2017年5月16日火曜日
塩と油とデンプンの、大炎上大会
お嬢様が平民の主人公と出会い、そしてマクドナルドなどに入って、こんな美味しいものは初めて食べた…と言う、ありがちなフィクションの展開。
こんな展開は馬鹿馬鹿しいが、とはいえしかし逆もまた馬鹿馬鹿しい。
∧∧
(‥ )実際のところ
\− 同級生のお嬢さんに
ジャンクフードを
食べさせたら
一口食べて
後は口をつけなかった
という話があったよね
嘘か本当かは知らないけどね
(‥ )その手の話は
ちょっとイラっとくる
ものなんだよな
まず第一に、人間は自然界では極めて希少であるデンプンと塩と脂に強く引きつけられるように出来ている。そうした人類の遺伝的な特性に対処した存在がジャンクフードなれば、ジャンクフードを一口以上食べられなかったというのはあり得ない。
∧∧
( ‥)そして第2に
皆が賞味するものを
食べないとは
それはそれを食べる全員に
喧嘩を売ったと
同じことなのである
(‥ )そんなことをするとは
よくよく
しつけの悪い奴よ
これはつまり、塩と脂とデンプンという欲望に心の中で抗いながら、体面だけはお嬢様らしくつくろったということである。しかもこれは、その場の人間関係を踏みにじりながら、私はお前達とは違う高貴な存在であると、己が面子だけを考えた結果に他ならぬ。
∧∧
( ‥)なんという暴虐でしょう!
(‥ )ぶっ殺せー!
そんな奴は殺されて当然だ。街灯から縄で吊るしてキャンプファイヤーするべき。
もちろん首には「私は食事をネタにマウンティングしました」という札を下げながら、彼女は紅蓮の炎に包まれる
∧∧
(‥ )...そういえば
\− 私の自慢の息子はマクドで
こんなものが食えるか! と
出たものを足でめちゃめちゃに
踏みつけたのざます♡
と書いて炎上したお母さん
いたよね
(‥ )理由、分かりますよね?
もちろん弁護することもできる。皆がみな同じ味覚を持っているわけではないし、塩と脂とデンプンであればなんでも良いというわけではない。実際、それが許されるのなら塩を混ぜたでんぷんのりにサラダオイルをかければ美味しいということになってしまうだろう。
∧∧
( ‥)前にすんでいた近所の
スーパーの
お惣菜コロッケ
美味しくなかったよね
塩と脂とデンプンたる
ジャガイモが
混ざっているのに
ちっとも美味しくない
(‥ )まあそのなんだ
お惣菜のパックの底に
コロッケから抜けた
茶色の油がたまっててな
あれ
油も古かったのだろうな
まずいのもさることながら
腹がおかしくなったからな
あのスーパー
馬鹿なんじゃねえかな
こっちに来てから総菜のコロッケを買ったら、これが普通に美味しいのだ。前のスーパーは頭がいかれてたに違いない。
∧∧
(‥ )まあこういうことも
\− ありうるよね
(‥ )食べ慣れていないと
必須なものも食べられない
そういうこともありうる
例えば、どこの民話か忘れたが確かこんな話があったではないか。ある時、やまんばが村に現れる。実はそのやまんば、幼い頃、天狗に連れ去られたのだという。村人が食事を差し出すと彼女はそれを食べられない。彼女にはあまりに塩気が強すぎたのだ。塩の無い山で生涯の大部分を過ごした彼女は、もはや人里では住めぬことを理解して一人山へ帰っていく。
∧∧
(‥ )ひどい話だよね
\− これって要するに
ロリコンの不審者にさらわれて
人生を壊された女の子の
話だよね
(‥ )そして慣れぬ味覚の
話でもあるのだな
特に昔の村だ。保存食のためすべてが現在よりもずっと塩辛くなっていたであろう。それは現代人でもきつい塩気だろうし、山で過ごした彼女にとってはもっときつかったであろう。
∧∧
( ‥)さっきのお嬢様の話も
これと同じだと思う?
(‥ )違うだろ?
∧∧
( ‥)ということはだ
(‥ )キャンプファイヤーだー!
焼け。己のマウンティングのために皆の趣向を罵倒する者を。