2017年4月4日火曜日
累積したベクトルは噛み合わせを反映しうる
∧∧
(‥ )全滅エンドというと
\− あなたは中学生の時に
ダンバインを
現実時間で見てるよね
(‥ )...ああ、でもあれ
全滅するのはもう
分かってたしな
死者の魂が向かう世界で大騒動を引き起こしたので、お前ら出てけ! と放り出されてやってきました現実世界。でもそこでさらなる大騒ぎを起こしたので、こりゃいかん。もう皆で死んで帰りましょう。
∧∧
( ‥)後から知った知識で
メタ的に言うと
視聴率がふるわないから
当時としては斬新すぎる
ファンタジー世界の
英雄譚をやめて
現実世界を舞台にする
はめになってしまい
でもやっぱ浮いてるから
死んで帰りますねエンド
(‥ )ばたばた死ぬけど
見てて
何も思わなかったよ?
若様は大領主を打つものの撃墜され死亡。ヒロインは零落貴族に不意打ちされて撃墜。主人公は零落貴族を串刺しにして相打ち。まあなんか順当な最後ですよね、という醒めた感じ。
∧∧
( ‥)でも歯車は
噛み合ってますかね?
( ‥)そうねえ少なくとも
−/ 脚本に齟齬を感じた
記憶はないな...
今見たらどう感じるかは
分からないが
それでも途中で
トッド・ギネスが
死んでしまったのだけは
悲しかったな
∧∧
(‥ )あなたトッドさん
\− 好きだったからね
(‥ )具体的なことはほとんど
覚えてないんだけどな
なんか彼のところは
好きだったね
でも死ぬ事自体は順当だ
違和感があるとすれば大領主にして全土の支配を目指して征服戦争を起こすドレイク・ルフトのなにが一体悪なのかさっぱり分からないことで。
∧∧
(‥ )戦国武将や領主としては
\− 隣国を破り覇権を確立するは
当然だし
信長とか家康とか
その過程そのものを
ドラマ化したりしてますからな
それを踏まえれば
野心を抱いて大戦争を
引き起こすことの
何が悪なのか?
(‥ )でも相手の行動に
難癖つけて
抽象的な悪とすることは
物語の基本なのよね
指輪物語も悪は抽象的だし
スターウォーズも
そうだよな
どういう悪政を
行っているのか
具体的に見えてこない
敵は許されない悪であり
悪ならば打倒されるべきと
語られるのみだ
∧∧
( ‥)でもそういう抽象的な悪を
ぬっ殺すからこそ
人々に受けるのである
(‥ )抽象的だからこそ
物語の悪は
視聴者や読者が
それぞれ思い浮かべる敵
上司や同僚や先生や
親や家族や兄弟や
そういう仮想敵の面々に
なるわけだよ
そして、それら憎い敵を仮想敵を殺すと称して劇中でぬっ殺すからこそ、興奮が得られるのである。
水戸黄門が権力機械と武装を用いて日頃の欲求不満を思いっきりはらす殺人ショーであるように、物語で殺される悪役は、現実の憎い敵を代理する藁人形にすぎぬ。
∧∧
(‥ )水戸黄門の悪代官も
\− 具体的なようでいて
一般人が何も知らないで
想像する抽象的な
悪いお役人でしか
ありませんからなあ
(‥ )物語は殺人ショーだからな
藁人形が
具体的な悪を語ると
藁人形じゃなくなるのよね
藁人形は抽象的であるべき
なのよね
藁人形は藁で作られた人型という抽象的な姿だからこそ皆の憎しみを一身に受けられる。これが具体的になればなるほど憎しみの対象ではなくなってしまう。なれば悪役とは野望を抱いたというごく普通の欲求を持つだけで悪とされ、打倒されねばならぬのだ。
∧∧
( ‥)でも? それでも
野心ある大領主
ドレイクのどこが
悪いのか
あなたにはさっぱり
分からないから
彼の元にとどまった
トッドさんが好きだった?
(‥ )いやだってあのおっさんの
元にいた方が
みんな出世できるじゃん
反逆して敵陣営に寝返る
主人公の行動は
物語としては正しいけど
現実的には意味不明だよ?
∧∧
(‥ )まあ物語だから
\− しょうがないですなあ
(‥ )まあしょうがないねえ
異世界に召喚された俺が
征服戦争の先兵になって
大出世して故郷に帰還
なんて話にするわけにも
いかんからな
小説のように読者に選んで買わせるというものならありかもしれないが、テレビのように不特定多数に見せるものでは、そんなくせのある物語にするわけにいくまい。
∧∧
( ‥)なんにせよ全滅エンドだから
悲嘆するかといったら
そうとは限らんということ
ですな
(‥ )まあそこんところは
人それぞれなんだけどね
∧∧
(‥ )さらに言えば
\− 少なくとも
脚本にあらがあるとか
全滅に至る過程に
齟齬があるように見えたとか
そういうことはなかったと...
(‥ )まあね
ただ先も述べたように
俺は当時中学生だ
そこまでちゃんと
見てなかったし
把握してなかった可能性も
あるのよね
∧∧
( ‥)そういう個人差や
年齢差に由来するぶれを
差し引いて物語を
見極めるってのは
めんどいな
(‥ )理想論的にはだ
全部剥ぎ取って
見極めた時
残るのは物語の整合性よ
噛み合ってるかどうかよ
でもよ
そこまでするのは
めんどうくさいからよ
まあ皆好き勝手に言って
好き勝手を累積させる
ことであるよ
あらゆるベクトルが出そろってそれらが複合した時、流れが見えてくるだろう。その行き着く先が心理的な評価となる。
そしてそのベクトルは、物語の整合性をなにかしら示したものとなるだろう。人間は現実世界で生きるから、噛み合わせには意外とうるさいものだ。