2013年7月9日火曜日
派生形質で派生形質が消える
∧∧
( ‥)どうしました?
( ‥)困った事態でな、
–□ 今度の本の説明で、
外群比較に使った魚は
この論文では歯が倒れる
つまり可倒歯だ、
となっているのだけど
それとは反対に
歯は動かない、
という論文と記述が
2つ出てきた
こまった。もしそれらが正しい場合、これは外群が持っている形質が派生形質であること、ゆえに共有派生形質で束ねられるべき内群のグループを束ねられない、ということを示している。
∧∧
( ‥)外群がたまたま派生形質を
もっていた場合、内群にある
派生形質は原始的であると
みなされて消えちゃいます
からね。
( ‥)困ったなあ。反対に
–□ 原始形質が派生形質に
見える状況も生じて
くるのだよね。
このファミリーが
偽系統群であるという
話の主旨まで
壊れてしまう
もちろん、一見するとこういう状況だね。だけどほら、外群をもっと増やすとこれが正しい解になるんだ、と説明すべきではある。
しかしこの手は使えない。そんなことをしたら本の3分の1ぐらいはそれで終わりだ。教科書ではなく新書であるうんぬんもさることながら、この本の目的に反する。そんなことはできない。
さて、困りました。最初の論文をまんま信用して、可倒歯です、と断言して書くのも良い。しかし、できればここは外群に選んだ魚の歯が本当に可動するかどうか確認しないといけないところ。
もちろん、著者は徹底的に調べた人だ、他の文献にfixed とか、rigid と書いてあっても、観察して”動く”と確信したからこそ、depressible(あるいはそれが可能でありうるタイプの歯である)とカウントしているんだろう。
とはいえ、そうではあるが確認した方が無難ではないか? なんといっても2つも”固定されている”と書いた文献があるのだから。
歯が動く、あるいは動かない、と書いた他の文献はないか?
例えばこの魚を採集して報告した文献で、歯に関して記述しているものはないか?
∧∧
(‥ )文献やネットで調べたけど
\– あれだね、このお魚さんの
歯の可動性に関して
それ以上の詳しい資料や
情報は見当たらないね。
この人の歯に関する研究も
今すぐ手には入らないよ。
地道に探すしかないね。
(‥ )他に使える分かりやすい
共有派生形質がないし...
細かい骨学的な記述は
ちょっと本の趣旨に
反するしね、時間もないし
どうしたものかな?
休んでいたらおかしな夢を見た。なんとも言えない、訳分からん事態を是正しようとする夢。
∧∧
( ‥)ああ、睡眠まで考え事に
浸食されてるのね
( ‥)でっ、起きてから
–□ 資料を読んでいてだね
ふと気がついた。
(‥ )以上とはほぼ関係ない箇所
だけど、自分の勘違いに
気がつきました。
かなり根源的な勘違い
∧∧
( ‥)今さらだな、おい
その勘違いを是正した結果
( ‥)以上の問題も解決、終了
–□ やったね
∧∧
( ‥)ひとつの共有派生形質だと
思っていたら実は2つで、
それを使ったら、先の
”外群が派生状態なので
使える派生形質が消える”が
相殺されたわけね。
まあ、これで説明が7000文字程度で収まるのだから半日考えた結果としては良しとするべき。
∧∧
(‥ )とはいえ、最終的には
\– 確認したいですよね
(‥ )そうだねえ。
地道に探すとしよう。
できれば触りたいの
だけどね。ちょっと
難しいだろうなあ。