自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2015年3月17日火曜日
それは謎めいた言葉
90年代はイランの人々が日本に出稼ぎにやってきて、大変なにぎわいであった。
時々、イランの人と話す機会もあった。
例えば曰く
僕らはロシアから来たのですよ。
∧∧
( ‥)話を聞けばどうも
インド・ヨーロッパ語族の
起源を述べているらしい
( ‥)かの語族の人々は
‐□ ウクライナあたりに
いたんだっけ?
うろ覚えだ、よく分からない。いずれにせよ、紀元前の昔、大移動の果てにセム系の人々が支配していた中東にやってきて、そうして大帝国を築いたのはペルシャの人々であった。人によれば曰く、旧世界の帝国、王国、すべての国家は、このアケメネス朝ペルシャ帝国に由来すると。この地球、すべての国々がこの王朝を手本とすると。
あるいはしかし、こんな謎めいたことを言うイランの人もいたのである。
僕らはイスラム教徒ではないのですよ
∧∧
(‥ )日本語が不完全なのか
\‐ どうなのか
そういうことを言う人がいた
(‥ )それも複数なんだ
なにか背景が
あるんだな
もしかしたら、イランに存在した異端の宗教とその信徒である、そういうことなのかもしれない(これに関しては近代において色々あったのだ)。
しかし、どうも話から察すると、私たちはシーア派である、そういう言い方であるように思えた。
∧∧
( ‥)言い換えればイスラーム世界で
多数派であるスンニ派と
シーア派はまるで
別物だという可能性
(‥ )シーア派は
ペルシャ化された
イスラームということかな
預言者ムハンマドを生み出したアラブの人々は、バビロン、アッシリア、かつて中東に存在した大国家を築いたセム系の人々である。
預言者の教えに導かれたアラブの人々はジハードを引き起こし、砂漠から出て、ローマ帝国からシリア、エジプト、北アフリカを奪い取り、大国ササン朝ペルシャを滅ぼした。
ペルシャ人、アレキサンダー大王、ギリシャ人、そういったインド・ヨーロッパ語族からひさかたぶりに覇権を奪い返した、そう言うべきか。
しかし、人々はその後、誰が指導者になるかでもめた。この時、非業の死を遂げたアリーとその子孫のみを認める派閥が生まれた。それがシーア派。アリーの子孫には、滅ぼされたササン王朝の血が入っているとも聞いた。少なくともペルシャ人、つまりイランの人々はそういう歴史で考えているらしい。
∧∧
(‥ )イランがシーア派化するのは
\‐ 16世紀にイランの実行支配に
成功した
シャー・イスマイールが
それを断行してから...
でしたっけ?
(‥ )うろ覚えだと
そうだと聞くな
サファビー朝の創始者
シャー・イスマイール
国教としたのは確か
十二イマーム派だよね
あれは、正当なイスラム教徒の指導者であるアリーの子孫は、今はお隠れあそばされている。法学者はその宗教的な代理人である...だったか
∧∧
(‥ )ホメイニさん以来
\‐ イランが法学者による
統治を受けているのは
こういう考えの延長...
ですかね
(‥ )それまでは
普通に君主制だったけど
神権政治の素地はあった
そういうことなんだろうな
それにしても、お隠れあそばされており、いずれ再臨される方の代理人である。これはなかなか印象的な世界観
∧∧
( ‥)それを考えると
シーア派というか
十二イマーム派は
神秘的であり
スンニ派と全然違う?
( ‥)スンニ派は
‐□ なんていうかな
政教分離ってほどでも
ないけども
法学と俗権は一応別
もっと即物的な
感じだよね
イランというと、どうにも感じ的には、世界最古の帝国と長き歴史と血の誇り、センチメンタルで詩的で、花と噴水の造園による繊細で華麗な文化、そういうイメージがあるけども。
確かにそのイメージは、いつかお隠れあそばされた方が再臨される、そういう世界観と調和しているように見える。
∧∧
(‥ )それが
\‐ 僕らはイスラーム教徒ではない
という謎めいた言葉の
真意ですかね?
(‥ )分からんねえ
なにもかも
俺の勘違いかもしれんし
そもそも俺の知識は
何もかも錆び付いて
新しくすることも
出来ていない
確かに仕事に関する知識は増えているが、昔、仕入れた知識は20年近く、まるで時間が止まったかのように更新されないままだ。
このまま終わるのはいささかしゃくである。
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