2020年1月1日水曜日
元旦と赤色巨星
2020年元旦
∧∧
(‥ )どこにもいって
\− ないけどな
(‥ )行く気になれんし
大晦日は風が強く、雪が舞い飛び、とても外出する気になれるような天気ではなかった。
さて
数日前と違ってベテルギウスで検索すると、当たりが一気に増えた。
∧∧
(‥ )現在の急激な減光を
\− 超新星爆発の予兆?? と
伝えたメディアがあった
みたいだね
(‥ )爆発する前って
暗くなるのかい?
そんなことあったっけ? 星は膨張する性質を持っているのでエネルギーを加えると膨張して冷えて暗くなる(星は物性が非常識)。なので、この理屈だけで考えると、ベテルギウスが暗くなったとは膨張したということ、それはなんらかのエネルギーが加わったということ。
∧∧
(‥ )でも星が死ぬ前に
\− そんなエネルギーを
放出しましたっけ?
(‥ )星の燃焼って
減燃の収縮で加速
加熱の膨張で減速して
調整されてるよな?
最終段階では燃焼元素が
次々に変わるけど
原理上
生成されるエネルギーは
一定に思えるけども...
一応、本を読んでいると、例えば
太陽質量の10倍ぐらいの星では、酸素+ネオン+マグネシウムのコアはニュートリノの放射で重力収縮し、温度が上がってネオン燃焼が外から中へ伝播し、軽い暴走現象を起こして外層の構造に影響を与える
という記述があることはある(ベテルギウスの推定質量自体はこれに該当しない)。
∧∧
(‥ )理屈の上では
\− ネオンの急燃焼は
外層の膨張を
引き起こすでしょうけどなあ
ベテルギウスがこれに
該当するかっていわれたらね
素人には判断できませんぞな
(‥ )というかプロでも無理だろ
そもそも観測が先だべ
以上の小難しい話を抜きにして一番単純な判断基準というと、ベテルギウスが臨終する、その最後に我々が居合わせている確率を考えることだろう。
ベテルギウスの予測される質量は太陽の20倍ぐらい。これだけ重いとその寿命は1000万年を切る。つまり太陽の500分の1の寿命だが、それでも人間から見れば十分長い。
∧∧
(‥ )そしてヘリウムの後の
\− 燃焼の最終段階に入って
星が爆発するまでに
数百年から1000年は
時間あるよね
(‥ )要するにベテルギウスの
人生における最後の
1万分の1に我々が
居合わせているかどうか
って話だよな?
無理があると思うが...
星は水素を燃焼しているが、それが燃え尽きると灰であるヘリウムの芯ができて、この芯は収縮した上で火がつく。この状態から星は赤色巨星になる。だからベテルギウスは少なくともヘリウム燃焼以後の段階ということになる。ヘリウムが燃えていられる時間はそれまでの10分の1ぐらいというから、ベテルギウスのヘリウム燃焼は100万とか数十万年続くことになる。
そのヘリウムが燃え尽きると炭素が、炭素が終わるとネオンが、ネオンが終わるとケイ素が・・・と燃焼が続くけども、この最終段階は1000年以下。
この最後の1000年に我々が居合わせているか? と言ったら、赤色巨星である時間だけで考えても、その割合は1000分の1とか数百分の1なわけで、この賭けはちょっと分が悪い。
ベテルギウスの急な減光は爆発の前兆などではないんだろう。しかし急激に暗くなったのは面白い話に違いない。
そして実のところ、ベテルギウスの変光のメカニズムはそもそもよくわかっていないのであった。
∧∧
(‥ )ケフェイド型変光星とかは
\− 電離したガス層が
エネルギーを
ため込むことで
星の振動を増幅するって
話でしたかな
(‥ )だけども
ベテルギウスみたいな
半規則型の赤色巨星の
変光原理はよくわかって
いないって話だった
というか論文を探しても、現状、出てこなかった。一部の資料には、
ベテルギウスのような半規則型の星は、星が縮小するとガスの密度が濃くなってエネルギーを吸収して膨張し、膨張して薄くなるとエネルギーが素通りして冷えて縮む
と書いてはあった。
∧∧
( ‥)でもその理屈だと
どんな星でもなんかの拍子に
脈動を始めて
変光星に
なっちゃうんじゃね?
( ‥)単純にケフェイドと同じく
−/ 電離したガス層の話を
してるのかな?
よくわからんな
どっちにしろ、星が暗くなるためには膨張して温度を下げる必要があるわけで、ベテルギウスのような超巨大な星が、そんな1ヶ月で等級を0・6下げるような膨張を実現できるのか? という話であった。
∧∧
(‥ )やはり温度が低下して
\− 光を吸収する化合物が
生成されたと見るべきですかね
調べてみるとその可能性を
指摘している人が
やっぱりいるね
(‥ )でもまだみんな
わかってないみたいね
そりゃそうだろうな
つまり面白さはこれからなのである。