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2018年2月16日金曜日

電子書籍の市場は小さすぎるですべて説明OK

 
 ∧∧
(‥ )電子書籍を買っても
\‐  作家の応援にはならない
    そういうネット記事が
    あったんだね
    ほぼ1年前の2017年1月
 
  (‥ )まあ読んで見れば
      そりゃあそうでしょうね
      という話だな
 
 理屈は単純である。紙に比べて電子書籍の市場が小さすぎて、電子の売り上げは紙の売り上げに対して、その誤差にしかならない。

 例えば出版社から見ても、作家から見ても、紙の売り上げ50万円に対して電子の売り上げ5000円とか、そのぐらいの違いがある。
 
 ∧∧
(‥ )50万対5000じゃね
\‐  そりゃあ対応できませんわ
 
  (‥ )50万に人を一人
      くっつけるか
      5000に人を一人
      くっつけるか?
      どうするべきかは明瞭だ
 
 利益の少ない電子に手間や人手はかけられない。単純にそれだけの話である。
 
 出版業会は電子化を進めてはいるが、現状これではどうにもならぬのだ。
 
 そしてこれゆえに、電子の売り上げは作家にとって単なる誤差となり、応援にはなりえない。
 
 ∧∧
(‥ )でもこの記事に
\‐  怒り狂う人がいたみたいね
    電子書籍購買者を
    バカにしている
    買っているのになぜ
    消費者とみなされないのか
    クソみたいな保守出版界は
    つぶれてしまえ
    僕は本棚に入りきれないほど
    本を買っているから
    電子にしているのに..
 
  (‥ )馬鹿にしているのではなく
      単なる利益の問題だ
 
 例えば自分が二つの商品を売っている。AがBよりも10倍、あるいはそれ以上売れている場合、あなたはAの売り場とBの売り場のどちらで売り子をするか?
 
 ∧∧
( ‥)答えはAだな
 
  (‥ )それだけの話なんだよ
      おそらくは
      電子と紙だけど同じ本だ
      そう考えるから
      誤謬するのだ
      同じ本だが紙と電子では
      それらはまったくの別物
      AとBである
      そう判定しなければならん
       
 
 買っているのに消費者と見なされないのか?? という嘆きの声も、それは単に消費者と売り手の立場の違いだ。消費者は買った自分は購買層に違いないと無条件に考えるが、売り手にとっての購買層とは、十分な利益を生み出すだけの消費を行う集合のことである。個人は個体でしかなく、購買層ではありえない。
 
 こういう売り手と買い手の認識や理解のずれは牛丼屋からコミケに至るまで見られるもので、実にありがちだ。買ったのだから俺は無条件に意見できると勘違いしても、現実は300円分の価値しかない。
 
 ∧∧
( ‥)クソみたいな保守業界は
    つぶれてしまえという意見も
 
  (‥ )ご都合主義な
      水戸黄門脳だな
      だいたいよ
      金儲けのためなら
      ガンはこうすれば治るとか
      ワクチンは必要ないとか
      そういう本を出す業界が
      仕事と金に関して
      保守的なわけねえぞな
  
 出版界は殺人鬼の手記も出すが、あんなもの、実の話、可愛いものである。殺人鬼の手記ごとき、うぶなねんねのポエムも同然。鼻で笑える代物だ。なぜって、ガンはこうすれば治るだの、ワクチンは必要ないだの、これは殺人をはるかに越えた大量殺人ではないか。
 
 ∧∧
( ‥)それでも金儲けのためなら
    出しちゃうぞ〜♪
 
  ( ‥)ここまで金にあざといのが
    ‐/ 出版界さ
       その出版界が
       電子書籍に力を入れない
       入れられないってのは
       単純に金にならない
       それだけの話よな
       実際金になってないし
       みんな現実みないと
       駄目だよね〜
 
 僕は本棚に入りきれないほど本を買っているから電子書籍を買っているのに...という発言に至っては絶望である。
 
 ∧∧
(‥ )本棚に入りきらないほど
\‐  本を買っている人って
    本当に本当にごくごく
    わずかの少数派だからね
    そういう人が電子書籍! と
    言っているのだとしたら...

 
  (‥ )こんなこと言われたら
      絶望ですよ
      目の前が
      真っ暗になりますね
      電子書籍の市場が
      絶望的に小さいという
      ことを示しているからな
      というか
      俺は納得しました
      どうりで駄目なわけだわ
 
 あるいは私は電子で売れている、と言う人もいるが、自分がそうだから業界もそうだろうというのは単純な間違いである。これはカテゴリーの恣意的な解釈による詭弁術のひとつだ。よくある手のひとつでしかない。
 
 かように、ネット記事もネットの反応も取るに足らないものであった。多分、みんな水戸黄門的な世界観で物事を判断しているんだろう。世界は不正に満ちていて、そこさえ直せばうまくいくという非現実な世界観。
 
 こういう浮ついた世界観ではなく、電子書籍の市場は小さすぎるですべて説明オッケーだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも電子書籍の市場は
\‐  今、年間3割ぐらいの速度で
    成長しているみたいですな
 
  (‥ )もしこのまま成長すれば
      10年以内に
      業界がこぞって
      対応するにたる
      大きな売り場になるな
      しかし
      思ったよりも早いな
      俺は後一世代はかかると
      思っていたんだが...
 
 とはいえ、楽観はできぬ。世の中は水戸黄門的な世界ではない。そもそも水戸黄門の世界観は現実の世界から逃れるために設定されたご都合主義だ。
 
 これがゆえ、電子書籍市場が急増して皆が潤う10年後の未来! なんてものは信じられないし、楽観できぬ。現実世界はここまで都合の良い構造をしていないはずだ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり電子書籍の市場の伸びは
    皆やあなたが
    望むようなものには
    ならないだろう
 
  (‥ )一気に臨界して花開く
      そういう可能性も
      あるけどよ
      そうであれば嬉しいが
      世の中そこまで
      うまくいくとは
      思えねえ
  
 
 例えば電子書籍の市場の伸びは急激に鈍化してしまうかもしれない。つまり今の伸びが最大で、ここから飽和してしまうという可能性。
 
 あるいは市場自体は十分に大きくなるのだが、皆が思ってもいないような、これまで遭遇したことがないような、得体の知れない挙動を示すものになるかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)例えば市場の60%が
    BL本という地獄絵図
 
  (‥ )それはそれで
      おもろいけどよ
      対応に苦慮するよね〜
 
 BL本だけで構成された市場、というのは冗談にしても、何かそれに類似するような、未知のものになる可能性はかなり高いんじゃなかろうか。
 
 ∧∧
(‥ )確かに普通の書籍だと
\‐  売り上げが
   50万対5000とか
   あまりにも差があるのに
   紙と電子の市場規模自体は
   8:1ぐらいなんだよね
   
  (‥ )それに我が社の電子の
      売り上げ最大は
      女性向けエロですとか
      そういう事例を
      聞いたことあるしな
      なにかこれまでと
      全然違う挙動が
      すでに見え隠れしておる

  
      
  

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