自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2019年12月2日月曜日
演繹政治論は無意味で進化的世界では民主制が有利
小説「銀河英雄伝説」。この物語はごく単純にいうと、正義の帝国が悪の共和国を一方的にぼこる話。
もう少し政治的にいうと最良の独裁制が、最悪の民主制を打倒する話。
とまあ、こんな内容であるから、銀河英雄伝説で検索したら
∧∧
(‥ )朝日新聞が取り上げて
\− 独裁制と民主制どっちが
良いのかを論じただの
あるいは
独裁者(安倍首相)に
賛成する人を
衆愚と呼んで
銀河英雄伝説と重ねる
ツイートをする人など
ごろごろ出てきた
(‥ )自分が頭良いと
信じ込んでる連中は
ちょっと痛いよなあ...
独裁制と民主制、どちらが良いか? この議論は独裁制の評価と民主制への懐疑がもとになっているが、その思いと意見は次のようにまとめることができる。
頭の良い俺がすれば万事解決! これが独裁制の評価
頭の良い俺から見ればお前たちは衆愚だ! これが民主主義への懐疑
∧∧
(‥ )これって要するに
\− 現場を知りもしない素人が
限られた前提と思い込みから
論理的に演繹すれば
どんな政治問題も解決できる
そういう主張なんだよね
ここから
俺にやらせろと言えば
理想の独裁制になるし
お前たちにダメ出しすれば
それは民主制への懐疑論
(‥ )いわば演繹政治論だ
こういう演繹政治論が
無意味なのは
2009〜12年までの
政権交代を見れば
分かることなんだが
あの政権交代が示したのは、演繹政治論が単なる机上の空論であった、という単純な事実だった。そりゃそうだろう。観客席で偉そうにヤジを飛ばしていた人間がいきなりバッターボックスに立った。監督に就任した。打てるわけないし、采配なんぞできるわけがない。
このことから明らかなように銀河英雄伝説の問題提起はまるで無意味なのである。
理想の独裁制か? 最悪の民主制か? この問題提起は物語としては意味があり、魅力がある。しかしそれはあくまでもフィクションでのこと。現実問題においてはまったくの無意味、愚問。
∧∧
( ‥)実際、現実問題として
何百億もの人口を抱える
銀河帝国を独裁制で
統治できるわけないからね
( ‥)有能な独裁者が
−/ その決断で世界を
良い方向へ向かわせる
そんなことは不可能だ
では? 理想と最悪、どちらが良いか? この無意味な問いから離れて考えてみよう。
民主制と独裁制、どちらが有利か?
これを考えるには次の事実をまず踏まえる必要がある。
現実世界にあるのはただ単純な事実であった。政治家は、それが独裁制であれ、民主制であれ、小さな法案をひとつ通すのが精一杯である。日本の首相も、滅びゆく帝国を改善しようと苦闘したオスマン帝国のスルタンたちも同様だろう。
小さな法案をひとつ通すのが精一杯。しかしこの累積が世界を作る。
この単純な事実を踏まえた時、独裁制と民主制はどう判定されるべきか?
∧∧
(‥ )世界は進化的な過程である
\− その時、その時、
場当たり的に最善策が
提案されて実行されて
そのよろめく累積が
世界を作るのである
それが政治を作る
(‥ )言い換えればだよ
演繹政治論が
うまくいかないのは
未来を見通せないからだ
見通せない状態では
演繹なんて
意味がないからな
未来が見通せない世界で有効なのはその場しのぎの試行錯誤と累積しかない。
この視点で考えた時、独裁制と民主制の違いは、実はひとつしかない。
∧∧
( ‥)在任期間の長さだね
ローマ帝国の非常大権を
行使できる独裁官ディクタール
のように半年制限の例も
あるけどね
一般的に独裁者は在任期間が
長いものだ
( ‥)つまりよ独裁制は
−/ 時間当たりに打てる
試行錯誤の数が
どうしても
少なくなるんだよね
いや、独裁者は在任が長い分、もっと数を打てるんじゃないの? と思うかもしれない。
だがしかし、進化という視点で見た場合、打つ手そのものが同じでは意味がない。独裁者は同じ個人なので、在任期間が長い分、打つ手自体が増えても、変異を確保できない。
∧∧
(‥ )変異がない試行錯誤では
\− 進化できませんからな
つまり独裁制では進化が
遅れてしまう
(‥ )それを考えれば
民主制の方が有利だね
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