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2018年3月20日火曜日

素人の持ち込み企画には安心感がない

 
 
 人間はちょっと生きると、こうすれば良い、という道を見つける。それが思い込みなのか他に応用が効かない局地解でしかないのか、それはどうでもいい。人間、これがそうだと思ったらそれが正しいことになるのだ。
 
 こうして道を見つけた人は誰かにそれを伝えたくなる。
 
 世の中ってのはこうできているんです。これを皆さんに伝えたい!
 
 そう考えて出版社に原稿を持ち込むものだ。
 
 ∧∧
(‥ )聞けばそういう持ち込みや
\‐  企画は多いみたいですよねえ
 
  (‥ )そしてそんな企画は
      どれもゴミ箱いきなのよ
 
 
 ところがである。売れているノンフィクションは、実のところ大部分はまさにこういう内容なのだ。売れているのは(悪く言うと)おっさんの妄言を書いた本である。
 
 
 おっさんの経営論
 
 おっさんの書いた趣味の歴史の本
 
 おっさんの哲学論
 
 おっさんの社会を斬って捨てる論
 
 ゴミ箱行きの企画がなぜか本の売り上げ上位にひしめいておる。
 
 ∧∧
( ‥)これはなにゆえ?
 
  ( ‥)んー...
    ‐/ これさ書き手から離れて
       読み手の立場に立って
       みようじゃないか
 
 こう考えて見る。無名のおっさんと有名のおっさんと、同じ内容を書いてどっちが売れるか?
 
 ∧∧
( ‥)そりゃ有名なおっさんだな
 
  ( ‥)調べて見ればさ
    ‐/ 売れている本を書いてる
       おっさんたちは
       すでに業績を
       上げた人たちだ
 
 小説家、弁護士、タレント、病院院長、企業経営者
 
 ∧∧
(‥ )ふむ 読者が欲しいのは
\‐  権威ということですか?
 
  (‥ )むしろ安心感だろ
      これだけ業績を上げたから
      彼の言葉には裏付けがある
      あるいはこうだな
      業績を上げた彼の言葉には
      俺たちと言ってる内容が
      同じでも
      なにかご利益があるだろう
      そんな感じだな
 
 あるいは、業績を上げた人に、自分が思っていることと同じことを言ってもらいたい、そういう欲求も需要もあろう。
 
 ∧∧
( ‥)それらをひっくるめて
    安心感と呼ぶし
    著者と出版社は
    安心感を売っている
    というわけですな
 
  (‥ )人間は内容なんか読めん
      というか
      自分が知らない内容を
      人間は読むことができない
      自分がすでに知っている
      自分と同じ意見だから
      言ってる内容を読めるし
      自分が知っている内容でも
      成功者が言うと
      箔がつくし安心感もある
      それを読者は消費している
      そう考えればよろし
 
 そして編集者も同様なのだろうと予測がつく。編集者も安心感が欲しいのだ。素人の持ち込み企画には安心感がない。
 
 
 
 
 
  

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