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2019年12月6日金曜日

民主制から封建制への転換は起こりうる

 
 アメリカの経済学者フリードマンが書いた本「選択の自由」1980年
 
 ∧∧
( ‥)今の失敗した世界を
    作った本だが
    だいたい読み終えたか
 
  ( ‥)要するにフリードマンは
    −/ 皆を貧乏にして
       国力を低下させれば
       問題が解決できると
       考えていたのだな
 
 一応、書いておくと、フリードマンはそんなこと一言も言っていない。言ってはいないのだが、彼が言っていることは結果的にそういうことなのである。その意味ではマルクスの資本論と外見こそ正反対なものの、実は同じ内容の本だった。
 
 ∧∧
(‥ )フリードマンは大きな政府で
\−   国が社会主義化して
     効率が落ちていく状況を
     憂いてこの本を書いて
     今の世界を作ったけど
     結果的に社会主義と
     同じ帰結に向かったと
 
  (‥ )国力と経済が萎縮して
      賃金が下落し
      物価が下がり
      資産家が有利になる
      そんな世界だな
 
 そしてこれこそフリードマンが作り出した今の失敗した世界。
 
 これが今の我々が生きている社会。


 そしてこの事実は次の問いに対する答えになる。
 
 未来の社会が封建制に逆戻りしていることはありうるか?
 
 ∧∧
( ‥)答えはYESである
 
  ( ‥)これって銀河英雄伝説の
    −/ 疑問に対する答えでも
       あるんだけどな
 
 遠い未来、銀河連邦は衆愚制に陥り、人々は英雄に独裁権を与えた。これが銀河帝国の始まり。この銀河帝国に対して反旗をひるがえし、共和制を掲げる同盟。ここから物語が始まり、帝国と同盟の戦争は、同盟の敗北で終わる。 

 衆愚制に陥った同盟は、優れた専制君主による攻勢に対抗することができなかったのだ。
 
 もちろんこの物語自体は単なる教訓譚でしかない。
 
 こういう悲劇が起こるから、選挙はよく考えて一票を投じましょう。
 
 この教訓自体はもっともらしいようでいて、まるで無意味なものだ(進化論的過程において考えることに意味はない。考えた一票など、考えた時点でそれは愚策であり陳腐で無意味だ)。

 しかし陳腐な教訓譚であろうがなんだろうが、この物語は悲劇であった。天才の帝国に対して愚かな衆愚制が自滅していく。民主制を守ろうとした人々が敵そのものよりも、愚かな味方に殺されていく。この民主主義の悲劇は、読者に様々な感慨を生み出した。
 
 悲劇を否定しようとする人の中には、小説の前提自体に文句をつける者も現れた
 
 つまり、今より発展している未来世界が、そもそも封建制や帝政に退行しているはずがないのだと。悲劇を救済するために設定を否定することはありがちだ。
 
 ∧∧
(‥ )あなたの知り合いにも
\−  そう言ってた人いたよね
    銀河連邦が帝国になること
    これ自体がおかしいと
 
  (‥ )あはははっ
      あいつはよ
      ローマが共和制から
      帝政に移行したことすら
      知らないやつだったがな
 
 歴史的に見れば、民主制から独裁制に移行することは実際にある。
 
 しかし、この現実を見てもなお、さらに反論する人もいる。
 
 経済的に考えれば、封建制より自由経済の民主制の方が優れている。だとしたら、未来世界が封建制に戻っているわけがないのだと。
 
 ∧∧
( ‥)それに対する答えが
    フリードマンの選択の自由だと
 
  (‥ )経済を意図的に縮小して
      物価安を引き起こし
      賃金を下げて
      資産家に有利な世界に
      してしまったではないか
 
 要するに世界を退行させることは可能だし、そもそもそうやって出来たのが今の世界だ。
 
 そしてこの先にあるのは、貴族が農奴を支配する封建制である。つまり未来世界が封建制に戻ることは十分にありうる。そもそも今、そうなりかかっている。
 
 ∧∧
(‥ )ただしこれを実現するには
\−  条件が必要だよね
    貴族は
    総動員された農民を倒せる
    軍事力を持たねばならない
  
  (‥ )つまり騎士にならねば
      ならないし
      騎士になれるような
      技術革新が必要なのだ
 
 その意味でいうと、確かに銀河英雄伝説はこの条件を満たしていなかった。
 
 創作系でこの条件を満たしているのは例えば「砂の惑星」や「ファイブスターストーリー』ではなかろうか。
 
 砂の惑星は速い物体を防ぐシールドが普及した世界なので、戦争はナイフを使ってわざと遅く動くことで敵を倒す極端に名人芸的な格闘戦になっているし、ファイブスターストーリーは過去の遺伝子操作で作られた改造人間たちが騎士階級となっている。
 
 ∧∧
(‥ )こういう世界では
\−  騎士が農奴を支配する
    文字通りの封建制が
    成立するだろうね
    そして貴族たちは己の利益を
    追求するだけ追求して
    結果的に国が
    貧しくなっているだろう
 
  (‥ )ただみんなあまり
      書かないのよね
      ファイブスターは
      作者が戦争や支配に
      否定的なせいかな?
      そういう側面は
      なかったよなあ...

 
 砂の惑星も小説中にそういう描写はない。ただし、設定上かなり嫌な世界であった。惑星から自由に移動できない最低階級が存在するので、これは要するに農奴である。おまけに自由貿易ではなく管理貿易なので、砂の惑星の経済はかなり貧しいはずだ。王族だけが経済の利益を独占する貧しい世界。
 
 そしてこういう世界は十分出現しうる。
 
 ∧∧
(‥ )国民がEU離脱を望んだのに
\−  議員が離脱手続きを
    サボタージュしまくる
    イギリスという国が
    ありましてね
 
  (‥ )さいてーな連中だよな
      しかもあいつら
      仮にも国民投票で
      選ばれてんだよ?
      信じられねーぜ
 
 民主制であれば民意が反映されるはずだのに、そうであるにもかかわらず勝ち組資産家としての立場を優先しようとする。あの無様な有様を見ればわかるだろう。民主制から封建制への転換は十分に起こるのだと。
 
 
    
     
    
 
 
 
 
 

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