2014年10月16日木曜日
主人公の挫折を望まない、というのは言いがかりでは?
小学校にはかなり大きな図書室があった。
∧∧
(‥ )色々な本を読みました
\‐
(‥ )ソヴィエトロシアは
核兵器で水利事業をやった
核爆弾で湖を作った
そう誇らし気に
本に書いてあってな
大人になってそれが本当だと
知った時、
愕然としたものだが
ワトソンとクリックによるDNAの構造解析、タバコモザイクウイルスの分解と合成。
読んだのは別にそういう本だけではない。小説も読んだ。
もっとも、推理小説は読まなかった。頭を使いたくないし、パズルに興味がないからだ。
純文学も読まなかった。理由は以上と同じである。というか、純文学は図書館にあったっけ?
たくさんあったし、読んだのは、必然、子供向けの冒険物語とかだった。
そして思うに
∧∧
(‥ )最近、時々言われる事柄
\‐ 今時の若者たちは
小説の主人公が挫折する話
あるいは負ける話
若者はそういうのを
読みたがらないんですよ
そういう嘆きが
ネットにあるね
(‥ )....
挫折する話
負ける話
そんな小説は
見た事ないぞ
多分、本を借りた頻度から考えると、図書館にある子供向けの冒険物語などそういう本、これらを100冊か200冊は読んだはずだ。だけども、主人公が挫折したり、負けたり、あるいは修行して再戦して、そうしてついに勝利を収める。そんな物語は見た事が無い。
∧∧
( ‥)子供向けだからだ...
というわけでもないよね
( ‥)実は子供向けに
‐□ アレンジしてあるけど
元は大人向けのSFとか
そういうのも
あったからな
ベルヌの海底二万マイルには、単に簡略化されているものもあったが、主人公が少年に書き換えられているものもあった。ウエルズのタイムマシンには、本来の主人公である博士だけではなく少年と少女が追加されている、というのもあった(これ自体は古本屋で見つけたものだが)。どっちも登場人物が大人だけでは子供が読むには耐えないだろう、そういう配慮に基づいて書き換えられたんだろう。
だが、挿絵や想定は子供向けだが、内容はそのままってものも多かった。
現代でいうと、いわゆる鬱エンドと揶揄されるようなものもあった。主人公は冷酷である。知り合った女が手首を切り落とされるという拷問を受けているのに、はー? という感じで傍観している。そんな彼だが職務に忠実だ。最後は特攻をかけて自爆する。あるいはこんな話もある。体制側の主人公が反体制側へと回る友人たちを逮捕するような役回りを演じ続けるのだが、最後は反体制のデモに加わってしまうもの。あるいはもはや本来の肉体に戻れぬと悟った主人公カップルが、自らの脳を爆破して、自分たちの死を遠隔操作の肉体で見届けるという話。
ちなみに、全部、外国の翻訳物で、アメリカの小説だと思う。
∧∧
( ‥)だけど主人公が挫折する話は
見た事が無い
( ‥)記憶にはないねえ
‐□
主人公が挫折する話。
小学校の図書館から離れたら、例えばスターウォーズがそうなのだろうか?
∧∧
(‥ )第2作目で
\‐ 主人公は腕をぶった切られて
友達は固められちゃって
味方は敗北するしね
(‥ )他になんかあったっけ?
北斗の拳でケンシロウがサウザーに負けちゃうとか? あるいはウルトラマンや仮面ライダーがごくまれに敵に負けちゃうとか、捕まるとか、危機に陥るとか? ガッツ星人の手によってセブンが磔に!
∧∧
(‥ )でもさ、それらも
\‐ 挫折というよりは
最強の敵、現わる!
絶体絶命の主人公は
どうなっちゃうんだろう??
ハラハラ
という話だよね
(‥ )今の若者は
主人公の挫折を望まない
それって
言いがかりじゃねえかな?
危機はあっても挫折は描かれない。なぜかというに、もともとそういうものが好まれないからである。
物語というもの、それ自体が本来こういうものではなかろうか。
*一方、こういう事例もあるにはある。以下へ続く=>hilihiliのhilihili: 通過儀礼としての試練と物語