2017年4月23日日曜日
なるべく長い余生を...
∧∧
(‥ )あなたが最近びびった
\− ことって
常温核融合の再現率が
上がってきている
という話だったよね
(‥ )そんな馬鹿な!
と思って少し調べたよ
常温核融合は現状の理解ではありえない現象だ。だが、我々が知る理論は真理ではない。ゆえに当然、すべてを見通すことはできず、理論ではありえない現実が存在しうる。
∧∧
( ‥)だから現状の理解では
ありえないと言うことは
できるのだが
現状の理解の外に
現実が存在しうるのである
( ‥)まあ調べた限り
−/ 常温核融合の成功は
やはり現状
あまり真に受ける必要は
ないなあ
という感想であったな
とはいえ、常温核融合の再現率の上昇、という話にはびびったのであった。
もし常温核融合が事実であるだけでなく、仮に経済的にも採算が取れるものであった場合…
∧∧
( ‥)あなたの人類抹殺計画は
根底から破綻して
しまうからね
(‥ )今、この時代に
先鞭をつけておけば
確実に人類は未来を喪失し
滅びをむかえる
富が分散するこの地球ではこれ以上の技術革新は不可能となり、人類は化石燃料以後の機械文明存続の術を失う。つまり機械文明は後、1000年も保たない。高速増殖炉を実現できず、いや、実現する前にすべての核燃料を燃やし尽くしてしまい、核融合を作る能力も喪失し、ただただ人口が増え続ける近代以前の世界に戻って、そうして地球を食い尽くして、閉鎖環境下に置かれた実験動物のごとく滅びさるだろう。
そしてすべての人が消失すれば、それこそが人々の待ち望んだ完璧なる理想世界。もはや絶対に変質することがない完全無欠の理想郷となるはずだ…
∧∧
(‥ )...と思っていたのだけど
\− これはどうも間違いで
あったらしい
(‥ )野生化した環境では
知能喪失した人類が
優勢になる可能性がある
つまり人類の二次的な
知能喪失の可能性だな
こうなると歴史は変わる
人類は知能こそ喪失するが
系統として滅びず
適応放散して第2の黄金期を
むかえることになる
∧∧
( ‥)つまり人類は既存の生物と
なんら変わらなかった
生存競争で競争相手を滅ぼし
適応放散でそれに取って代わる
要するに地球の歴史で
何度も繰り返された出来事が
また繰り返されるだけ
だったのである
(‥ )この結論に至った時
気づいたよ
俺の子供の頃からの夢は
今終わったんだな
∧∧
(‥ )...これからどうしようか?
\−
(‥ )そうだなあ
なるべく長い余生を
送ることに
しようじゃないか
∧∧
( ‥)夢の残骸を抱えて?
(‥ )もったいぶった
言い方するとそうね
やれやれ、ありがちではあるが、なんの意味もない人生だった。