まあ、なんだ、書評ってやつを見ると、評者がどんな本を読んでいるのか、読んできたのか、その人の世界観がどんなものなのか、彼の推論能力がどの程度のものなのか、推論した仮説を検証しているのかなどなど、彼の能力、背景、知識など、それらがある程度分かる。
∧∧
(‥ )深海魚の写真が標本写真で
\- それがいやだ、、、と。
(‥ )はあ...
深海魚は資源が乏しい場所で無茶なやりくりをしているので体がもろい。採集すれば皮がはがれるし、網にひっかかって顎がひん曲がったり、骨格がずれたり、自重で形が崩れる。
∧∧
( ‥)でも、だからこそ分かることが
ありますよね?
( ‥)皮が破れていれば
”表皮が剥がれやすい”という
ことが分かる。
下の肉が見えていれば、赤身か白身か分かる(普通は白だけど)。色が分かれば運動特性が分かる(白身は人間でいうと短距離型の筋肉)。肉の透け具合からどのくらい水っぽいか分かる。骨が見えていれば骨格の具体的なラインが分かる。
∧∧
( ‥)ラインが分かれば既知の
骨格と基準点を比較して
形態がより把握できます。
( ‥)ゆがんでいれば、側面だけでない
別アングルから見ていることと
同じ。
ようするに異なる方向から見ているわけで、三次元の形を知る手がかりになる。
これらもろもろの手がかりになる写真を”いやだ”と?
∧∧
( ‥)あなたには理解しがたいと?
(‥ )ふきとばされた戦車がある。
内部が見えれば構造が分かる。破壊された場所と結果を見ればどういう方向からの負荷に弱いか分かる。
それがいやだ、と?
( ‥)これは、、、理解でもないし、
-□ 見たとか、観察した、とは
言えないな。
∧∧
( ‥)見ることも観察することも
望んでいないのかもしれません。
楽しみたいだけでは?
あるいはそれが”理解”なのかもしれぬ。
まあ、その理解とやらが理解であると勝手に思っていても別にいいのだけども、ぎょっとしたことに、どうも深海魚の生態写真がほいほい撮れるもんだと思っているらしい。
∧∧
( ‥)つまり?
(‥ )多分なあ、水を透明だと
思っているんだよ、この人。
∧∧
( ‥)一般的にはそうですけどね。
(‥ )だがみんな、海を描く時、
青く塗るよな。
プールでさえ、青く塗る。
水は明らかに透明じゃねえ。せめてあれだ、こう考えよう。水は無条件に透明ではない。
(‥ )水着だらけの大運動会でも
ぽろりもあるよ、でも
学校のプールでもなんでも
いいけど、水中の映像は不鮮明だよな?
∧∧
( ‥)まあ、それは誰でも知っているでしょうねえ。
じゃあ、こうなるんじゃねーのかい? 水中で鮮明な写真なんか撮れない(水は光を吸収する物体だから)。
∧∧
( ‥)その手の人は熱帯魚や水槽で撮影された
写真をイメージしているのでは?
( ‥)それだって太陽光や人工照明を
自在に当てられるって話だろ?
写真を見過ぎて、写真撮影のことを
考えとらん。
だいたい一面が闇の深海で何をどうしろと。
(‥ )ようするにさ、水は無条件で
透明だ!! だから見えるはずだ
探せるはずだ、見つかるはずだ、
撮影できなきゃおかしい、
写真があるはずだ、
そう思っているんじゃないか?
∧∧
( ‥)思っているかどうかは
知りませんが、少なくとも、
そう前提しないと生態写真は
撮影できないでしょうね。
あるいはあれかな?
こんな話。
どこどこにこれこれの魚がいると聞かされてやってきたダイビング客がいた。相手が望むから水中写真家が案内してあげるのだが、魚がいなかった。そこで客は言った「嘘つき!!」
∧∧
( ‥)...お魚さんは店をかまえて
毎日同じ場所で営業活動している
わけじゃないですけどね。
( ‥)ちなみにこの、嘘つきと言った奴な
そいつ自身、ダイビングインストラクター
だかなんだかで、ダイビング客を
案内していたそうだ。
そういう人間でさえこの有様。
ようするにあれだ 真っ暗な深海だろうがなんだろうが、海に潜った時、相手がほいほいこっちにきて、目の前で、じーーーーっとしてくれると思っているってか?
∧∧
( ‥)まあ、そういう例もあるんですけどね。
(‥ )深海だとタコがやるんだよな。
明らかに人間、というか機械に気づいて接近してきて、じーーーっと見ている。こちらが映像として見えているのかどうかは知らないけど(見えている=映像で認識している、ではない)。
∧∧
( ‥)でも、反対に逃げていく人たちも
いますよね。
( ‥)例えばキンメダイだよな。
深海の写真でキンメダイは多分、見たことない。あれだけ漁獲されてるのに。タチウオやホタルイカとかは画像があるから、明らかに片寄っている。
それにしてもあれだ、どうも世間の人たちの中には水が無条件で透明だと思っている人がいるらしいというのは、正直驚きだ。
∧∧
(‥ )プールも海も青く描くんですけどね。
\-
(‥ )コップの水は透明だ、
プールも海も青い、
深海は暗黒だ。
これらの知識は知っている。
中には”水は光を吸収する物体で、厚さが数百メートルもあれば太陽光線さえ遮断できる”ということを知っている人さえいるのだが、
∧∧
( ‥)でも、それらの知識が統合されて
いないんでしょうね。
(‥ )ばらばらの知識では理解に
ほど遠いってわけだ。
だから平然と”深海魚の生態写真がなんでないの?”と言えるんだろう。じゃあ、あれだ、野生のイワシの鮮明な写真を撮ってごらんよ、不可能でないにしても無理だから。それに光り物は、周囲の青をウロコに映して隠蔽するから、写真ではさっぱり分からん。
そういえばなあ、昔、魚図鑑と称して野生状態の魚を撮影した写真で作った図鑑があったねえ。
∧∧
( ‥)ぜんぶ、さっぱり区別できないの
ですよね。イワシもサンマも
カタクチイワシも??状態で。
( ‥)図鑑ってさ、同定や識別のために
あるんだろう? 馬鹿じゃねーの?
と言っていた人がいたけど、
そうだよなあ。
あの本はある意味画期的だったけども、あれじゃあ役に立たない。せめて採集した魚の側面を写真で撮ろうよ。しかし理想的には絵。
∧∧
( ‥)深海魚もちゃんとカモフラージュ
してますしねえ。
(‥ )真っ黒か反射しているか、
どっちかなんだよねえ。
水は青いと思っているのに、まったく透明だとも思っている。プールの中で目をあけるとすべてがくすんでいることは知っているのに、水中写真はきれいに撮れると思っている。行政法人は無駄だー、無駄だーとかいうくせに研究機関が写真を持っていないと怒ったり、失望したりする(税金使ってレアな生物の写真を撮りにいくわけねーじゃんよ)。生態写真では形が分からないのに、形を示した標本写真には文句を言って、そのくせ標本写真から取り出せる情報を観察しない。そんなもの見ると呼ぶに値しない。
これが理解か? いや、これが理解だったりするってわけだ。
(‥ )こっから説明せんといかんか?
∧∧
( ‥)みたいですね。