ニネヴェ図書館の科学史漫画 征服の黒字と赤字
∧∧
(‥ )日清戦争で手にした
\− 金300トンは当時の
国家予算の3倍だった
(‥ )ところが今
ロシアが持つ
金2300トンを
強奪しても
それは国家予算の
40分の1にしからならない
日清戦争当時の日本は金本位制や銀本位制だった。その時代の戦争は黒字になり得たが、しかし現在のような紙幣経済では、戦争は絶対的に赤字となる。
なぜそうなるのか? その説明は続き。
ともあれ言える。金や銀の経済ならば戦争は得になる。しかし紙幣の世界では損になるのだと。
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(‥ )道理であれだな
\− WW2以後
戦争が激減したわけだ
(‥ )核兵器の抑制効果も
あるだろうけど
列強諸国以外の戦争も
激減したからな
戦争が赤字になるから
できなくなった
そういうことだろう
さて、この漫画を描くにあたって日清戦争の賠償金のことを調べたが、なかなかに頭が痛かった。
∧∧
(‥ )大清国は銀2億両を
\− 支払うとあったけど
三国干渉の結果
日本が遼東半島を手放した分
2億3000万両に増額
(‥ )でっ この銀一両って
当時の清国の通貨
庫平銀 純銀38グラム
なんだけども...
なるほど、この銀を日本に支払ったのか、と思ったが、実は違った。これはあくまでも、大清国が支払う金額の定義の話であった。
実際は
純銀38グラムの2億3000万倍=銀8640トン
これに相当する金額をイギリスに振り込み、英国金貨にする、というものであった。
具体的には大清国が国債を発行し、投資家から資金をつのり、それを銀行が扱う。
∧∧
( ‥)確かにこれなら
銀行の事務手続きで
支払い、送金、換金が
済むからな
(‥ )こんな大量な
銀をかき集めたり
金貨に換金したら
市場が大混乱する
だから
こういうやり方したのな
銀行家や投資家たちなら当然の事だろうけども、自分には縁遠い話。だからなかなかに新鮮な話であった。
そして問題。奇妙なことに、ネットで検索すると日清戦争で日本が受け取った賠償金は3億円だと言う。しかしこれ、計算がどうも合わない。
∧∧
(‥ )今の1円じゃなく
\− 明治時代の1円金貨
なのだろうけど
それでも
計算が合わないね...
なんだろうな
(‥ )1円金貨は
当初は金含有量
1.5グラム
日清戦争後に
獲得した準備金で
金本位制へ移行
1円=0.75グラムに
なったわけだけど...
日本が手にした英国金貨はソブリン金貨のことで、これは重量7.9グラム 金含有量92%。
つまり日本が手にした3800万英国金貨に9・69を掛ければ1円金貨に換算できる。
∧∧
(‥ )でもさあ
\− そうすると
3億6800万円に
なるんだよね...
だけど3億って
みんなが言ってる...
6800万どこへいった?
(‥ )一部文献に日本円で
およそ3億6000万
という記述があるから
6800万で
良いと思うのだがな
しかし、そうすると今、一般に出回っている
日清戦争の賠償金は当時の日本円換算で3億円
というのは相当におかしな数字...というか、6000万円以上を切り捨てたことになる。これは一体?
∧∧
( ‥)切り捨てというか
伝聞の過程で
3億だけが残って
コピーされているのでは?
(‥ )多分そうだと思うけど
6800万も
消えてると
自分が
計算間違いしたかな? と
不安になるのよ
まあ、現状の理解としてはこれで良い。