2012年9月20日木曜日
無限にかかる計算結果を知る
*の続き
有限の計算能力しかない演算装置では、例えば円周率のような無理数、無限にどこまでも続く数の全貌は明らかにできない。無限の数を計算し終えるには無限の時間がかかる。
もちろん、無限のステップが有限の時間に完了する場合もある。
*例:ランプを30秒つける、ランプを15秒消す、ランプを7.5秒つける、ランプを3.25秒消す...以下、手順を前の半分にすることを続けると、1分後、この動作は無限回こなされたことになる。
( ‥)これは有限時間内に
無限を行う行為だけども
まあ、無理な話でね。
∧∧
( ‥)反対に、無限時間の間に
行われる無限のステップ全体を
観測者にとっては有限の時間
例えば、”10年間”で
観測しきれれば無限の
計算結果を知ることができる
だろう、と
( ‥)有限の時間で無限の過程
–□ そのすべてを知り尽くす
には、自分の時間を
限りなく遅くすれば良い
限りなく遅い時間の中にいる観測者から見れば、無限に時間がかかる計算結果も有限の時間内に終わる。幸いにも、この宇宙はそんな摩訶不思議なことを許す宇宙だ。相対論に従えば、この宇宙の時間の流れはどこでも同様ではない。無限の計算をこなしている演算装置に対して、時間の歩みを限りなく遅くする方法が2つある。
∧∧
( ‥)ひとつは観測者が
ブラックホールに自由落下
すること。
(‥ )彼はいずれ特異点に激突して
死ぬけども、それまでの間に
外では無限の時間が経過する
*潮汐力とか、いや、超巨大なら、とか、ブラックホールも有限時間で蒸発するとか、そういうことは今ははぶく。
∧∧
( ‥)もうひとつの方法は光速に
到達すること
(‥ )光の速度に近づけば近づく
ほど、時間は外に対して
遅くなる。宇宙船の中にいる
自分からすると、条件しだいで
自分の一生のうちに、外では
無限の時間が経過する。
と、考えることができる。
∧∧
( ‥)光速に限りなく近付ける
宇宙船は、バサードラムジェット
だけ、でしたっけ?
(‥ )確か、そうだったよな?
*バサードラムジェット 飛行機のラムジェットとある意味、原理は同じ。ただしこちらは宇宙船で、飛行する間に前方の宇宙空間にわずかだけある水素原子をかき集め、それを核融合させて推進力を得る、というもの。光速に近づけば近づくほど加速は難しくなるが、バサードラムジェットの場合、いわばエンジンだけで燃料が外部にあるため、無限に加速できる。
∧∧
( ‥)まあ、仮に水素原子、
イオン化してれば陽子のこと
ですけど、陽子が崩壊しないと
しましょうよ、無限に加速して
光速に到達し、無限の計算結果を
有限時間で観測できるか?
(‥ )あのさ、宇宙が膨張すると
どんどん希薄になっていくよね?
つまり、移動距離に換算すると
かき集められる燃料が
どんどん減っていく、という
ことだよね?
∧∧
( ‥)つまり、無限の時間をかけて
飛行しても、有限の燃料しか
集められないのでは? と
(‥ )とっ、いうことは光速に
限りなく近付けるけど
近付けるだけ。ひいては
無限の計算結果を有限時間で
知る事はできない、そういう
ことかい?
そういえば、前、こんな話が確かあったよな、無限の時間をかけても有限の資源しか集められない。ゆえに知的生物はこの宇宙では永久には存続できない。絶対的に死滅する運命。
∧∧
( ‥)宇宙が限りなく膨張するから
ですよね?
(‥ )有限の値を無限に足し算すれば
無限になるか、というと必ずしも
そうではない。ある有限の値に
収束する場合もあるからな。
例:0.3+0.03+0.003+0.0003+....=3分の1
*そもそも冒頭のランプの話がそれ。ゼノンのパラドックスと同様。
バサードラムジェットの理論上の能力はきちんとリサーチしないといけないけども。どうもざっくりいって、無限の時間をかけて行う計算結果を知ることは無理だ、ということらしい。
∧∧
( ‥)そもそも無限の時間をかけても
有限の資源しか集められない
時点で、無限に稼働する演算装置
肝心なそれ自体がありえないって
ことになりそうですけどね
(‥ )そういうことになるよねえ。