通の
    水力なんですけどね。

    (‥ )でも、これ、通常の
        水力ではないんよね。

 降水量が少ないので渇水するとか、降雨量が多すぎて、とにかく放水してエネルギーを無駄に消費するとか、そういうむらがでない。

 ∧∧
( ‥)石炭と石油はこれですよ。

    ( ‥)同じ太陽に由来するもろもろの
       エネルギー源と比較して圧倒的に
       有利な点がこれだよな。

 むらがない。なぜなら過去の蓄積を使っているから。さらにいえば酸素はどこにでもあるので、燃料である石油と石炭はどこへでも持っていって、そこでエネルギーを発生させられる。特に石油はすばらしい。液体だから移動も貯蔵も掘削も楽だ。

 ∧∧
( ‥)ようするに石油と石炭は
    電池と同じ役割を果たす
     わけです。

    (‥ )さっき言った架空の湖も
        究極的には太陽エネルギーで
        ありながら、実は電池である。
 
 だから一定がみこまれる。しかし他の”太陽由来エネルギー”ではそれができない。そして他にも色々な弱点がある。だからどうにもならない。

 ∧∧
(‥ )太陽電池.....ですか
\-  

    (‥ )残念だよな。ここは惑星だし、
        しかも大気まである。

 惑星には昼夜がある。夜は発電できない。大気は不透明で、おまけに透明度にむらがある(曇りの日があるよ、という意味)。

 ∧∧
( ‥)みんながなぜ、あえて電池を
    使うのか。そこを考えて
    いないのだと。

    ( ‥)なに、待つさ。

 夢と希望ははばたくことはできるが、しかし必ず翼がばっきりと無惨に折れて、失望の大地に叩き伏せられる。

 だからなんてことはない。ただ待てば良い。

 なぜ私は墜落したのですか? と問われた時こそ、商売の時である。

 ∧∧
( ‥)何を売る気ですか?

    (‥ )現実のごく簡略化されたモデルを。

 

 

 

ブログ アーカイブ