自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2018年3月26日月曜日
遠心力は存在せず回転数をどれだけ上げても分解は...
ガリレオの著作にして、宗教裁判の原因となった天文対話。
∧∧
(‥ )地動説という未完の新説は
\‐ 当時課題だらけで
それを弁護するうちに
穴だらけになってしまった
著作とでもいうべきですかね
(‥ )反対者に対する
刺々しいまでのあざけりも
それがひとつの
原因だろうな
防衛にてんてこまいだと
理屈は雑になるし
弁舌は感情的になる
とはいえこのおかげで、
ガリレオって性格悪くね? とか、自信満々に間違いを言われてドヤ顔されてもなあ...、とか、後世から悪い印象を持たれるようになったことも間違いない。
例えば当時の古典物理学であるアリストテレス主義者に対して
さてシンプリチオ君、自然においては幾何学なしにどれだけ哲学できるものか注意してください
と書いた場面がある。こういう台詞はこの本にしょっちゅう登場する。つまりガリレオが言わんとしていることは、君ら反対者は幾何学がわかっていない。だからこんなこともわからないんだよ、ということなのだが
∧∧
(‥ )この言葉で説明している
\‐ 幾何学が
実はあからさまに間違い
(‥ )読んでて、わあ...
と思う箇所だよなあ
彼の幾何学はこういうものである
画面左へ回転する円周(この場合は地球の断面)の上から、物体が投げ出されることはない。場所Aにある物体が投げ出される力はBに向かう。しかるに、落下する物体はEに向かって動く(ガリレオは放物線で物体が落下するとは考えていないし、この場合は斜線だけで考えている)。Aにあった物体は時間FではGまで落下し、時間KではLまで落下している。
この時、時間ごとの落下を示す斜線A Eは絶えず円周を切っている。そうであるから物体が回転している円周から投げ飛ばされることはない。
∧∧
(‥ )これ遠心力の否定だよね
\‐
(‥ )接線方向へ投げ出される
力のことだけを
考えているから
遠心力と言って良いのか
ちょっと戸惑うが
ともあれ
彼の主張は経験上からも
間違っているし
著作における前後の記述
とも矛盾してる
そもそも彼の作図自体、これは接線方向への速度が増大すると、物体はついには円周上には落下しなくなる、ということを示しているはず。
∧∧
( ‥)でもガリレオさんは
そうは考えなかった
なぜでしょうね?
( ‥)円周を切っているから
‐/ 絶えず地面にいるはずだ
と考えているみたいだな
これは、回転する円周上で落下する物体の運動を斜線で理解したことがいけないんだろう。いや、地球上における物体の落下を斜線で理解することは微分的には正しいことなのだけど
∧∧
(‥ )落下物の運動を斜線で
\‐ 理解するのなら
円周も斜線で理解して
非常に細かい辺を
無限に持つ多角形として
理解すべきだっただろう
(‥ )そうすべきであったのに
微分した斜線と
微分していない円で
考えたから
円を必ず斜線が切ると
理解してしまった
間違った幾何学で
間違った演繹をしちゃった
事例なんだろうな
現代人なら、ああ、これは脱出速度が大きくなると発射された物体は衛星軌道に乗るよね、と理解する図なんだけども、ガリレオは斜線が必ず円周を切ると思ったので、絶えず地面にまで落下するから、どれだけ回転速度をあげても物体は遠心力で四散しない証明だと受け取った。
ゆえに地球が回転していても問題ない。アリストテレス主義者が言うような問題、つまり地動説が正しいのなら地球は遠心力でばらばらになるはずは間違いである!
こういう理解と主張である。
∧∧
( ‥)まあ正しい理解は
ガリレオさんの一世代後
ニュートンさんから
始まるし
ましてやガリレオさんは
微積分を知らない
だから現代人が後付けで
ガリレオ痛いやつとか
言うのは失礼なんだけど
(‥ )問題はよ
ご本人が
俺の反対者は
幾何学を理解できない
馬鹿ばっかww ぷっぷー
と書いちゃってる点でな
多分、こういうところに現代の読み手は、えええ〜??? とひっかかるのである。
∧∧
(‥ )ましてや当時の人からすれば
\‐ もっと不愉快だっただろうしね
(‥ )しかもこれより
はるかにでかい
あからさまな間違いを
彼やっちゃって
それを
地動説の証拠だー!!
って掲げちゃったからな
ちょっとねえ
裁判に勝てないよねえ
実際、負けたし
裁判は色々な意味で不当であった。しかし裁判にも色々な理由があった。そしてガリレオにも付け入られる隙が山のようにあった。学問的にも理論的にも政治的にも、そして人間的にも。
∧∧
(‥ )ガリレオ裁判自体は
\‐ あれはまた色々と不可思議な
ことがありますし
その全容は
また後日読むとしまして
(‥ )ともあれ
ガリレオの
こういう書き方が
現代人による
ガリレオ裁判の評価に
影響を与えているのは
確かよね
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