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2022年8月3日水曜日

征服の黒字と赤字

  
 ニネヴェ図書館の科学史漫画 征服の黒字と赤字
 
 

 
 

 
 ∧∧
(‥ )日清戦争で手にした
\−  金300トンは当時の
    国家予算の3倍だった
 
  (‥ )ところが今
      ロシアが持つ
      金2300トンを
      強奪しても
      それは国家予算の
      40分の1にしからならない
 
 日清戦争当時の日本は金本位制や銀本位制だった。その時代の戦争は黒字になり得たが、しかし現在のような紙幣経済では、戦争は絶対的に赤字となる。
 
 なぜそうなるのか? その説明は続き。

 ともあれ言える。金や銀の経済ならば戦争は得になる。しかし紙幣の世界では損になるのだと。
 
 ∧∧
(‥ )道理であれだな
\−  WW2以後
    戦争が激減したわけだ
 
  (‥ )核兵器の抑制効果も
      あるだろうけど
      列強諸国以外の戦争も
      激減したからな
      戦争が赤字になるから
      できなくなった
      そういうことだろう
 
 さて、この漫画を描くにあたって日清戦争の賠償金のことを調べたが、なかなかに頭が痛かった。
 
 ∧∧
(‥ )大清国は銀2億両を
\−  支払うとあったけど
    三国干渉の結果
    日本が遼東半島を手放した分
    2億3000万両に増額
 
  (‥ )でっ この銀一両って
      当時の清国の通貨
      庫平銀 純銀38グラム
      なんだけども...
 
 なるほど、この銀を日本に支払ったのか、と思ったが、実は違った。これはあくまでも、大清国が支払う金額の定義の話であった。
 
 実際は

 純銀38グラムの2億3000万倍=銀8640トン
 
 これに相当する金額をイギリスに振り込み、英国金貨にする、というものであった。
 
 具体的には大清国が国債を発行し、投資家から資金をつのり、それを銀行が扱う。
 
 ∧∧
( ‥)確かにこれなら
    銀行の事務手続きで
    支払い、送金、換金が
    済むからな
 
  (‥ )こんな大量な
      銀をかき集めたり
      金貨に換金したら
      市場が大混乱する
      だから
      こういうやり方したのな
 
 銀行家や投資家たちなら当然の事だろうけども、自分には縁遠い話。だからなかなかに新鮮な話であった。
 
 そして問題。奇妙なことに、ネットで検索すると日清戦争で日本が受け取った賠償金は3億円だと言う。しかしこれ、計算がどうも合わない。
 
 ∧∧
(‥ )今の1円じゃなく
\−  明治時代の1円金貨
    なのだろうけど
    それでも
    計算が合わないね...
    なんだろうな
 
  (‥ )1円金貨は
      当初は金含有量
      1.5グラム
      日清戦争後に
      獲得した準備金で
      金本位制へ移行
      1円=0.75グラムに
      なったわけだけど...
 
 日本が手にした英国金貨はソブリン金貨のことで、これは重量7.9グラム 金含有量92%。
 
 つまり日本が手にした3800万英国金貨に9・69を掛ければ1円金貨に換算できる。
 
 ∧∧
(‥ )でもさあ
\−  そうすると
    3億6800万円に
    なるんだよね...
    だけど3億って
    みんなが言ってる...
    6800万どこへいった?
 
  (‥ )一部文献に日本円で
      およそ3億6000万
      という記述があるから
      6800万で
      良いと思うのだがな
 
 しかし、そうすると今、一般に出回っている

 日清戦争の賠償金は当時の日本円換算で3億円
 
 というのは相当におかしな数字...というか、6000万円以上を切り捨てたことになる。これは一体?
 
 ∧∧
( ‥)切り捨てというか
    伝聞の過程で
    3億だけが残って
    コピーされているのでは?
 
  (‥ )多分そうだと思うけど
      6800万も
      消えてると
      自分が
      計算間違いしたかな? と
      不安になるのよ
 
 まあ、現状の理解としてはこれで良い。
 


 

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