2017年4月2日日曜日
90度転倒した感覚は虚偽を棄却し、娯楽は大事である
それはおかしな夢だった。
寺に入ると、そこは広大な場所で、ずらっと人々が並んで座っていた。まるで幽鬼のように。
何これ? と思って脇を見ると何やら即売所があった。観光客が多く訪れるような大きな寺では色々な物品が売られているが、そういうものだ。しかし、なにかこうどっちかというとアニメやドラマの聖地になったから急遽グッズを作り並べましたという感があり、何かのコスプレではないだろうか? というお姉さんもいた。
なぜそう思うかというと、彼女は寺にいるにも関わらずセーラー服であり、目元は目の大きさを過大に強調するメイクをしていたからである。ただし、全身が白黒で色というものがなく、けだるく座っている。そして客はおらず、がらんとして打ち捨てられたような広大な空間に商品棚が並び、青みを帯びた、水銀灯のような照明が薄暗く続く。
∧∧
(‥ )なにこの夢?
\−
(‥ )この夢を見る前に
一回起きていてな
ちょうどその時に
見ていた夢の影響か
あるいは
そこからの連想かも
それはこんな夢であった。
歩いていると急に自分の腰のあたり、何カ所かを触られ、つかまれる気配がして急に重くなった。
ぶらんと何かが垂れ下がっている感じだ。
この感覚を感じた瞬間、途端、夢の画面が変わった。それまで自分目線で見ていた主観的な光景だったのに、カメラが急に引いて、自分が画面に入ってくる。それは自分を後ろ斜め上、高さ数メートルから見下ろすものであり、自分の腰のあたりに三つほど何かが垂れ下がっているのが分かった。
それは引き延ばされた人間の上半身や腕の断片のようにも見えた。
途端、地縛霊だぞ〜という声が聞こえて…
∧∧
( ‥)地縛霊ってそういう属性の
ものでしたか?
(‥ )んー多分
脳内で真っ先に
連想した言葉がそれで
不適切なんだけど
連想のままにアナウンスして
いる感じかな?
でもここで別の案件が夢の世界を貫いた。
俺、手洗いにいきたいんだよね
途端、目が覚めた。
自分はもちろん立ってなどおらず、右側を下に布団の中で横たわっているだけであり、それに気がつくと同時に、腰のあたりにあった掴まれる感覚も垂れ下がられる感覚も重みも、すべて急激に消え失せた。
∧∧
(‥ )夢の中では立っていたけど
\− 実際には横に寝ていることに
気がつく
すると何かが垂れ下がっている
ということがあり得ないことに
気がついてしまう
途端に作られていた感覚が
却下されて消え失せる
そんな感じですか
(‥ )そんなだったな
自分の実際の方位が
90度転倒していたことに
気がつくことで
捏造された感覚が
あり得ないものとして
棄却されてしまう
そんな感覚
そしてどうも、そもそもの発端は布団の中にあった布のたるみが腰にあたっていたことであるように思われた。
∧∧
( ‥)でっ? そんな夢を見た後で
また寝たから
寺の中で幽鬼のごとき人々が
ずらっと並ぶ夢を
見たのであろうと
(‥ )なんかよ
俺はもっと楽しい夢を
見たいんだけどね
それを考えると適切に調整され、提供される娯楽というものは大事である。