自己紹介

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2017年3月6日月曜日

宇宙リョコウバトが存在しない可能性

 
 楽しい冒険の世界
 
 ∧∧
( ‥)どうする?
 
  ( ‥)そうさのう…
    −/
 
 冒険になるかどうかはともかくとして、自分の守備範囲における異世界というと、例えばそれは、遠く地球を離れた赤色矮星をめぐる地球型惑星。

 最近では39光年離れたトラピスト1に地球型惑星が7つ。生存可能領域に3つの惑星が見つかった話題も新しい。
 
 ∧∧
(‥ )それこそ2015年に
\−  赤色矮星の地球型惑星を
    舞台にした本は
    書いているわけだけど
    =>Untitled Document
 
  (‥ )小説でもないし
      冒険でもなく
      考察だけどな
 
 ともあれ、本の紹介コンテンツを見れば分かるように、赤色矮星をめぐる地球型惑星には潮汐固定がかかり、惑星は絶えず太陽を向くようになる。そして赤色矮星の光のもと、光合成を行うにはすべての波長を吸収しなければエネルギーが足りないという論文もある。
 
 ∧∧
( ‥)つまり赤色矮星を
    太陽とあおぐ世界の森では
    太陽は動かず
    すべての波長を吸収する
    葉っぱは黒くなり
    森の中は事実上の夜となる
 
  (‥ )地球の樹木は葉っぱが
      様々な方向を向くけど
      あれは太陽が毎日
      そして季節ごとに
      位置を変えるからだよな
 
 太陽が固定されれば、植物は葉っぱをそちらに全て向けることになる。しかも色は黒。森床は光をほぼ遮られ、多分、概算からすると地球の満月の夜程度の光量になってしまう。
 
 ∧∧
(‥ )森床に光合成植物は
\−  存在できなくなってしまう
 
  (‥ )つまり食料生産が
      行われなくなるわけだ
 
 実際には食料生産は行われるだろう。例えば森林の植物は、最初は腐生植物として成長するのかもしれない。しかしこれは菌類と同じか、あるいは菌類との共生によるもので、エネルギーをあまり手に出来ない。効率が悪いのだ。

 必然、森床の生物生産は0ではないが、ごく乏しくなってしまう。
 
 ∧∧
( ‥)落ち葉があるから
    食料はありそうだけど
 
  (‥ )状況はあまり好転しないぞ
      成長が遅い菌類か
      ダンゴムシや
      ヤスデのような
      分解者がいるだけの
      閑散としか世界だろ
 
 地球の生物でいうとミミズがいるのかは怪しいものだ。太陽が動かないということは寒い季節がないということであって、落葉層は迅速に分解されてごく薄いのではないだろうか? 地球でも熱帯地方はそうなっているし、ミミズもほとんどいないと言う。

 赤色矮星を太陽とあおぐ黒い森もこれと似たような状況に陥りそうである。
 
 赤い太陽と黒い木々の下に広がる、暗く食料に乏しい空虚な森床世界。

 これはいわば深海や地下世界に類似している。
 
 ∧∧
(‥ )どんな動物がいるのかな?
\−
 
  (‥ )地球の生物を原型に
      考えると
      例えばこんな感じかな


 








 宇宙リョコウバトと宇宙ヨタカ
 
 ∧∧
( ‥)リョコウバトかい
 
  (‥ )ダンゴムシとヤスデしか
      いない世界でも
      ドングリなら定期的に
      落ちてるだろ?
      ドングリは人でも
      食べられる貴重な資源
      そして
      絶滅種リョコウバトは
      実りにむらがある
      ドングリ目当てに
      大群を作って長距離を
      不定期に流浪する
      種類だったからな
 
 ただし、赤色矮星の惑星にそういう長距離大範囲の摂餌行動をする動物がいても、地球のリョコウバトのようにはなるまい。

 暗い夜である森床に降りて餌を探すには目は大きくなければならず、そうなると頭部は大きくなり、しかしそれでも大きすぎる眼球はもはや動かすことができず、ほぼ前を向いたまま固定されるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ハトのくせに
\−  顔はフクロウっぽく
    なるのだな?
 
  (‥ )そういう時折飛来する
      獲物を
      餌の乏しい森床で
      じっと待ち受ける動物も
      いるはずだよね?
 
 例えばヘビがそうだが、ここでは鳥で描いてみた。
 
 巨大な眼球と大口で、翼と肩帯と翼が退化し、柔軟な肋骨を持つ、飛べず羽毛もほとんど失った鳥。
 
 ∧∧
( ‥)たまたま近寄ってきた
    ハトを丸呑みに?
 
  ( ‥)体の構造を
    −/ かなり変える必要が
      あるけども
      個々の構造変化は
      実例があるものだ
      多分…ハトの丸呑みは
      可能だと思うけどね
 
 名付けて、宇宙ヨタカ
 
 もっとも、ここまで描いて気がつくことがある。赤色矮星の黒い森では原理上、ドングリはないんじゃないのか? という疑惑だ。
 
 
 ∧∧
(‥ )ドングリってあれは
\−  光に乏しい森床で
    幼樹が芽吹いて葉っぱを
    十分に展開できる栄養を
    親樹が用意したものだよね?
 
  (‥ )たぶんそうだよな
      ヤブツバキとか
      アオキとか
      ああいう
      地球の暗い森床で
      成長する樹木も
      比較的大きな種子や
      果実をつけるものな
 
 つまりスタート開始と立ち上げを可能ならしめる投資がまるまると太ったドングリなのだが、赤色矮星の黒い森では、そもそも光合成ができないのである。

 これではドングリのような大きな種子をつける意味はない。そしてむしろ腐生植物は小さな種子を大量につけるようだ。
 
 ∧∧
( ‥)赤色矮星の黒い森では
    ドングリが存在しない
    可能性
 
  (‥ )つまり宇宙リョコウバト
      のような生物も
      存在しないことに
      なるのだなあ
      残念
 
 ∧∧
(‥ )宇宙ヨタカは
\−  どうなるのだ?
 
  (‥ )餌の乏しい暗い世界で
      じっと獲物を待ち
      自分とほぼ同サイズの
      相手でも餌食にして
      生き延びる
      こちらはこのまま
      ありえそうだけどね
    
 
 
 *ちなみにここでは、まったく別系統の生物の進化を予測することなど不可能なので、もしも地球の生物がこの惑星にいたら…という想定で話をしています。
 
   
 

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