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2019年2月4日月曜日

経営の玄人 国を滅ぼす

 
 
 2002年4月 チャベス政権に対する反政府デモを装ったクーデターが発生
 
 2002年12月 ベネズエラ石油公社(PEVSA ペデベサ)の経営陣が主導した大規模ストライキ
 
 これに対して、チャベス大統領は強硬策に出た。石油公社の経営陣や幹部、技術者を大量解雇した。その数2万人。全従業員のおよそ半分に相当するという。
 
 そして、「ウーゴ・チャベス ベネズエラ革命の内幕」では、著者ローリー・キャロルが、石油公社の新経営陣の一人であるバルド・サンソーにインタビューした一節がある。2011年3月のことだ。
 
 このサンソーなる人物が言った内容を要約すれば、
 
 いいかい、石油公社の旧経営陣は傲慢だったんだ。彼らは最後まで自分たちが必要な自在だと思い込んでいた。でも結果は我々が見せつけてやった通りさ!
 
 というものであった。バルド・サンソーは、かように自分たちは石油事業を見事に引き継いでいると自慢した。だが産油量は減り続けていた。2003年の旧経営陣時代と比べると、昨今の産油量はほぼ半分にまで落ち込んでる。
 
 ∧∧
(‥ )...我々が見せつけてやった
\‐   通りさ! って
     虚しい台詞だな
     引き継げておらんがな
 
  (‥ )このサンソーって
      兄ちゃんはな
      米国で学び法律事務所だの
      経営顧問会社だのに
      勤めた人間で
      経営のことについては
      力説してるのよね
 
 反対に技術のことはまったく理解していなかったのだろう。

 石油は、特にベネズエラの石油は油井が古くなればなるほど維持費が高くなり、なおかつ新規の油井開発が必要となること、これが顕著だそうである。
 
 ∧∧
(‥ )石油って最初は勝手に
\‐  吹き出てくれるけど
    そのうちに止まって
    それでも採掘するには
    蒸気を吹き込んで圧を高めたり
    内部で火を燃やして加熱
    界面活性剤で溶かすとか
    色々な手が
    必要になってくるからね
    歳月がたつと
    維持費が高まる産業である
 
  (‥ )さらにベネズエラの場合
      新規開発すべき資源が
      タールだったからな
      余計に手間も技術も
      必要になる
      経営しか知らない
      素人の青二才が
      扱えるようなものではない
      そういうことだよね
 
 その技術に明るい旧経営陣を解雇した。これは石油公社にとって、そしてベネズエラにとっても致命的だった。

 この点、バルド・サンソーの受け答えは実に興味深い。
 
 地質学は我々に味方していた。
 
 石油は複雑なものではない。原価4ドルなのに100ドルで売れる製品など他にはない。
 
 大変なのは油田探査だ。見つけたら採掘すればいい。まったく簡単なことだ。
 
 以上の彼の言葉には、石油の現実と難しさに関する認識がまるで見当たらない。経営の玄人である彼には、経営の根本にあるはずの現実が見えていない。
 
 ∧∧
(‥ )こういう経営の玄人にして
\‐  技術と現場の素人が
    国を滅ぼすのか
 
  (‥ )あっはっはっ
      だがしかし
      これが革命ってものさ
      革命とは自分の足を食う
      タコであるからな
 
 革命とは頭でっかちな人間が机上の空論で行うものであり、これゆえに革命とは度し難いものになる。
 
     
 
 

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