2019年10月30日水曜日
バスキアの尾羽
その人は言った。バスキア展にいってきたと。
∧∧
(‥ )ジャン・ミシェル・バスキア
\− Jean Michel Basquiat
1960~1988
アメリカはニューヨークの
芸術家でアフリカ系
(‥ )衣服のネット販売で
のし上がったゾゾタウンの
社長さんが123億で
落札した絵も展示か...
はーん?
∧∧
(‥ )これが123億かい?
\−
(‥ )モナリザと同じだろ?
絵画自体に価値がある
わけではない
これに価値があると
信じ込んでいる
市場が存在する
だから値打ちがつく
バスキアの絵とモナリザ、どっちが欲しい? そう言われたら、どっちもいらんとしか答えられない。しかし、1億で買うかと言われたらどちらも買うだろう。
∧∧
( ‥)どっちも1億以上で
売れるわけだからな
(‥ )絵画に価値がある
わけではなく
価値があると
信じ込んでいる
市場があるから
値打ちがつくのだ
バスキアの絵はモナリザと同等だ。存在自体に意味はなく、市場がつける値打ちだけが存在する。それ以上でもそれ以下でもない。
∧∧
(‥ )...でっ?
\− あんたとしては
バスキアの絵自体を
どう感じるんだ?
(‥ )デュビュッフェ系の
絵だよな
それなら
デュビュフェの方が
いいかなあ
∧∧
( ‥)これ1940年代の
デュビュッフェだよな
きつい絵だべ
( ‥)晩年の方が
−/ いいよね
往来する人々の目を楽しませるものとして認められている時点で、晩年のデュビュッフェが成功していることは確かだ。
∧∧
(‥ )バスキアさんは27で
\− 薬物中毒により
死んじまったそうで
(‥ )くだらん死に方だ
生きていれば
もっと良い境地に
到達できただろうに
一方、若くして死ぬと作品数は少なくなり、希少価値が出る。本人にとっては不幸だが、彼を商品として扱う売り手にとっては好都合。
∧∧
(‥ )若くして死んだアーティストが
\− たたえられるのって
半分ぐらいそれが理由だからね
感心できませんな
(‥ )そだねー
それはそれとして
∧∧
(‥ )ところで成功した
\− 社長さんがバスキアの絵を
買うってどういう意味が
あるのかね?
(‥ )経済力の誇示だろ?
文化という無駄なことに巨額の富を投資する。その根本的な意味はそこにある。そしてそれはしばしば美しいものだ。クジャクの何の役にも立たぬ尾羽が美しいように。