自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2016年10月1日土曜日
素晴らしい出来事がろくでもない原因で推進されている
∧∧
( ‥)希有壮大な話をすると
(‥ )希有壮大な話を
するとだな
地中海の西からやってきたローマにギリシャは征服された。そしてローマ帝国の一部となって何世紀も経った後、帝国の西半分は殺到するゲルマン人によって瓦解し、帝国の正統後継者となったのは、あろうことかかつてのギリシャであった。
∧∧
(‥ )ギリシャ語を話したものの
\− ポリスが栄えた時代から
すでに800年あまり
宗教も代わり
オリンポスの神々は消え
キリスト教の支配による
ローマ帝国なのである
(‥ )そしてギリシャは
野蛮な西欧よりも
ずっと先進的なのだ
階級制度と封建制と王朝による世襲制が延々と続く蛮族西欧に対し、ギリシャははるかに変化に富んでいた。
皇帝達は次々に交代したし、王朝の支配も長くは続かない。神聖不可侵の皇帝という建前があるのに、権威主義になりきれない。皇帝は次々に打倒されるのである。反乱を起こした市民によって皇帝が選ばれる場合もあったし、血筋の定かならぬ怪しげな素性から身を起こして皇帝にまで登り詰めたものもいる。
∧∧
( ‥)神聖不可侵という建前が
ありながら
権威と血筋にこだわらず
社会的な上昇が望める世界
(‥ )封建的で閉じて停滞した
西欧よりも
ずっと開かれた社会だな
これは人によっては開明的と評する状態だろう。少なくとも権威主義丸出しな西欧よりはまともである。
多分、独裁制の帝国になってもなお、ギリシャには古代民主制の名残がまだ残っていた、ということでもあるんだろう。
だが、実のところこの社会的上昇を可能ならしめる開けた社会なるもの、実際にはもっとろくでもない原因で促進されたものであったらしい。
∧∧
(‥ )中世ローマ帝国というか
\− ギリシャ帝国というか
ビザンチン帝国というか
この帝国ではギルドが
なかったと聞きますね
(‥ )西欧のような
同業者同士が集まった
組合がないって
言うんだよな
代わりに、皇帝とつながりをもって金儲けをしようと目論むのだと言う。ようするにギルドのような横のつながりではなく、皇帝と直に関係を持って即座に富を得ようとする縦の関係。
∧∧
(‥ )もともとローマ帝国って
\− コネで成り立ってた社会だ
そうですよね
(‥ )そういう性質が
民主主義の頻繁な交代劇と
合わさりでもしたのかな?
ともあれ、以前読んだ本に曰く、ビザンチン帝国では、人はこれはと思う誰かを援助して皇帝に仕立て上げる。そして彼が皇帝に成り上がったら、最高権力者になった彼とのコネを利用してしこたま儲けるのだという。ようするにコネで儲けるために誰かのスポンサーになって投資する、ということらしい。
∧∧
( ‥)もちろん同じことを他の人も
考えるから
同じことが繰り返されるし
それゆえに
頻繁にクーデターが起こって
政権が次々に交代し
神聖不可侵なのに
権威的でない状況が起こる
(‥ )これが”開明的な状況”の
原動力なのだ
コネによる汚職と私腹肥やしはどこの世界にもあるだろうが、そんな理由で次々に政権交代が起きて権威や血筋が否定され、人々の可能性が広げられる世界。
∧∧
(‥ )そんな不純な理由で
\− 国家がよどまないように
なるのである
(‥ )一見するとよく見える
実際他よりましな状態
それがじつは
不純極まる
ろくでもない原因で
促進されること
それはありうるって
ことなのだ
だとしたらこうではないのか? 我々があの国、あの会社、あの人は素晴らしいなあ、そう感嘆する時、それも実はろくでもない原因で推進されているろくでもない状況ではないのか? と。
アメリカだろうが日本だろうがドイツだろうがamazonだろうがgoogleだろうが、なんだろうがだ。
素晴らしい! と意識高い連中が感嘆し賛美する状況。それはろくでもない原因で動いているろくでもない結果ではないのか?
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