2018年9月10日月曜日
詰み手は詰み手だ
∧∧
(‥ )予算が足りない
\‐ 標本や資料の維持や管理も
厳しい!!
研究者のそういうお嘆きの声
(‥ )ああじゃあ
金食い虫の
研究者は全部クビにして
標本資料管理の人を
雇おうじゃないか
これで全部万事解決。
∧∧
( ‥)そんなわけねえな
(‥ )研究している
ご本人たちこそが
標本や資料を誰よりも
よく知っているし
価値を知っているし
保存の仕方も知っている
わけだからね
まあ少なくとも楽観的に考えればそうである。研究者の全員がそういう能力や知識や義務感や情熱を持っているわけではないが、極めて楽観的に考えればそのはずなのだ。
ただし、次のことは考えねばならない。
そうか、予算が足りないのか。では君ら研究者全員を解雇してもっと効率的な人員を雇用すれば保存できるだろう。
このように言われた時...
∧∧
( ‥)どう反論するかが大事?
( ‥)いや反論なんか
‐/ どうでもいいだよ
反論などバカでも根拠無しでもなんでもまくしたてることができる。ゆえに、どう反論するかが大事なのではない。
重要なのは、このような言葉を突きつけられた時、自分の脳内に渦巻く思考。その裏にある計算と打算。ここだ。
実は皆、意識の底、自覚の下でこう考えていないか? 標本や資料を失うのはしょうがない。代わりに自分の雇用は最後まで守ることができるはずだ。
∧∧
(‥ )人間は必ず打算するからね
\‐ 判断の裏には自分でも
意識していない無自覚の
計算と打算が存在する
(‥ )だからよ
このままでは大学や博物館の
標本や資料が維持できない!
と研究者が叫ぶとき
その思考の背後には
標本がなくなるのは
仕方がないけど
その代わり俺の雇用は
最後まで守られるはずだ
そういう打算が
あるものなのよ
そんなバカなと言うかもしれないが、そもそもそうでなければ困るのだ。そうでなければ火事が起これば燃えさかる博物館に研究者はみんな突っ込んでぼーぼー焼け死ぬことになるだろう。そりゃ困るでしょう。
∧∧
( ‥)打算するのはしかたなかんべ
(‥ )打算が悪いかどうか
じゃねえ
俺たちの思考と判断には
必ず打算があって
それに対して
俺たちは無自覚
ここ問題なのよ
これ、必ず隙を生む。
∧∧
(‥ )ノーベル受賞者の山中さんが
\‐ 資金集めのために
マラソンした時
うらやましがっている人
いたよね
ノーベル受賞者だからこそ
マラソンで資金集めできるって
(‥ )別にノーベル受賞者で
なくても
シカゴマラソンで走って
資金集めした
研究者がいるけどな
ともあれ、山中さんうらやましい〜と言った時、考えなかっただろうか? 俺、アピールポイントないし、マラソンできる体力ないし...
そもそも、そんな面倒なことしなくても僕の雇用は守られるはずだよね〜 と。
∧∧
(‥ )悪い思考じゃないべ
\‐
(‥ )良い悪いの問題じゃないさ
ただな
こういうところから
詰みに至るんだよ
いや、僕の雇用は守られるはず、と打算した時点ですでに詰み手。何かをする気なんかすでに無い。する気がある振りをして、自分を騙しているだけ。後はただ給料をもらう生ける屍になると脳はすでに決めたのではないか?
そしてそれこそが詰み手。
∧∧
( ‥)悪いことじゃないべ
(‥ )そりゃそうさ
詰み手になることは
ありがちだし
悪いことでもないさ
俺たちの人生は
詰み手の累積よ
だが詰み手は詰み手だ。