2018年4月18日水曜日
懐疑の化学者
圧力が2倍、3倍に増えると空気の体積は2分の1、3分の1となる。つまり圧力と体積を掛け算すると答えはいつも1。つまり一定。
これがボイルの法則。
ロバート・ボイルは17世紀、イギリスの人物だ。
そしてこのボイルが書いた「懐疑の化学者」。
それまで支配的だったアリストテレスの四大元素説、ジャービルとパラケルルスによる水銀・硫黄・塩から物体ができているとする三原質説。
ボイルはこれを否定し、現代的な元素の定義を与えた...
∧∧
(‥ )...と言われているけど
\‐ これは大きな間違いで
ボイルさんは
元素の存在を
否定したのである
(‥ )ボイルとニュートンは
錬金術仲間で
二人の著作
「懐疑の化学者」と
「光学」疑問31は
内容がよく似ておる
そして、彼らの説明は原子論ではあるのだが、我々が考えるような原子論ではない。どっちかというと素粒子論だ。
∧∧
( ‥)電磁気力と核力が
同じだったら
ボイルさんやニュートンさんの
世界になるんだろうね
ロウソクや溶鉱炉の炎で
分子も原子も核子も操作できる
つまりは
元素転換が可能になる世界
( ‥)だからなあ
‐/ ボイルは元素を
現代的な意味では
定義なんかしてないし
定義しているように
見える文章も
それを否定するための
前座にすぎないのよね
しかしなぜか、ボイルの「懐疑の化学者」は古典的な四大元素説や当時有力だった水銀・硫黄・塩説を否定し、現代化学への扉を開いたと解釈されている。
それはなぜか?
∧∧
( ‥)なんで?
(‥ )ボイルの文章が
すげー煩雑で
わけわからんからじゃね?
日本語版しか読んでないけど、「懐疑の化学者」これがまあ、かなり面倒臭い文章。元が英語だからってだけではない。お上品で回りくどい文学的な表現や説明が煩雑で、これを否定したいと思います、の答えが述べられるのは30ページも後。そこまで長々とした説明が続いた上に、これが先ほど言った疑問に対する回答です、というような断り書きも但し書きもなく、ぽっと出て目立つことなく終わる。
つまり、説明の筋と彼の主旨と答えと考えが見えぬのだ。すべてが氾濫する実例の中に押し流されて水没している。
そのため断片的で明瞭な部分だけが読者の頭に残ることとなり...
∧∧
(‥ )そうしてざっと読むと
□‐ 四大元素説や
水銀・硫黄説はダメなんだ
実験をうまく説明できないんだ
金のような物体こそが
これ以上は
分解できない
そういうのが元素なんだ
そう言っているように
読めるよね
(‥ )ところが実際には
元素転換を書いてるし
金も別存在へ
切り刻めるはずだ
と書いているわけよ
ボイルは現代的な意味の
元素を肯定していない
元素の定義もそれは
否定するためだ
うがった見方をすると、ボイルがそう主張したのは、実際に金を切り刻んで別の物質に転換せしめたせいかもしれない。もちろんそんなことは起こりえないが、本人たちがそう思い込んでいた可能性はある。実際、本文中にそれを匂わせる部分がある。もしかしたらだが、金は元素ではない、とボイルがはっきり言わなかったのは、金の元素転換、すなわち賢者の石の製法を明るみに出してはいけないと思ったので、そこをぼやかしたせいかもしれない。
*ちなみにこれ、かなりありうる可能性だ。ニュートンも実は賢者の石を発見していたが(それが一体なんなのかは知らないが)、この発見を彼は秘匿したらしい。
∧∧
( ‥)要するにボイルさんの
書き方があまりに煩雑なので
古い理論の否定をした
金はあくまでも金である
これこそが元素なのだ
という部分だけが残って
近代における元素の定義を
最初にした人だ
そう評価されるようになったと
( ‥)多分そうだね
‐□
そして、「懐疑の化学者」を読むのは、これを読んだと言って良いのかはともかくとして、読むのは骨の折れる仕事であった。
疲れ果てました
∧∧
( ‥)あんたも歳だな
( - -)あー歳はとりたくないね