2013年10月11日金曜日
雑な言葉を使って法律、法律言うのはいかがなものか
差別的な言葉、憎悪を煽る表現、例えばヘイトスピーチは心地よいものだし、高揚感もある。ゆえに人々を熱狂させ、時として極右政党が政権を握り、ついには自由は失われる。しかも自由言論はこれを、例えばナチスドイツの台頭を阻止できなかった。法的に規制するのは当然。
∧∧
( ‥)どう思います?
(‥ )この主張って、
まま受け取ると
ナチスドイツは宣伝だけで
政権をとれたし、
煽り文句だけで
WW2に突入できた、
という内容なんだよな
つまりこの言い様は
WW1の後、諸国はドイツに法外な賠償金を要求し、領土を割譲させ、あるいはかすめ取り、軍備を奪い丸裸にして、不況で金の払いが悪くなると工業地帯に軍隊を差し向けて占領して、”差し押さえ”、とてつもないインフレを招いて経済を破壊した
というもろもろの事実は、
ナチス党の台頭や戦争の開始と関係ない
という主張でもある。少なくともそういう視点がまるっと抜け落ちていることは疑いない。
∧∧
( ‥)言い換えれば、豊かで
順風満帆な状態でも
憎悪を語れば
人々を熱狂させて、
ついには政権を奪って
戦争を開始できる、
そういう主張だと
(‥ )すごく単純にいうとだ
これ、アイドルや
ロックバンドが
国民の熱狂を煽って
その勢いでどこまでも
突き進めるし、
政権も奪えるという
主張でもあるんだよな
もっと単純化すれば、思いの力と感情だけで世界は自在に動かせる、ということでもある。
実際、ヒットラーはしばしばその天才的な演説と煽動で人々の心を掌握した、まるで魔術のように、そう語られること、それ自体がそのことを表している。
∧∧
( ‥)でも実際にはそうではない
( ‥)次の戦争が起こる、
それは分かっていたこと
だったからな。
例えばWW2の前に書かれた本を見ると、ポーランドに奪われた領土、父祖の墓まいりにいくのにもポーランド領を通らねばならない、という話。これを雪辱せんとしようとする思い、そんなことが紹介されていたりする。戦争が国の不均衡から起こるというのなら、戦争は思いの力で起きたりしない。思いが引き金となっていても、崩壊が始まるゆがみはすでにあるということだ。
いや、むしろ、不均衡を是正したい。それを皆が望む時に言葉が発明される、それだけの話なんだろう。実際、人は必要だから欲するのであって、望まない時は望まない。
∧∧
( ‥)失われた領土、
失地回復、
破壊された経済、
広がる困窮と混乱、
これをどうにかしたい
(‥ )たとえタイムマシンで
時間を遡って、
ヒトラーを子供の時に
暗殺しても
歴史は変わらない。
少なくとも、戦争は起こる
ヒトラーの代わりに
別の指導者が現れる。
彼はヒトラーのような
失敗はしないかもしれない
ガス室も作らないかも
しれない
だが戦争は起こるのだ。
思いの力で世界を変えられる、というのは経済や胃袋や飯という要素を無視しているわけで、荒唐無稽な考えだとしか思えない。しかし、人は、特に知識人は平気でこういう主張をする。
要するに、知識人たちが信じているお話と違って、自由主義や言論の自由はヒトラーの煽動に、憎悪を煽る言葉に、ヘイトスピーチとやらに負けたわけじゃないだろう。単に、奪われた領土と破壊された経済、困窮する生活、そういう物理的な事実に負けた、それだけだ。
∧∧
( ‥)そういう意味でいいますとね
(‥ )自由主義は
憎悪に負けたから
憎悪を煽る言葉を法律で
禁止するっていうのは
考えが間抜けなんだよな
というか、まるで何も
学んでいないのな。
現実に負けたことを認めず、負けたのは憎悪を禁止しなかったせいだ。だから今度は憎悪を禁止しよう、そうすれば負けないぞ。結局、現実を見ておらず、何が世界を動かす力なのか、そこにまるで眼を向けていない。憎悪を法律で禁止するとはそういう主張でしかないし、結局、何も見ていない。
現実を見ない知識人は、結局、非現実的な方策しか打ち出せない。そういうことなんだろう。
∧∧
(‥ )でも憎悪を煽る言葉って
\‐ どうしたものでしょうね?
(‥ )個々の言葉について
逐一反論するのが
まあ、理屈の上では
正しいだろうなあ。
言葉は、それがたとえ同じ名詞であっても、文脈やその場によって意味合いが違う。その時、その場によって個々、考えなくては判断が極めて雑になるだろう。
お利口さんね
例えばこの言葉だって、文脈によってまるで正反対の意味になる。
それと同じで、単語は個々の状況で判断されるべきだ。
∧∧
( ‥)例えばの話
(‥ )そもそもヘイトスピーチ
って用語自体が
おそろしく雑な言葉だから
使うべきじゃないよね。
あんな言い様は論が雑になるか、あるいはあえて論を雑にしたいか、そのどっちかだろう。どっちもろくなもんじゃない。