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2020年3月13日金曜日

10名中1名を見逃し、90人から9名を誤判定する話

 
 新型肺炎の検査を最小限度にするか否か。
 
 最小限度にする派は、検査の数を増やすと陽性反応者が病院に殺到して医療崩壊をまねき、むしろ多くの死者が出ると考える。
 
 大量検査派は、検査しないと無症状感染者がどんどん感染を広めると考える。
 
 ∧∧
(‥ )実のところ大量検査派の
\−  主張と根拠に
    意味はありませんよと
 
  (‥ )検査の正答率は
     100%ではない
     そうである以上
     無症状感染者を
     全部探すことはできない
 
 10人の感染者が100人の中にいる。正答率90%の場合、発見できる真の感染者は10名のうち9名。1名の感染者は誤って陰性と判定するので見つからない。

 さらに正答率90%なのだから、残り90名の非感染者のうち、9名を誤って”感染者”と判定してしまう。

 *追記:少し寝てから気がついたけども、ここでしている”偽の感染者の数9名”という計算はおかしい。正答率90%、言い換えると誤答率10%というのはウイルスがいるのに検出できない可能性のこと。だから10名の真の感染者から1名の”偽の感染していない人”が出てくるのは正しい。これにたいしてウイルスがいないのに、”いる”と判定してしまう確率はもっと低いはず。だから検査を受けた100名から”偽の感染者”が9名も出てくるということはない。ただし、偽感染者が出てくること、それ自体は事実。
 
 ∧∧
(‥ )つまり1名を
\−  見逃した上に
    18名の真偽混ざった
    ”感染者”を発見して
    しまうわけだね
    新型肺炎は指定感染症で
    ある以上
    入院などが
    義務付けられる
    なんという無駄でしょうか
 
  (‥ )真偽混ざった18名で
      ベッドを埋めた挙げ句に
      1名の感染者を陰性に
      してしまう
      100名でさえこれだ
      検査を1万とかやったら
      100人の感染者を
      放置した上に
      病院がパンクだよ
      何の意味があるのやら

 
 **...というわけで、真偽混ざった患者18名という数は大きすぎる。しかし、結果論から言うと状況は対して変わらないと言える。検査の分母が大きくなれば、偽の陽性患者(実際には感染していない人)の数が増えてくる。例えば、”感染していないのに感染している”という誤判定をする確率が1000分の1だとしても、1万件の検査を行えば10人の”偽の患者”が出現して、彼らに対処しなければならない。10名の偽の患者に対処するだけで人手が奪われる。その一方で、すべての人間を検査しても全ての感染者を発見できないから結局のところ感染は拡大していく。
 
 
 しかも以上の計算は正答率が90%という設定でのこと。実際の正答率はもっと低いわけで、これではどうにもならない。
 
 かように検査を大量に行うべき派の主張に根拠はなかった。新型肺炎を食い止めることはできない。感染拡大の速度を抑えるしか方法はない。現実とはそういうものであった。
 
 
 
 ***追記:9:51 ....というわけで、軽症の感染者が入院したり、あるいは来院するだけでも医療者は忙しくなり、待合室に陽性の人がやってくれば感染が広がる。さらには検査の過程で医療者にも感染が起こりうる。1名の医療者が倒れれば、救命ができなくなる。あるいは医療者から医療者へ感染が拡大すればさらに救命ができなくなり、残った医療者への負担が大きくなり、疲労で注意が散漫になれば、いかにプロの彼らと言えども感染を許すだろう。少なくともその確率が高くなり、確率が高い状態で動作をこなし続ければ、必ず感染が起こって倒れる。患者は増加し、医療者は少なくなり、機械は塞がり、助けられたものも助けられなくなる。おびただしい人が死んでいく。検査の拡大が悪手であるというのはかように明らかであった。

 
 ****13:25以下追記
 
 ∧∧
(‥ )PCR検査は検体を増殖させる
\−  ものだから
    偽陽性はでないよ
    と言っている人が
    いるんですけど...
 
  (‥ )いやいやコンタミすれば
      一発で偽陽性だべ

 
 コンタミ:コンタミネーション:contamination すなわち汚染。
 
 
 ∧∧
(‥ )PCRはそれが機能を
\−  失った遺伝子のかけらだろうが
    増殖させて
    検出可能にする装置
    一番単純なコンタミは
    感染者の検体をさわった手袋で
    他の人の検体をさわったとか
    そういうものだよね
    あとは空中を漂う
    他の検体由来の埃とか...
 
  (‥ )だから偽陽性の確率は
      多くはないんだよな
      理屈の上では
      消毒、手袋や器具の交換
      使い捨てや
      クリーンベンチやらの
      作業場の確保
      手順の正確な反復で
      可能性を低く抑えられる
 
 しかしこれは、偽陽性の可能性0を意味するものではない。汚染の確率は絶えずある。そもそもそれがあるからこそ医療従事者が感染するのだ。
 
 ∧∧
(‥ )医療関係者が感染という
\−  汚染にさらされるように
    検体も汚染される
    そうである以上
    偽陽性も必ず出るし
    検査の数を多くすれば
    必ず偽陽性患者が多数現れる
 
  (‥ )例えば1万人の中に
      感染者が100人いる
 
 検査が90%正しくても、感染者10名を見逃す。
 
 汚染による偽陽性が1000回に1回しか起きないとしても、1万回検査すれば10人の偽陽性患者が出る。
 
 ∧∧
(‥ )1万の検査をしたあげくに
\−  感染者10名を見逃し
    10人の偽陽性患者と
    90名の感染者
    真偽合わせて100名の患者を
    抱えることになる
 
 
  (‥ )そして1万件も検査すれば
      人々が集まったことによる
      感染拡大やら
      検査した人間への感染
      医療従事者への感染
      検査それ自体の負荷やら
      医療機関への殺到による
      機能不全もありうる
      そういう代償の見返りが
      こんなではな
      割りに合わんよ
 


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