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2018年12月21日金曜日

論理的なものと考えると物理学は理解できなくなる

 
 量子論は難しい。
 

 ∧∧
(‥ )まあ我々素人が見ると
\‐  方程式からして
    意味不明ですからね
 
  (‥ )でもそれもさることながら
      いくら説明を聞いても
      理解できない
 
 量子論の言ってることが日常からかけ離れているから?
 
 それはそうだ。

 粒子は波の性質を持ち、運動量と波長は逆比例の関係にある。速度を落とすと波長は長くなり、例えば減速された中性子は見かけの大きさが大きくなり、核分裂連鎖反応を起こしやすくなる。
 
 ∧∧
( ‥)なんじゃそれ?
    という話であるな
 
  ( ‥)それもさることながら
    ‐/ 量子論の
      分かりにくさって
      実は我々の思い込みにも
      原因があるんじゃね?
 
 我々、こう考えていないだろうか? 

 量子論に限った話ではないが、物理学は論理的なもので、定理や公理から理路整然と、論理的に導き出された体系なのであると。
 
 ∧∧
(‥ )でも物理学って...
\‐  というか科学がそもそも
    そうなのだけど
    実は論理的なものではないし
    ましてや論理で生み出された
    ものですらない
 
  (‥ )本当に論理で生み出された
      理論というものも
      あるんだけどな
      よりによって
      それをしたのが
      アインシュタインだから
      だからなおさら
      物理学は論理的な
      ものという
      印象が作られたのだけど
 
 だが実際のところ、アインシュタインは物理の歴史でむしろ例外である。と言うか多分、例外中の例外。
 
 物理学のほとんどはそうやって作られたものではなかった。
 
 プランクはなんだか知らんがとにかく答えを出せる方程式を見つけてから、なんだこれ? と考えて、そうしてプランク定数を見つけたが、自分ではそれを信じていなかった。
 
 シュレディンガーは電子を波そのものだと考えてシュレディンガーの方程式を作り出した。それは正しい答えを出す。ところが正しい方程式を生み出した大前提、電子は波そのものだという仮定は間違っていた。
 
 
 ∧∧
(‥ )そもそも波で
\‐  電子軌道を説明できるという
    発想自体が
    素人目に見てかなり妙だよね
    波の数が増えれば軌道は
    不連続に長くなるって言うけど
    楽器の弦は同じ長さで
    異なる数の振動を紡ぎ
    違う音程を出すよ?
    なぜ不連続と考える?
 
  (‥ )素人目に見て思うが
      シュレディンガーは
      世界は不連続ではないと
      考えて
      波なら自然の不連続だと
      考えて
      これを現実に当てはめて
      そうして
      結果的に正しい答えを
      見つけた
      それだけのことじゃね?
 
 
 いや、もっとぶっちゃけていえば、間違った思い込みと信念から始めたが、たまたまその間違いが役に立った。それだけのことではないか?
 
 量子論ではないが、電磁方程式を編み出したマックスウェルもそうであった。彼の理解、すなわち、電気と磁気と電子と電流と磁力の理解はてんで間違っていた。どうしてこの間違ったモデルから正しい結論が出てきたのか全く理解できない。彼の間違ったモデルは現実から乖離しすぎていて、現実とどう対応させたら良いのかすら分からない。
 
 皆は天動説を笑うが、天動説は地動説を反転させたもので正確なモデルだ。だがマックスウェルのそれはそうじゃない。
 
 天動説以上に現実から乖離したモデルに基づいた方程式。にも関わらずそれはなぜか、どういうわけか正しい。

 ∧∧
( ‥)実は物理学って
    論理的なものではなくて
    えいや! って
    作り出したものなんだよね
 
  ( ‥)それを踏まえるとだな
    ‐/ 物理学を
      理路整然としているものと
      考えると
      物理学も量子論も
      理解できなくなるんじゃ
      ないか?
 
 まあ理解できなくても方程式を使える人間は悩まないだろう。
 
 それに新しくて、しかも正しい画期的な内容にたどり着けることなど歴史上ごくわずかなのである。
 
 そんな異能を目指すより、式を”正しく”扱えることの方が重要で、そしてより潰しがきくはずだ。
 
 とはいえ、こんな話を見たことがある。マックスウェルの教え子だった人。その人は学長だかなんだか、それなりな地位にたどり着いたが無名で終わった人だ。
 
 彼はこう述べたそうだ。
 
 マックスウェル先生は計算があまりお上手ではなかった。しかしその先生から生み出された式は素晴らしいもので...
 
 
 ∧∧
(‥ )先生の不備を見つけられるけど
\‐  先生の異能には
    たどり着けなかった
    真っ当な人の話か...
 
  (‥ )これが正しい人生で
      正しい物理学の
      理解なのだろうな
 
 だが実際の物理学はそんなものではない。むしろそれは黒魔術や思い込み、勘違い、様々な異様な思考が織りなす混沌の渦巻きであった。
 
 少なくとも部外者が眺めるに、それはそういうものに見える。
 
 
 

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