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2012年11月24日土曜日

すべてをオレンジジュースへと還元する

 
 一部、*の続き
 
 ∧∧
( ‥)なかなか時間がかかりますね
 
  ( ‥)意外とね、リサーチに
    –□ 時間がかかる。
       あまり日にちは
       消費できないんだが
 
 さて
 
 先日、図書館で何気なくID論の本を読んだら、進化論は人間と人生から目的と意義を失わせ、不毛と孤独と恐怖をまきちらした、というようなことが書いてあった。
 
 *ID論:IDとはインテリジェント・デザインの略。生物のよく調整された有様は知的存在による計画的な操作と作成を示している、というもの。つまり生物も人類も知的存在によって作られた被造物となる。なんのこっちゃない、古典的な創造論の一種で、IDとは神を回りくどく言ったもの。宗教を学校で教えるな、という制約に対抗するために宗教色を外見上薄めたものともされる。おおむねこういう理解で良い。
 
 ∧∧
( ‥)確かに進化論では周囲の
    物理的、化学的、生物的な
    淘汰で自動的に調整が
    行われるので、そこには
    目的とか意義がない
    ですからね。
    でも、あなた方、お猿さん
    にとって、これの何が
    そんなに不満なんですか?
 
  ( ‥)集団生活をするのでなあ
      僕らは仲間からの評価を
      気にするように淘汰、
      調整されてしまった
      のだよな。
      意義がないとな、
      駄目なんだ
 
 ∧∧
( ‥)目的や意義がないと孤独と
    恐怖を感じて恐れおののく、
    なんのこっちゃない
    寂しいだけじゃない
    ですか
 
  (‥ )うんそうだよ。
      集団行動が大事だ!
      と大義名分で社員旅行でも
      群れることを望む
      どうしようもない会社の
      上司みたいなものでな。
      全員ではないが、寂しくて
      寂しくて、みんなと一緒に
      いないと死にそうな奴が
      必ずいるんだよ。
      無様で迷惑な話だがな。
 
 そういうのが必ずいるだけではない、程度の差こそあれ、誰しもそれは部分的にそうなのだ。なんといっても群れで何万年も暮らしてきたのだから。自然淘汰によってそう調整され、そういう性質や因子が何かしら入り込んでいる。それが強烈に出るか、ほとんど現れないかそれだけだ。
 
 ここでふと思う。
 
 旧劇場版、エヴァンゲリオンの物語では最後、全人類がオレンジジュースになったという。
 
 ∧∧
(‥ )オレンジジュースではなくて
\–   劇中の用語ではLCL溶液に
     還元された、ですね。
 
 (‥ )どっちでも同じさね
     液体化する。溶けて形と
     自我と個体性が保てなくなり
     境界線が不明瞭になる。
     そういう意味合いだよね。
     マヤさんの手がぱしゃー
     日向くんがびしゃー!
 
 全人類がひとつに融合し、寂しくない世界へ移行するのだと。
 
 ∧∧
( ‥)なんだ、ID論の人も、
    集団行動をがなりたてる上司も
    大喜びな世界じゃないですか
 
 (‥ )つまりだ、エヴァンゲリオンの
     あの結末って、あれは本当に
     人の望みであるということか
     なんてことだ、色々、不評を
     述べた人もいるけども、あれは
     正しい結末じゃないか!
 
 そうだ、神は必要ないし、体は原子の塊で、意識さえも電気信号のパターンでしかなく、魂もない。
 
 ∧∧
( ‥)それでも生きよ、と人は
    言い、あなたがたはそれに
    感動するのでしょ?
 
  (‥ )だがな、進化理論はな、
      それすら破壊して
      しまうのだ。
 
 神の必然性はなく、体も心も原子の織りなす渦であり、その影でしかなく、魂はなく、生きる意義もそれは結果でしかない。別に生きる必要はないよ? 死ねばいい。死を恐怖して逃げるものだけが生き残り、それが性質になっているだけなのだからね。死にたければ死ね、死ぬのを拒否したものだけが進むのみ、目的も意義もなく、ただ前に進めば良い話。
 
 ∧∧
( ‥)いや、実際には前に進めも
    結果でしかありませんよ
 
  (‥ )地球に存在する温度勾配で
      風が発生し、それに応じて
      台風は西へ、そして東へ、
      まるで日本列島を狙うかの
      ように進路を変える。
 
 まるでそれまでの者達と同じく目標を持つかのように進んでいるが、それは良いとか悪いとか目的とか意義とは関係ない。温度勾配が生み出す結果だ。
 
 人も人生もそれと同様。複雑な機構が噛み合った結果でしかない。目的も存在意義もなくとも、動作は起こり、収束地点へと向かうのみ。
 
 どうしてそれでうまく動くのか不思議だって? 知性が関与しないのに、こんなにすばらしいのはなぜかって? 
 
 それはうまく動かない奴は全員死んだからだよ。質問と疑問が間違っているのだ、問いを逆に考えるべきだ。一体何人どれだけどれほど犠牲にしてきたと思っているのだ。これのどこが知性的に調整された仕組みだよ。膨大な死と引き換えに残ったものがこの世界じゃないか。
 
 
 ∧∧
( ‥)それを聞いてなんとも
    思わない人もいるけども
 
  (‥ )それを聞いて恐怖のあまり
      インテリジェントが
      デザインだーと泣き叫ぶ
      やつもいるわけでね。
 
 そう考えると、人々が溶けてひとつになってしまうのは、確かに福音と救済に他ならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)寂しくて心が痛いの?
 
  (‥ )らしい
 
 
 
 
 
 

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