2020年3月13日金曜日
吐き出す息からすらも遺伝子を検出するのがPCR法
新型肺炎の検査で使うRCR法。これは遺伝子を大量増幅することで検体に含まれる目標物を発見する方法。今回の場合は新型肺炎のコロナウイルスを見つけ出す手段として使われる。
∧∧
(‥ )twitterでは
\− PCRでは偽陽性は出ない
なぜならPCRはそこにある
遺伝子を増幅するのだから
コロナウイルスがいなければ
出るはずがないじゃないか
そんなこともわからない人は
バカなのか?
と言っている人など多数
(‥ )でっこれをそうだったのか!
とリツイートする人たちが
いる一方で
PCRを使った人たちは
....はあ とため息混じりで
冷たい目で見てるのか
まあそうなるよな
生物学にはコンタミという言葉がある。
コンタミネーション:comtamination 通称、コンタミ。意味は汚染。
私たちの周囲には無数の生物がいる。真菌やカビの胞子、細菌のような微生物。生物とは厳密には言い難いが様々なウイルスたち。
生物学では目標生物を見つける際、こうした余計なものたちが試料に混ざらないように、非常に神経を使う。
私たちの身の回りにはこうしたものが無数にいる。それだけではない。こうした生物由来の無数の遺伝子が舞い飛んでいるし、中には私たち自身の体からもれた遺伝子の残骸も含まれている。
∧∧
(‥ )こうしたものがあたり中に
\− それこそ空気中にいたるまで
充満しているのがこの世界
(‥ )だから適切に検査しないと
あっという間に汚染されて
偽陽性なんか
簡単に出るよね
もちろん、そうさせないために検査する人は手袋や駒込ピペットやクリーンベンチやドラフトチェンバーやガスバーナー、消毒液、防護服を使用し、使い捨て、決められた手順で正確に作業を繰り返す。
∧∧
( ‥)だから汚染は最小限度に
抑えられているけど
ゼロではないのである
そしていくら汚染の確率を
減らしたとしても
検査を大量に行えば
必ず偽陽性は起こり
偽陽性の事例は多数発生する
( ‥)それを知らないやつは
−/ PCRなら
偽陽性はでないと断言し
知ってる人間は
冷たい蔑んだ目で
はあとため息をついて
相手を軽蔑の眼で
まじまじと見るわけよ
直接関係ないが、例えばこんな論文がある。これはインフルエンザの場合、無症状の感染者が感染を広めるとはどういうことか? それを個人的な好奇心で調べていた時に見つけたもの。
=>https://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0002691&type=printable
∧∧
(‥ )Influenza Virus in Human
\− Exhaled Breath:
An Observational Study
人間の吐気に見られる
インフルエンザウイルスと
その観察と研究
(‥ )インフルエンザにかかった
患者の吐き出す息を
フィルターに通すことで
吐気に含まれる
微粒子を集め
それをPCRで増幅したら
インフルエンザの
遺伝子を検出したという
内容なんだが...
咳でもくしゃみでもなく、静かに呼吸するだけで人体から放出される微粒子、多分、微小な水滴であろうか? それとも喉の粘液から剥がれた粒子だろうか? ともあれそこにインフルエンザの遺伝子が含まれている。
咳をせずとも患者はインフルエンザウイルスの遺伝子を放出している。
これが疫学的にどんな意味を持つのかは分からなかった。PCRは遺伝子を増幅するにすぎない。見つけたインフルエンザの遺伝子は感染能力をもたない、ただの残骸であるのかもしれない。それに機能するウイルスが放出されているとしても、数が少なすぎて感染できるのかどうかも分からない。
ともあれ、ここから言えることがひとつある。
∧∧
( ‥)PCRは吐き出す息に含まれる
遺伝子まで検出するような
そういう非常に感受性の強い
機械でありますよと
( ‥)だからさ新型肺炎に
−/ 話を戻すとよ
検体を検査する時に
わずかに検体が揺れて
微笑な飛沫や埃
検体を採取した綿棒の
繊維が飛んで
浮遊するだけでも
それが
別の検体にまぎれれば
PCRはそれを検出しうるし
つまりは汚染が起こるし
誤判定が発生するって
ことなんだよね
それを考えるとPCRで偽陽性反応は出ない! という楽観論に対して、現場の人間が、はあ...と冷たい目でため息つくのは当然だった。現場の人間は日常、こういう汚染と戦いながらなんとか有意なデータを抽出しようと悪戦苦闘してきたからである。
汚染は簡単に起こる。呼吸でも、空気の渦でも、検体をわずかにはじくことでもなんでも。絶えずいつでも起こる。
そしてそれは偽陽性の原因になるし、検査数を多くすれば、偽陽性の数はどんどん増えていく。