2015年8月14日金曜日
当たらなかった未来
仕事の一環でアイザック・アシモフ博士が書いたエッセイ『生命と非生命の間』に目を通す。
原著は1967年。この本の中でアシモフは1世代後の世界、1990年と2014年の予測を述べている。
∧∧
(‥ )これらの予想がほとんど
\‐ 当たっていない
(‥ )当たったこともあるんだ
そのひとつが例えば
現在、USAの人口は2億だが
1990年には3.2億に
なっているかもしれない
だね
*現在におけるUSAの人口は3.09億人。
他ざっと25章、26章における予想
人口増加で人は地下に住んでいるかもしれない(地下は立体空間を作りやすい)
自動車は小型化して、二人乗りのようなものが増えているだろう
ヘリコプター輸送の発展
エアカー
立体テレビ
機械化による余暇の拡大
週30時間労働
不経済な食料生産をやめて肉類から魚肉への転換、さらには酵母などを使った代用食の普及
原子力発電の広範な普及と原子力電池、核融合の実現
2014年には常駐の月基地が出来ているだろう
∧∧
(‥ )...当たってませんねえ
\‐
(‥ )核融合みたいに
未だにまったく
手が届かない例もあるけど
以上のどれも
やれば出来ること
なんだよな
じゃあなぜやらないのか?
∧∧
( ‥)多分、単に経済の問題だよね
(‥ )ヘリコプターは金かかるし
月面基地も採算が取れない
採算が取れないものは
必要ない
インフラが整備されて
利便性と豊かさが上がると
必要経費も上がる
必要経費を給料に込みで
計算するから
人件費が上がる
必要経費と人件費が入った
商品の値段も上がる
これらすべての支出を
賄うために
人は過労死寸前まで
働く事を余儀なくされる
つまり、アシモフ博士が想像したような社会。工場の自動化で人間が遊びながら暮らす社会は絶対にありえない。
*より正確に言うと、非常に制限を多くして社会を凍結させると、余暇が多く、満たされた社会が成立しうる。しかし、そういう社会は暴力的に襲いかかってくる過労死寸前の社会に対抗できず、征服され、奴隷化される。ゆえに成り立たない。例えばあくせく働き、石油を含めてあらゆる手段で収量の増大をもくろむ農耕社会が、太陽エネルギーで自動生産される食料だけに依存し、余裕のある生活を営む狩猟採集民族を抹殺していく過程を見よ。以上からこの世界は、人間が耐えられない過労死寸前の限界までアクセルされること明白である。人間の未来に地獄以外の選択肢は存在しない。
∧∧
(‥ )あれだね人口増加という
\‐ 増加曲線の予測はかなり
正確だったけども
技術的に出来ることから
予測した未来は
全て外れていたと
(‥ )技術的に出来なきゃ
それは実現できないが
経済的に黒字にならないと
やはり実現できない
当たり前なんだけども
博士にはどうも
そういう視点が無かった
そのことが
うかがえるよね
未来予測はソロバン勘定も考えないと当たらない。そういうことであるらしい。
とはいえ、当たった予測では次のようなものもある。
アイザック・アシモフ博士は60年代に曰く。今から一世代後の1990年頃には、喫煙は”公共喫煙所内”に制限されているだろう。
∧∧
(‥ )日本だと90年代はまだ
\‐ だったけども
2000年代には
喫煙所は隔離されたよね
大きな駅にはガラス張りの
喫煙所が設けられて
中でたくさんの人が
ニコチン補給してる
(‥ )あれを初めて見たときは
失礼ながら
水族館と熱帯魚水槽を
連想したものだが...
1960年代の人が
この未来を見たら
びっくり仰天するだろうな