自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2020年1月5日日曜日
アメリカ、イラン、資産家、皆がそれぞれの立場を申し上げる
20世紀前半、イランを支配したパーレビ朝は 経済で失政を犯し、国内は混乱。1978年、ついに革命が始まり、パーレビ朝は倒れた。
革命の精神的支柱であり、亡命先から帰国、そして新たなイラン最高指導者となったホメイニ師は法学者であった。法学者である以上、当然といえば当然であったけども、師は宗教原理主義を掲げた。そしてこれまた当然であったけども、反イスラエル、反米の立場をとった。イスラエルはイスラム世界の領域を奪い、アメリカはそのイスラエルを支持したからである。
以来、40年。イランとアメリカは対立を続けている(アヤトラ・ホメイニは1989年に亡くなった)。
∧∧
(‥ )でっここしばらく
\− イランは強気だよね
なんでかね?
(‥ )版図拡大という
意味では
ひさかたぶりの
成功期だからじゃね?
イラン最後の栄光というと成り上がり者でバグダッドを制圧し、インドのムガール帝国を破り、首都デリーで大虐殺と大掠奪を行い、最後は親衛隊を粛清しようとして、反対に親衛隊によってバラバラにされた暴虐な支配者、ナーディル・シャー(1736〜47)
このような男を栄誉と言って良いのかはともかく、”栄光”であったことには違いない。
∧∧
(‥ )ナーディルさん以後は
\− 短命な王朝が続いて
イランの版図は縮小
勃興する西欧勢に
領土や経済を蚕食されて
しまいましたからな
(‥ )それがどうだい
今ではシリア内乱に
手を伸ばし
イラク南部はほぼ制圧
100年、200年ぶりの
成功ですよ
∧∧
(‥ )基本的にはシーア派
\− あるいはそれに準じる領域を
制圧しただけだけどね
それも地域の混乱に乗じた
結果であって
ある意味自力ではない
(‥ )とはいえ成功は成功だろ?
歴史ではしばしば版図の拡大をもって成功が評価される。勢力の拡大で名君であるとか、成功者であると言われるものだ。それを考えれば現在のイランの政権。最高指導者である法学者は”名君”と言われることになるだろう。
∧∧
(‥ )イランの経済は
\− あまりよくないけどな...
(‥ )歴史家って
給料取りだったり
富裕層だったり
するじゃんよ
経済のことに
興味ないから
経済のことは
評価しないさ
歴史家の記述というのはいつもお決まりだ。経済を活性化した。戦費で国を傾けた、庶民が苦しんだ、そういうお決まりの修辞法で、ここには分析というものがない。歴史家は経済や人々の暮らしに興味などないのである。
法学者も経済には興味がないだろう。そもそもイランの経済があまり振るわないのはアメリカに制裁されているからという側面もある。これを踏まえればますます気にしないだろう。今の苦しみは戦いの代償であり、そして戦い続ければいつか取り戻せることであった。
∧∧
(‥ )それを考えれば
\− イランが強気なのは当然か
(‥ )反対にアメリカもイラクの
石油を渡すわけには
いかんし
周辺諸国に対する
安全保障の問題もあるし
引けないよね
去年の6月には
日本タンカーへの攻撃
9月には
サウジ石油施設への攻撃が
あったわけだしな
そりゃ日本も自衛隊を
派遣するわさ
一方、ツイッターでは、安倍は自衛隊を中東に派遣するな、アメリカのトランプから離れろと騒がしい。
∧∧
(‥ )元文科省事務次官で
\− 安倍首相の忖度があったー!
と熱弁してた
前川喜平さんもツイッターで
シンゾーはドナルドと
絶交せよ! と
つぶやいてるけども...
(‥ )自衛隊の派遣で予算が
上がると税金も上がる
政情不安で
原油が上がると
資産も減る
資産家にとっては
嫌だよね
資産家は公共事情を極端に嫌うが、資産が増えると税金が多くなるという現行の税制において、この反応は当然であった。
公共事業は資産家にとって重荷となる。自衛隊の派遣を嫌うのも当然だろう。派遣と予算とどんな関係があるのかはともかくとして、印象論としては余計な出費が税金でのしかかってくると判断できるわけで、自衛隊の派遣は資産家にとって害悪でしかない。
∧∧
( ‥)そして原油の値上がりは
出費をまねき
資産の減少をまねくから
嫌でございますと
( ‥)資産家って円高、株安
−/ 安売り、デフレが
大好きだろ?
だったらその反対の
原油の値上がりは
大嫌いのはずだ
もちろん、国家には国家の立場がある。国家は石油の安定供給を考えねばならず、なれば国家は派兵、派遣を考える。
一方、資産家は自分の資産のことだけを考えれば良い。例えばゴーン会長のようにだ。資産家は出費を嫌い、派遣や値上がりを嫌えば良い。
法学者は理念だけを考えれば良いし、歴史家は栄光だけを考えればよく、両者は事実として経済のことに最小限の関心しか示さない。
皆の反応は皆の立場を反映したもので、それ以上のものではなかった。
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