自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2017年4月16日日曜日
自由意思という色眼鏡を放棄せよ
民主主義は皆で投票する。
仮に集団の意見が真っ二つになり、仮にくじで決めても納得いかない場合、集団は分裂する。
∧∧
(‥ )こうして必然
\− 民主主義は均質同一な
集団となって
全体でひとつの顔を
持つようになる
(‥ )まあ民主主義は
全体主義だって
ことだな
もちろん、実際には全体主義ということはありえない。いかに全体主義に見えても、そこには個人の野望が渦巻いている。
∧∧
( ‥)でも民主制は
相互監視が強いから
野望を表立って
語ることはできない
(‥ )そもそもその
相互監視と裏切り者の
排除こそが
民主制の強さであるな
例えば古代民主制のアテナイ市は成人男子、老いも若きも総動員しておよそ5000人。こんな状況で敵前逃亡などしたらどうなるか?
∧∧
( ‥)まあその家は
お仕舞いだよね
臆病風に吹かれて
自分だけ逃げるなんて
するぐらいなら
死んだ方がましだし
息子や父が破廉恥にも
逃げようとしたら
家の恥だと
率先してぶっ殺すよね
(‥ )そう思えばよ
ギリシャの民主制ごときが
大ペルシャ帝国に
まがいなりにも勝利する
最低限度
遠征してきた
征服軍を成果なく
撤退させられたのは
なぜかって分かるよな
退けないのでは戦うしかなかろう。
もちろん、そんなギリシャ軍も所詮は空気読めで市民をしばった民兵でしかない。戦争がプロ化するに従って敗北し、ついにプロの政治家とプロの軍隊からなるローマに屈服することになる。
∧∧
(‥ )でもここから民主制の
\− 根幹が読み取れるわけですな
空気読め
裏切り者を許すな
多数決に賛同し責務を果たせ
(‥ )戦に勝利したのに
帰還途中で嵐にあって
大勢の死者を出したから
遠征軍の指揮官は死刑だ!
と激高する市民たちに
それは駄目だと口を挟んだ
ソクラテスを
粛清するようにな
民主制とはそういうものだ
∧∧
(‥ )それを考えると現在の民主制は
\− ずいぶんと甘口になった
ものですなあ
(‥ )法律を守らない人間を
裏切り者として
抹殺しようとする空気とか
国家を運営するためだけに
仕事している官僚とか
そういう制度が確立された
からだろう?
そもそも古代ギリシャと違って国家がはるかに巨大だし、西欧も日本も、官僚制のある君主制から民主制に移行したので当然の結果でもあった。
とは言うものの、民主制の基本は
多数決
空気読め
裏切り者は殺せ
敵前逃亡者は死ね
であることに違いはない。当然、郷土愛を持たぬものもぶち殺されるのは当然。
∧∧
(‥ )でもリベラルな人は
\− 郷土愛よりも地球愛を
唱えるみたいですけどね
(‥ )そういうのって基本的に
あれよ?
セックスしない俺様
すごいだろ自慢して
権力を手に入れてる
禁欲坊主どもと
同じ理屈よ?
禁欲は欲望追求の
最短経路なんよ
もちろん、リベラルには止むに止まれぬ理由もあるのだ。
リベラルは他人より頭がいい。頭がいいと原理的に少数派になる。少数派になって周囲から浮けば地縁、血縁に頼れない。これはいわば地縁血縁からの追放だ。
自分を追放した郷土に、賢きリベラルたちが愛着を持てぬは道理であった。
∧∧
( ‥)だから郷土愛という欲望を
否定することで
権力という欲望を充実させる
方向へ走れるのだと
(‥ )他に道なんかないからよ
どうにもなんないのよ
そういう意味では
自由意思の結果では
なくてだな
予め定められた運命を
自由意思により
自ら率先して獲得した
だけなのよね
しかし、この道の先は、賢き君らであればよくお分かりであろう?
民主主義が多数決であるならば、多数派である人間、君らが言う多数の愚かな人間、つまり郷土愛を持ち、裏切り者を抹殺せんとする圧倒的多数の人々にお前達は食い殺されるのだと。
今のお前達が自由意思で運命を選び取ったように、これもまた運命であって変えられない。
賢いお前達ならば、自分の未来と運命がこうであること、最初から理解していたはずだ。そうであろう?
自由意思などというくだらん言い訳をとっぱらって見たまえ。最初からこうなるはずだったと、お前達は分かっていたはずだし、これを恐怖してきたはずだ。
∧∧
(‥ )それでもなお
\− 郷土愛を罵倒し
地球愛を叫ぶことで
他者を愚かと貶め
自分を選ばれし
愛と平和の使徒であると
賞賛する欲望に勝てませんか
(‥ )歴代大統領や前任者が
幾人も不正蓄財して
失脚してると
分かっていても
同じことを皆がする
そういう事例は
いくらでもあるべ?
人間はそういうものよ
賢いとか馬鹿とか
関係ないのよね
これが人間なのよね
だがしかし人間は、特に賢い人間は自分に自由意思があると思っているからいかんのだ。
自由意思で選んだ選択肢だから自由があるに違いないと、可能性があるに違いないと思っているから駄目なのだ。
∧∧
( ‥)実際には
人は今の利害を見て
行動しているから
先に損害が出ると
分かっていても
今の利益を取るだけ
なんだよね
(‥ )そういうごく単純な
行動の累積を
自由意思とか
大げさな名前で
呼ぶからいかんのだ
人間は餌の臭いにつられて這い回る盲目のナメクジのようなものだ。ここには刹那的かつ機械的な反応だけがあって、自由意思とか、未来予測とか、そういうものが一切欠けている。
自由意思が運命を獲得するためにだけに使用されるのであれば、自由意思の存在は自由を意味しない。
そこに自由があったにしても、それは無視できるレベル。
∧∧
(‥ )むしろ自由意思があると
\− 考えると
この先の進路が見えても
自由の名において
それを否定して
しまうから
自分に自由意思はない
その場しのぎの
利益追求があって
その結果ここまできた
ただそれだけなのだ
そう考えるべき
(‥ )そうでないと
先が見通せないのだ
人の運命がいかに不確定だとしても、自分が歩いている道がどんな道なのか、今進んでいる場所がどんな尾根筋なのかは見通すことが出来るであろう。そしてこれまでも、これからも、そこをただただ歩んできたということが分かるであろう。
だがこれも、自由意思という迷信を通した瞬間にまるで見えなくなってしまう。
困ったことに昨今では、自由意思に何か不思議な力と価値があり、自分の素晴らしい信念が誤った世界を光で照らして、邪悪な吸血鬼も灰にできると信じ込んでいる人間が多いらしい。特に賢い人間はこれが顕著だ。
もちろんこれは誤りだ。
自由意思に邪悪を滅ぼす光の力など宿っていない。
そればかりか自由意思がそもそも実在しない。
あってもそれは運命を獲得することに行使されているのだから、存在している効果がない。
存在しないものに頼っては、そりゃどうにもなるまい。
自由意思という色眼鏡を放棄せよ。
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