2013年12月25日水曜日
売らねばならぬのだ
こうすれば世界は良くなるはずなのに、こうすれば日本は良くなるはずなのに、こうすれば社会はよくなるはずなのに。
だがそうしない。そうできない。
ははーん、分かりましたよ? 世の中、馬鹿ばっかりなんですね?
∧∧
(‥ )という絶望の声は
\‐ 意外と頻繁に聞こえるし、
語られることでもある
(‥ )まあ、あれね、
これ、物書きの話にすると
次のような内容に
なるんよな
なんで俺の書く事が分からないの? なんで受け入れられないの? なんで買ってくれないの?? ははーん、分かりましたよ? お前ら馬鹿なんですね?
∧∧
( ‥)途端に痛い叫びになりました
( ‥)痛い内容だけども
‐□ 言わんとしていることは
ある程度、
事実ではあるんだ
ひとつの文章を読む時、人は脳を動かし、カロリーを消費する。
文章を読むとはカロリーの投資でもある。そしてすべての人間が同じカロリーを投資したりはしない。
∧∧
( ‥)文章Aに対して
時間やカロリーを
それぞれ1しか
投資しない人もいれば
10投資する人、
1000を投資する人
10万を投資する人もいる
(‥ )人間の脳の出来、
うんぬん以前に
投資に差があるんよな
*言い換えると、ここでは”頭の出来”は考慮しない、ということでもある。投資のみで語ることにする。馬鹿という言葉も、時間あたり少ない投資しかしない、という意味に翻訳する。
以上を踏まえると、物書きの仕事とは、自分が1万投資して把握した事柄を、1万の投資をする気がない人、1000人に対して、10ぐらいの投資で把握できる内容にまで簡略、劣化させて出力する仕事なのだ、とも言える。
∧∧
(‥ )10の投資をする人が
\‐ 1000人集まれば
1万の投資は回収できる
(‥ )本当は自分の人件費とかを
考慮しないと
いけないんだが、
まあ、こういうこっちゃな
もちろん、色々なやり方がある。100の投資で把握できる程度にしておいて正確さを保ち、それを望む100人の人を狙う場合もあるし、反対に0.1の投資しかしない10万人向けに、呑み込みやすいありがちな勘違いや嘘を書いて売る、という手もある。嘘、というのは現実の超絶的な劣化なのだ、とも言えるし、それは商品になりうる。
∧∧
( ‥)人間の能力や投資の判断に
差がある以上、
戦略や売り方は様々である
(‥ )だから、
なんで買ってくれないの?
お前ら馬鹿なんですね?
という叫びは
事実であると同時に
間抜けでもある。
100の投資をしないと把握できない内容にしておいて、10万人に売れない、と嘆くのは当然の結果でもあると同時に、間抜けな選択肢でもある。
∧∧
( ‥)事実を目の前にしている
はずなのに、
売り方が分かっていない
(‥ )売り方が分かっていない
のに、
人類の大半は馬鹿である
少なくとも優秀では
ありえない、
という事実に怒りだす
まあ、とんちんかんなのだ。
嘆く気持ちは分かるが、やっぱとんちんかんだ。
∧∧
(‥ )政策も、把握するには
\‐ カロリーと時間の投資が
必要ですよね
(‥ )世の中、馬鹿だらけだと
怒り狂う人は、
あれね、
怒り狂い、世界を恨む
ライターと同じだよね
もちろん、そもそも”名案”とやらが間違いである、という可能性もあって、実際にはこれが一番問題になるところなんだろう。
∧∧
(‥ )そもそも売り方を間違えている
\‐ 時点で名案ではないですからね
(‥ )良策だから売れるわけでは
ないし、
むしろ、愚策の方が
受けが良い場合がありうる
良策を愚策に見せかけて
売りつけるとか、
そういう手が必要に
なってくるわけだ。
政治家とライター
このまったく正反対に
見える人々が、
実は抱える問題が
同じだったりしたら
悲惨だよねえ。
しかも政治の場合、良策や賢策が最悪の事態を招いたりするわけで、世の中、馬鹿ばっかりと嘆くのは、ちと軽すぎやしないか。