2018年12月30日日曜日
キュビエが見たものを考えよ
ジョルジュ・キュビエ
18世紀末から19世紀初頭にかけて活躍したフランスの博物学者。動物学の基礎を打ち立てたのは事実上彼なので、動物学者と言った方がいいかもしれない。
∧∧
(‥ )化石から古生物を再現する
\‐ 方法論を確立し
絶滅動物が存在することを
世に示し
地球は何度も激変に襲われた
という激変説を唱えた人だね
(‥ )でもさあ
そのすぐ後に地質学者の
ライエルとダーウィンが
出てきたから
即座に過去の人になって
彼の激変説は時代遅れで
無価値なものとして
忘れ去られたのだよな
まあ、彼の激変説があまり具体的でないから、掘り下げようがなく、その分、歴史的価値も見出してもらえなかった...とも言えそうだ。
*キュビエという人は一般化とか理論化を好まなかったそうである。だから理論が必要な時も事実に直接関係することは述べるが、すべての現象を説明する統一的な理論を提案することはなかった。
ともあれ
∧∧
(‥ )キュビエさんは
\‐ ヨーロッパの山々が第二紀の...
ようするに中生代の地層で
できているけど
それがもはや水平でないから
激変説を持ち出したと
(‥ )中生代の地層が
海底に堆積する
激変が起きて海が移動し
海底の地層は隆起して
陸地となり山となる
この時の激変で
地層は本来の水平から
斜めや垂直になる
そういう理屈だな
垂直になった地層と山、というのはキュビエが活躍したフランスで見ることが可能だ。それは非常に印象的である。
=>https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%A0/@44.1974751,5.9590374,14z/data=!4m5!3m4!1s0x12cba6d1bdc3fc67:0x668be4b7fe52ce9a!8m2!3d44.197477!4d5.976547
ところでキュビエは次のことにも気がついた。こうしてできた変形した地層の上に水平の地層が重なっていると。
∧∧
(‥ )だから複数の激変を
\‐ 考えたのだね
ようするに
中生代の地層が堆積する
中生代の地層が隆起し山になる
山が海底に沈む
山の上に新しい地層が堆積する
再び隆起が起きる
だいたいこんな説明
(‥ )あーでも
隆起変形した西欧の山々に
後から出来て
乗っかる水平の地層って...
海底でできたものでは
ないよねえ...
キュビエの言ってるこれって、多分、氷河期の堆積物かなんかじゃねえの?
キュビエの記述があまり具体的でないので、適当に考える。
例えば西欧世界の中生代地層の山脈ならジュラ山脈と考える。
ジュラ山脈の隆起、変形した場所で面白そうなのはどこか?
∧∧
(‥ )ここが有名みたいよ
\‐ ル・シャポー・ド・ジャンダル
Le chapeau de gendarme
(‥ )へー道路脇に
褶曲した地層と
滝が見えてるのか
ジュラ紀とかの
石灰岩とかだよな?
いい場所あるなあ
=>https://www.google.co.jp/maps/place/Le+Chapeau+de+Gendarme/@46.359153,5.9041023,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x478c8cd609d79477:0x73ad8799c194996!8m2!3d46.359153!4d5.906291
さて、この道路の先を走って標高を上げていくと
道路脇に露出した斜めにかしがった石灰岩の地層
そしてその先にこんなのがあった
これは...まさにキュビエの言う褶曲した地層の上にある水平の地層ではないか?
∧∧
(‥ )んー? でもこれ本当に
\‐ 氷河堆積物?
近場を見る限り
この地層斜めだべ?
(‥ )んー? なんだろうな
地層が風化して
いかにも後から
土砂が堆積したように
見えているだけかな?
一方、道路は分岐するもので、以上とは別にこんな場所もある。こちらは素人目に見て、もっと氷河堆積物っぽい。
∧∧
(‥ )土砂の中に大小様々な
\‐ 岩石が混ざってる...
水に運搬されたとは
あまり思えない構造だな
(‥ )これ結構いい感じかもな
かつてキュビエは水平の地層を掘るとかしがった地層が現れるといった。
地層を掘る!?
掘れるということは、その地層が未固結ということであり、つまりは非常に新しい地層であったことを示すのだろう。
多分、キュビエが見たのは氷河堆積物で覆われた中生代の地層ではないか?