10日間ばかし、日本にはいなかった。
帰ってきてみると、太陽電池って言葉が一部でブームになっていたらしい
∧∧
(‥ )太陽電池ですか
\-
(‥ )太陽ね。
人間が使っているエネルギーのうち、実のところ、太陽に由来しないのは事実上、原子力のみ。
*原子力は原子核の内部にある、かつて起きた超新星爆発のエネルギーを取り出している。これにプラスαで位置エネルギーを取り出すのが地熱だが、これは微々たるものなので除外。
∧∧
( ‥)風力も波力も、水力発電も
火力発電も石油も石炭も
究極は太陽エネルギーですからね
( ‥)太陽の熱エネルギーで動き出した
風、それが駆動する波の運動エネルギー
蒸発した水が結露して、それが
再び落下する時に放出する
位置エネルギー(水力)。
水力だ、波力だ風力だと言ったところで、それらは全部、太陽由来エネルギー。
石油も石炭も、木炭もこれと同じ。かつて植物が水と二酸化炭素から太陽エネルギーを用いることで酸素と炭素を分離した、それを化学反応させることでエネルギーを取り出すのみ(その過程で水と二酸化炭素が出来る、つまりエネルギーを放出して元に戻る、我々も死ねば水と二酸化炭素に戻る)。
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( ‥)ただ、石油と石炭には
他にはないメリットが
あるのです。
( ‥)例えばの話だ、チベット高原にでっかい
湖があったとする。
どういう地形のいたずらか、何百万年もかかってたまりにたまった水が標高何千メートルという高い場所に巨大で広大な湖を作っていたとする。降水量は少ないのに、流れ出す川がほとんどなく、しかも低温なので蒸発があまり進まずに湖が形成されている、とする。
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( ‥)実際にそうなるのか
どうかはともかく
(‥ )ともあれだ、この湖の一部に
水路を人工的に作って放水する
水は流れる。この時、発電が可能。ようするにかつて太陽エネルギーを受けて蒸発して、高原にたまっていた水がまだなお残しているエネルギー(この場合は位置エネルギー)を電力に変えている。
∧∧
( ‥)一見すると普通の
水力なんですけどね。
(‥ )でも、これ、通常の
水力ではないんよね。
降水量が少ないので渇水するとか、降雨量が多すぎて、とにかく放水してエネルギーを無駄に消費するとか、そういうむらがでない。
∧∧
( ‥)石炭と石油はこれですよ。
( ‥)同じ太陽に由来するもろもろの
エネルギー源と比較して圧倒的に
有利な点がこれだよな。
むらがない。なぜなら過去の蓄積を使っているから。さらにいえば酸素はどこにでもあるので、燃料である石油と石炭はどこへでも持っていって、そこでエネルギーを発生させられる。特に石油はすばらしい。液体だから移動も貯蔵も掘削も楽だ。
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( ‥)ようするに石油と石炭は
電池と同じ役割を果たす
わけです。
(‥ )さっき言った架空の湖も
究極的には太陽エネルギーで
ありながら、実は電池である。
だから一定がみこまれる。しかし他の”太陽由来エネルギー”ではそれができない。そして他にも色々な弱点がある。だからどうにもならない。
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(‥ )太陽電池.....ですか
\-
(‥ )残念だよな。ここは惑星だし、
しかも大気まである。
惑星には昼夜がある。夜は発電できない。大気は不透明で、おまけに透明度にむらがある(曇りの日があるよ、という意味)。
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( ‥)みんながなぜ、あえて電池を
使うのか。そこを考えて
いないのだと。
( ‥)なに、待つさ。
夢と希望ははばたくことはできるが、しかし必ず翼がばっきりと無惨に折れて、失望の大地に叩き伏せられる。
だからなんてことはない。ただ待てば良い。
なぜ私は墜落したのですか? と問われた時こそ、商売の時である。
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( ‥)何を売る気ですか?
(‥ )現実のごく簡略化されたモデルを。