自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2016年10月20日木曜日
人間の知性は解探索から乖離している
進化というものは、変異と複製と淘汰があれば進行する。
∧∧
(‥ )複製されるものに変異があり
\− 変異によって複製の成功度に
違いがある時
環境に応じてある変異は増え
ある変異は減る
こうして進化は進行し
環境に適応した状態が
自動的に定まる
(‥ )複製され
複製に変異があり
淘汰を受ける
これは生物に限らない
人間が持つ言語や思想
文化やアニメや漫画や
社会そのものにまで
すべからく当てはまる
端的に言うとダーウィンがかつて提唱した進化論とは、生物から無生物、文化や行動に至るまで広く説明、適用、理解できる理論体系であった。
∧∧
( ‥)そして実はこれ
複製、変異、淘汰の
条件さえ満たせば
解答探索が自動的に進行する
ということでもあった
(‥ )つまり生物や文化とは
解探索を自動的に行える
仕組みであり
存在であるということ
なのだが…
そしてこの過程において、知能は必要とされていない、というのが問題の中核である。
∧∧
(‥ )知能もある程度は
\− 解探索に寄与できるかも
しれないけども
どっちかというと
おまけみたいなものですね
(‥ )考えれば分かるとは
俺のプログラムに
バグは無い
と言っているようなものだ
知能なんてたわ言さ
多分、役に立たない研究なんかして何になるの? という知性的な質問が、最先端を走る上で致命的になってしまうのもこのせいなんだろう。
役に立つ研究をせよ、というのは、
俺様は全宇宙森羅万象を導出できる前提を踏まえたから、そこから論理的に結論を導けばバグはありえない! 我に誤謬なし。ロジカルシンキング万歳! 論理的思考に栄光あれ!!
と言ってるようなものなのだ。
∧∧
(‥ )反対にノーベル賞の研究って
\− どうでもいい研究が
発端だったりするしね
(‥ )2008年に
ノーベル賞をとった
下村さんの研究だってさ
俺が子供の頃には
オワンクラゲの蛍光は
カルシウムで引き起こされる
とかいうどうでもいい
豆知識だったんだよな
まさかその後
遺伝子導入のマーカーとして
大成するなんて
予想もできなかったよ
かように、解探索において予想など不可能だし、ここには生物進化と同じ構図があることは明白である。
∧∧
( ‥)解探索において
知性など必須でなく
せいぜいおまけである
変異と複製と淘汰
つまり試行錯誤と実践と
検証を無作為に累積させる
しかないのである
(‥ )でだ
これってさ
俺たち人間個人の知性と
人間が行っている解探索は
まったく別物だって
ことなんだよな
実際、多分そうなのだろう。へたくそな自炊で散財してしまう貧乏人も、手堅く調理して家計簿をつけている主婦も、どっちも本質は理解していないらしいことはすでに書いた=>hilihiliのhilihili: 経済的均衡で最適化された習慣で考えた結果ではない仮説
∧∧
(‥ )習慣は社会の経済的な淘汰で
\− すでに最適状態に進化している
散財する人は考えもなしに
その最適化から逃げた人で
手堅い家計簿の人は
考えもなしにその最適化に
よりかかっているだけだ
(‥ )誰も考えていないのだ
いや違うな。考えてはいるのだ。ただ単にその考えも理解も把握も納得も意見も、そのすべて、実はことごとく的外れであるというだけである。
∧∧
( ‥)つまり集団が行う
解探索という過程と
個人が知性で提案した
世界を斬る理解とは
お互いにまったく
乖離しているのである
(‥ )俺たちの理解は多分
ことごとく間違っている
ではなぜそれが起こるのか?
それは個人の理解と
集団の進化的な解探索が
全く別ものだからだ
そういうことではないのか?
端的に言えばこうである、私たち個人の知性は私たち全体が行っている解探索をまったく理解できていない。そればかりか、個人はむしろ、その知性によって言い訳という嘘を捏造すると。
∧∧
( ‥)そしてこれは必然的に起こり
逃れることはできない
(‥ )たぶんそういうこと
なのだと思うな
人間の知性は解探索から乖離している。それのみならず、むしろ自分に嘘をつき、解探索そのものを否定して死ぬ。そういうことではなかったか?
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